永見浩之のオヤジDJの道 何故、同じレコードがたくさん?

(2011.01.24)

中古レコード屋行っても、何も買うものがなくなっちゃった、
もう全部買っちゃった、という気分の日があるんですね。
この先はもうホントにカルトでマイナーな盤を
掘っていくしかないような気になります。
でも、普通の人は名前すら知らないようなバンドの、
超プレミアがついたレコードを聴いても
「なるほど! これじゃ売れないわけだ!」と納得するだけだったりして。

そうなると、持ってるけど、
やっぱ好きなレコードをとりあえず買って帰るのです。
「それ、もう持ってるでしょ?」
「いや、ほら、火事とかあって燃えた
とき用に」
「並べて置いてるんだから、そのときは一緒に焼けちゃうよ」

そんな心の葛藤はあるのですが、結局は買っちゃいます。

サバちゃんも買いすぎだろうと睨んでいます……。

 

結果、棚におんなじレコードが何枚も並ぶ事になるのですが
筆頭がエリッククラプトン率いるデレク&ザ・ドミノスの1970年の傑作
“Layla and Other Assorted Love Songs”。
何枚か持ってるなぁと
ぼんやり認識してたのですが、
今回いい機会と、枚数確認してみました。
その数12枚。でも、おかしい、
フルラミネートのドイツ盤が見つからない!
その代わりにデカジャケCDも混ぜてみました!

このレコードが増える理由のひとつに英盤か、米盤かというのがあって。
例えば、ビートルズだと、
英国録音で英国プレスの英盤こそオリジナルと言えるけど、
「レイラ」はもう少し微妙な立ち位置なんです。

このアルバムはトム・ダウトプロデュースの元、
アメリカのミュージシャンとマイアミで録音されたもの。
音もアメリカ南部ぽい音になっていて、
だからこれは米盤こそがクラプトンの意図した本場の音が出てる、
という説と、
いやいや、発売は英国が先。
米盤にもこれは英国の製品です、
とわざわざ書いてあるぐらい、
英盤こそがオリジナルの音である、という説と。
 

英盤のジャケには緑でタイトルが入っています。(日米はなし)
英盤のレーベルは赤(後にRSOのクリーム色になります)

微妙にどちらをオリジナルの音としていいのがわからないのがマニア心
をくすぐります。
ちなみに、米盤はめりはりの効いたガッツのある音、
英盤は湿り気のあるまろやかな音という傾向があります。
 

米盤はATCOレーベルから。好きだなぁ。このレーベル。
米盤の白プロモ盤。プロモ盤は音がいいので貴重です。

実は、その英盤にも本のように初版の第一刷、第二刷、三刷……
というのがというのがありまして、「レイラ」ほどの盤になると
初版の第一刷を見つけるのはなかなか難しくなってきます。
特に「レイラ」は初回にわっと売れたというよりラジオプレイなどにより
じわじわ売れたということもあり第一刷は少なめと言われています。

何刷かを見分けるためには、「マトリックスナンバー」と呼ばれる
レベールの外側の無音部分に刻まれた数字と記号を見ます。
数字の末尾にA//1とかA-1Uという記載があれば、
少なくともこのA面に関しては最初のスタンパーを使って
プレスされたことになり音の鮮度がいいと言われています。

マトリックスナンバーのここで見分けるのです!

日本ではマトリックスナンバーはポピュラーなんですが
海外のオークションサイトではあまり記載されていません。
僕もA1B1に当たったらラッキー、ぐらいの感覚でどんどん落とし
ちゃうので同じレコードがどんどん増えていくのです。おー、コワっ。

しかし、「レイラ」って日本盤の初版じゃなければ500円ぐらいで買えま
す。
思うにそれで、十分なんです。英盤、米盤の違いなんて
細かい事は、本当はどうでもいいのです。
それぐらい、音楽の中身が素晴らしいのですから!
(ときどきマニア心が行き過ぎて音楽自体を聴かずに
 違いばかりを気にする様になるんで、時々こうやって自分に言い聞か
せています。)

肝心の中身について書けなかったけど、いつか。また。