島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年3月21日〜3月27日編『ホンダ シビック タイプRユーロ』『トヨタ オーリスRS』『三菱RVR G 4WD』など

(2010.07.05)

またも長く不在だったので、試乗するクルマが沢山待っている。毎日のように違うクルマに乗る一週間に。って、まあいつものことではあるのだけれど。

今回は2010年3月21日〜3月27日編です。

 

ホンダ シビック タイプRユーロ  3月23日 都内〜箱根

日本では今までのハッチバックをやめてセダンだけになっていたシビック。しかしヨーロッパでは先鋭的なデザインのハッチバックが販売されて人気となっていた。そんなヨーロッパ向けシビックが、日本のユーザーの声に押されて、限定ながら遂に日本でも発売に。高性能モデルのタイプRが、タイプRユーロの名で導入された。ちなみにヨーロッパ向けシビックはすべてイギリス生産であり、このクルマも扱いは輸入車となる。

デザインは見ての通りの個性派。しかしシビックの名がもつ革新的というイメージには、日本のつまらないセダンより余程マッチしている。天井知らずの吹け上がりを見せる2ℓVTECエンジン、操作それ自体が楽しいマニュアルギアボックス等々、とにかく見て乗って楽しいクルマだ。

「クルマが売れない」なんてメーカーが言ってはいけない。こんな風に買いたくなるクルマを出してくれればいいのだから。
ちなみにこの秋には、再び限定台数が導入の見込みだ。

 
トヨタ オーリスRS 3月23日 都内〜箱根

カローラのハッチバック版は現行型から独立してオーリスとなった。特にヨーロッパで、カローラとは異なる新たなブランドイメージを築きたいという意思によるものだが、結果としては正直、存在感はちょっとぼやけ気味だ。

そんな現状を打破するため? 昨秋のマイナーチェンジと同時に追加されたのがRS。敢えて室内写真を使ったのは、珍しくマニュアルギアボックスが設定されているモデルだからである。

同日に乗ったシビック タイプRユーロのように刺激的なクルマというわけではない。けれどマニュアルギアボックスを得て、実はオーリスのエンジンが表情豊かに回る気持ち良いエンジンだということが解ったし、思いのままに速度をコントロールできるその感覚は清々しいものがある。事前の想像より気持ち良いクルマで嬉しくなった。

嬉しさの余り、室内写真を。

 
三菱RVR G 4WD 3月22日〜 都内〜箱根

ヨーロッパに行っていたため国内でのプレス向け試乗会に参加できなかったRVRにしばらく乗る。見た目は結構ゴツい感じだが、実際に乗り込んでみると、走りの感覚にはコーナリング中にグラッと傾くなどの高いところに乗っているとうい不安感とは無縁で、普通に乗ることができる。それでいて目線は適度に高いし室内も広い。普通のセダンやハッチバックには乗りたくないけれど、奥様も運転しやすいクルマじゃないと困る、なんて人にはうってつけかも。

 
トヨタ クラウンハイブリッド 3月24日 都内〜筑波山周辺

「いつかはクラウン」と言われたのも今は昔…と思いきや、今でもやっぱり根強く支持されているクラウン。時代の変化を感じるのは、今やこのハイブリッドがイメージの中心だということだ。
乗り味は良くも悪くもクラウンに期待する通りのもの。ふんわりしていてつかみ所が無い。しかし高速巡航などでは昔のようにフラついたりしないし、実は基本性能は相当に底上げされている。

345psという十分以上なパワーを発生しつつ、燃費も上々。高速道路を法定速度で流していたら、リッター当たり20km近くという、まるでコンパクトカーのような好燃費を記録した。

静かだし速いし、しかも環境意識が高そうにも見えて実際に燃費は抜群に良い。なるほどクラウンを象徴する存在になるのも頷けるところだ。

 
ボルボC30 Aktiv 3月24日 都内〜筑波山周辺

デザインにしても色使いにしても、ドイツ製ともフランス製ともイタリア製とも違った個性が何とも洒落ているスウェーデン生まれのボルボC30。2ドアしかない、荷室が狭いなど欠点をあげつらうより、生活を彩る小道具としての、この存在感にこそ注目したいコンパクトカーだ。

しかも走らせてみれば、乗り心地もステアリングの手応えも加速感も、どれもが余計な演出めいた部分が無く、非常に素直。最初は朴訥に思えるかもしれないが、ともに長く暮らしていくには、こんなクルマがいいなと思わせる。

個人的にはMINI辺りにずっと乗ってきたけれど、そろそろ次の何かに買い替えたいなんて女性に特に、是非一度見てみてほしいと思う。

しばらく禁欲生活が続いていたせいか、クルマに乗るのが楽しくて仕方が無かったこの週。もしかすると、こういう時の評価は甘くなりがちなのかな? などと一瞬思ったが、この週乗った5台はどれも本音で、なかなか良いクルマだったのではないかと思う。ちなみにRVR以外の4台は『webCG』に動画、あるいはテキストによる試乗記事がすでに掲載されているので、ご興味ある方は是非。