福島原発 池田香代子ブログから “嘘と真のこのくにのメルヒェン”
福島原発で作業している人々

(2011.04.22)

福島原発で作業にあたっている人々の状況は
災害とメディア

めっきりテレビを見なくなりました。もとよりチャンネルを合わせるのはネットで知ったドキュメンタリーなどで、それも多くは録画予約してあとから見ます。ラジオも含めて、見逃したニュースやコメントなども、youtubeにあげたから見て、とネットで教えてくださる方がたがいますので、おそらく見るべきものは取りこぼしていないだろうと思います。

たまに「みずのん出てるかな?」と、水野倫之(のりゆき)解説委員がお目当てでNHKニュースを見るくらいです。水野さんは、悪い見通しが合理的ならそのように、政府や保安院や東電の発表に疑義があればそのように、伝えるべきことを自分の頭で判断してきちんと伝えてくださっていると思います。無表情の中に感情の機微があらわれることがあって、つい感情移入してしまいます。

津田大介さんが、ツイッターは災害に強いと書いていらっしゃいましたが、痛感します。現地の情報にも、フリージャーナリストの活動にも、科学者の分析や解説にも、記者会見の「だだ漏れ中継」にも、リアルタイムでアクセスできます。けれど、311 から1カ月が過ぎ、個人的には新聞や週刊誌が重要になってきました。すこし引いたところから時間の幅をとって論じるジャーナリズムの出番だと思うからで す。私は東京新聞を購読していますが、今回ももっとも「まし」な報道を続けていると思います。最近では毎日新聞も、原子力発電に距離をおくどころか、まっこうから見直しを迫る論調になっているようです。次に腹をくくるのはどこか、注目しています。

ここへ来てテレビや新聞がいっせいに報じ始めたのが、福島第一原発で作業にあたっている人びとがおかれている状況です。長年、福島原発従業員を診てきた谷川武・愛媛大学教授が、このたび現地入りしたからです。もちろん、今までも報道はありましたが、ネットではつとに焦燥感をもって論じられていたのに較べると、扱いはちいさかったように思います。これについては、思うところがあまりにありすぎて、次回に回したいと思います。きょうは、谷川先生の診察を伝えるテレビニュースをアップしておくにとどめます。ニュース書き起こしも、いずれ消えるので、画像の下に貼りつけておきます。

FNN 4月19日

 

今も続く、福島第1原発の復旧作業の過酷な実態が明らかになった。体育館で防護服を着たまま仮眠するなど、現場に寝泊まりをしながら、懸命の作業が続いている。

愛媛大学の谷川武教授は「(作業員の方々は)相当、気を張ってやっています。中には(震災時)津波が天井まで来て、九死に一生を得た方も…。体育館の中で、寒いところ、硬いマットの上で」と話した。

福島第2原発の体育館で休む、第1原発の作業員たち。耐熱シートの上に毛布のようなものを敷き、白い防護服を着たまま寝る状況が続いているという。

そして、寝ている横に置かれていたのは、段ボールの山。

食事は、カップめんやレトルト食品のみだという。

これらの写真を撮影したのは、20年来、福島第1・第2原発の非常勤産業医を務めている愛媛大学の谷川教授。

 
4月16日に、対策拠点の「Jヴィレッジ」に入り、その後、福島第2原発内の医療対策室で、現場作業員の診察を行った。

作業員のメディカルチェックをした谷川教授は「福島第1・第2の作業員の8割くらいが、被災者なんです。そういう状況にありながら、今まで復旧作業に従事してきて、2重・3重のストレスを感じています。だいたい皆さん、1〜2回は倒れています」と話した。

高い放射線量の中で、ぎりぎりの作業を迫られている作業員たち。

現場で寝泊まりをしながらの作業が続いているという。

谷川教授は「最近は、4勤2休という態勢。今は少し落ち着いて、定期的に、短いが休憩を取る時間、家に帰る時間ができた」と話した。

その一方で、谷川教授は「まずですね、衛生環境。防護服を着て、さらに全面マスクをはめて、そうすると汗もかくんですね。今現在は寒いくらいですけど、やっぱり中は暑い。お風呂に入れない、シャワーも浴びられない。今はそういう状態です。早急に簡易のお風呂が必要」と話した。

保安院は3月28日、「会議室ですとか、廊下ですとか、そういうところに毛布1枚を支給してもらって」と話していた。

かつては、食事は1日2回で、朝食はビスケットと野菜ジュース。

夕食も非常用のご飯1パックと、サバなどの缶詰1つだけだった。

谷川教授は「(現在)食事と寝るところは確保されている。(食事は)現在も、レトルトと缶詰」と話した。

現在は、食事は1日に3回。

谷川教授は「(現場ではどんな声が?)現場は現場で、相当、一生懸命やってるんですね。本店からの要求というのは、現場からすれば、『そんなのすぐに無理だろ?』ってことが、続々と来るわけですね。できることと、できないことがある。(本社へは)『現場の声をきちんと理解する』(という声がある)」と話し た。

作業員の待遇のさらなる改善策が求められる中、福島第1原発2号機では19日、「トレンチ」などにたまっている汚染水の処理施設への移送が始まった。 
(2011年4月20日11:20)

 
池田香代子ブログ