山本貴代の“女の欲望グツグツ” 欲望のフォトコラージュ! 上海OL VS 東京OL。

(2009.04.07)

2月は香港、3月は上海にいってきました。東京では花粉症にやられて、鼻モゲラ状態だけど、「上海には、花粉アレルギーはないよ」といわれていたので、ウキウキ上海に降り立ち深呼吸。くしゃんくしゃん……あれっと思いきや、今度はスモッグアレルギーになっていました。この季節はどこへいっても鼻モゲラ。しくん。

上海は、水も空気も汚いのですが、活気はとてもあるので、ついつい街を歩き、夜まで散策してしまう。だから、睡眠不足もあいまって、さらに症状は悪化します。半分は自業自得です。今回取材した、「田子坊」という場所は、アーティストが集まる新スポット。こんなところにアートな空間が隠れていたなんて! とココロワクワクしてきます。巨大アート迷路のようで、軽く半日は彷徨えます。

それはさておき、今回は、上海OL10人を集めて、「欲望のフォトコラージュ」をやってきました。これは東京でも以前行ったことのある「欲望を垣間見る手法」なのですが、
東京OLと上海OLでは、あまりに結果が違ったので、正直、驚きました。

このフォトコラージュ法は、本来は、心理療法に使われている手法だそうで、そのときは、被験者は、好きな写真の切り抜きをもってきて、ぺたぺた紙に貼って「自分世界」を描くそうなのですが、OLの場合は、治療のためにするわけではありません。だから、それぞれに対して同じ写真を用意して、どんな写真をみんなが好んで使ったかとか、どこに貼ったかとか、何枚くらい貼ったかなどということをみていきます。

OLたちは、用意した様々な風景やモノの写真(140枚ほどの中から)を好きなだけ切ったり貼ったりして、「手に入れたい欲望の世界」をコラージュにより作り上げていきます。それを心理学的に読み解くのですが、これが実にいろんなことがわかりおもしろいのです。画用紙の中央部分に「自分」が現れるとか、下方に深層心理がでてくるとか、右上は未来の願望が出るとか。使う写真にも、その組み合わせにも隠れた意味があるのです。いろいろと見えてきます。

その中で、日本のOLの場合、かもめが一羽大空を飛んでいる「かもめのジョナサン」みたいな写真は、誰一人選びませんでした。代わりに、真っ白なTシャツが洗濯ひもにとおされてヒラヒラ舞っている写真は多くの人が選びました。これは、ひとりで飛ぶのは勇気がいて恐いけれど、誰かに依存しながらひらひら揺れているのはオッケーという心理の表れだと、一緒にコラージュを読み解いた心理学の先生はおっしゃいました。

しかし、なんと!! 上海のOLたちは、一羽飛ぶカモメを選ぶ、選ぶ。10人中7人が選んだのです。そして誰一人、白いTシャツは選ばなかった。理由も聞きましたが、「もっと自由に飛びたい」と。例えば、下のコラージュをつくった方は、説明として「飛んでいる鳥のように、私も仕事において自由に能力を伸ばしたい。(中略)私も自分の力で会社を強くしたい……」などと書いていました。すごい、すばらしい。インタビューしてみても、「自立、自由、自信という言葉が多く聞こえてきました。みんなしっかりとビジョンも持っていて、これから、どんどん世界へ羽ばたいていきそうです。

共通していたところは、どちらもストレス社会に生きているという点でしょうか。都会は息苦しいのか、自然溢れる環境を求めているようでした。また、日本OLのほぼ全員が、画用紙に隙間なく写真を貼りましたが、上海女性は、ところどころに余白がありました。これは、まだ欲望が飽和していない証拠のようです。今後どう変化していくのか、また数年後にやってみたいものです。