栗林知代のアイ・アム・ママ! おっぱいにさようなら。それは母乳育児ベビーの越えるべき壁?! ~後編

(2010.02.05)

「子どもというのは案外割り切りがよくて、あんなに好きだったおっぱいも卒業するとなったら、思いのほかあっさりとやめられる。大人の方が寂しいくらい」。これがよく聞く話でした。しかし、息子の場合、おっぱいをやめてから2週間が経っても元気はなく私が抱っこをする日々が続いていました。ここまでくると、私、夫、助産師さんは何だかチームのよう。息子の今後についてしょっちゅう話し合いました。断乳を中断し、再びおっぱいをあげることも話にはでましたが、助産師さんから「再びおっぱいをあげてしまうと、ベビーのおっぱいに対する執着が強くなり次回やめる時が大変」ということと「やめたりあげたりするとベビーが“どうなっているの?!”と混乱する場合もある」という意見をもらい、息子はここまで頑張ってきたのだから、もう大人が迷ってはいけない、このまま断乳を続けよう! と決めました。

おっぱいをやめてから飲ませ始めた「フォローアップミルク」。普通の粉ミルクは母乳の変わりという役割を果たしていますが、こちらは離乳食が3回食になった生後9ヶ月くらいの子が飲みます。栄養の摂取は食事から。このミルクは名前の通り食事だけでは不足しがちな栄養をフォローしてくれるというものです。
断乳の悩みが解消された後、新たにできた悩みは「指しゃぶり」。もとからしていましたが、完全にクセに。「おしゃぶり」やボトルについたストローをくわえさせ紛らわしています。どちらも吸うというよりは噛んでいます。「おしゃぶり」にいたっては、奥歯でガリガリと噛み、まるでスルメイカを食べているよう…。

結果、息子が断乳のショックから完全に立ち直るまでは1ヶ月かかりました。息子が元気になった理由は、いくつかのことが重なってもとに戻ったような気がします。ひとつめは、月日という「時間が解決」してくれたということ。ふたつめは「水分補給」。息子が以前粉ミルクにアレルギー反応がでたことがあり、離乳食はちゃんと食べるしお水も飲むので、あえて粉ミルクを飲ませていませんでした。おっぱいをやめた時に急激におしっこが減ったなぁとも思ったのですが、母乳をやめるとおしっこの量も減ると聞いていたのでこんなものだろうと思い「水分不足」ということは考えませんでした。

しかし、断乳から数週間後、息子がお腹を壊し、脱水症状が心配なためフォローアップミルクを毎食後にあげはじめました。するとおしっこもおっぱいを飲んでいた頃と変らない量になり、それに伴って徐々に元気になってきたようかきがします。そしてみっつめが「語りかけ」。今お世話になっている助産師さんのことはもちろん信頼していましたが、とにかく息子に元気になってほしい、という思いから里帰り出産の時にお世話になった助産師さんにも連絡をとってみました。相談をしたところ「息子くんは断乳したことに納得をしていないのよ。よく説明してあげて」と言われました。中編でも書きましたが、息子にはなぜおっぱいをやめなくてはいけないのかを話してきたし、正直、もう少し医学的なアドバイスを期待していただけに肩透かしをくらった気分でした。しかし、藁をもつかむ思いで連絡をとったわけだし、元気になる可能性があることは何でも試してみると決めていたので助産師さんの言う通りにしてみることに。助産師さんからは「(息子が)納得したら大泣きするはずよ」と言われました。息子の目をみて、気持ちを集中させて……と話す今回は、息子が今までとは違うような手ごたえを感じました。すると驚くことに話終えた途端息子が大泣きしたのです。たまたまかなぁと半信半疑でしたが、それから元気になってきたのは確かなのです。はじめて夫とふたりで息子の笑顔を確認できた時は、ほっとしたような喜びに包まれました。

 

時代が変わっても変わらないこと。

こうやって当時のことを振り返ると、私も息子が生まれてはじめて母親になったわけで母親歴は息子の年齢と同じ。何もかもがはじめてでわからなかったとはいえ、もし水分が足りなかったのならかわいそうなことをしたなぁと思います。また、ベビーといえどもひとりの人間。個性をきちんと持っているので、一般論が自分の子どもに当てはまるとは限らないことを身を持って勉強しました。

今回、Web ダカーポのような老若男女の方々がご覧になるサイトで断乳体験を書くのはどうだろう…?とちょっと迷いました。「おっぱい」って単語もたくさんでてくるし(笑)。もちろんこれはベビーの栄養源「母乳」って意味ですけれどね。けれど、みんなベビーだったわけだし、老若男女の方々に知っていただくというのもアリなんじゃないかなぁと思い書かせていただきました。

いま、母乳は見直されていて母乳育児が推奨されています。事情があって粉ミルクで育てたり、私のように早くおっぱいを切り上げなくてはいけなくなったなど様々なケースがありますが、基本はママのおっぱいを飲み、卒業していく。これは時代が進化しても変わらないこと。人間も動物なんですよね。ただただシンプルに。