北原徹のバカ買い! Smells Like Teen Spirit - 25 - 生まれて初めてのスカート、<アンダーカバイズム>藤原ヒロシの新刊。
(2009.09.17)男という生き物を考えてみると、ほんとうにどうしようもないコトに全身全霊を傾けていたりするものだなあ、と思う。
男性ホルモンに含まれてているのか、はたまた遺伝子に組み込まれているか……。
集めてしまうのである。
汚ない話で恐縮だが、著者(つまりぼく)、ジャイアン(ドラえもん)、リリー・フランキーさん(もちろん作家、かつての原稿に書いてあったので、ここに挙げました)には、共通の収集ブツがあった。
鼻クソである。
ぼくの場合、小学校のとき、爪を集めているや、耳クソを集めているヤツがいて、もうひとつの男の本能が目覚めーーつまり竸うという欲望ーー鼻クソ集めに全生活を賭けていた。缶の箱にそっと隠して、大きくなっていく鼻クソ玉を見てはほくそ笑んだものだ。
やがて、母親が気付き、勝手に捨てられ、その日は母親を心底憎んだけれど、その母も憎みきれないロクでなし。スーパーカー消しゴムを買い与え、ぼくに新たな収集家への道を歩ませようとしたのだった。
しかしまあ、こんなぼくは一体いままでどんなものを集めてきたのか、と思い出すだにゾッとする。
長くなるので説明はしないで商品名だけ挙げてみるが、あくまで記憶の引き出しが開いたものだけなので、遥かに霞むほどいろんなものを集めた、と思う。
ナイキのスニーカー、ヴィンテージギター、ライカ、ローライ、その他のカメラ、デニムスニーカー全般、時計、ファイヤーキングのマグカップ、古伊万里の皿、陶器全般、シルクスクリーンの絵(アンディ・ウォーホール、キース・へリング含む)、写真、写真集、マンガ、もちろん服、お菓子などを入れておく丸い缶、ウェッジウッドの皿、ティーカップは海外、国内問わず古いもの、湯呑み、コム デ ギャルソンからのダイレクトメール、壊れたテレビや、フェンダーのローズピアノを買ったのも収集といえるだろう。
まだまだ、思い出せばあると思う。……たとえばバッグ、Tシャツ、カーディガン……月1万3千円で借りているトランクルームはそんな物でも溢れている。
鼻クソや、スーパーカー消しゴムが、大人になるとこんなものに変わった。ぼくはたまたま、ガンプラをはじめフィギュアにいったり、アイドル写真集にいったり、はたまたNゲージなどにいったりしなかったが、その心理はもちろんわかるし、ぼくも十分オタなので、彼らに親近感こそあれ、気持ち悪さなど感じないどころか、よく尊敬してしまうのである。
あ、仮面ライダーカード、プロ野球カード、プロ野球選手のサインも集めたなぁ……しみじみ。
大人になってからの収集を、ぼーっとしながら考えてみると、自分が目利きとして集めたものも多いが、どこかに目利きがいて、その誰かがぼくのハートを火を点けた、なんてことも少なくない。
藤原ヒロシさんも、もちろん、そんなぼくにとっての目利きな方である。
常々ぼくは思っているのだけれど、藤原さんは、現代の白洲次郎なんじゃないかと思っている。
海外のかたがたを対等に空いてができる姿や、白洲さんは留学時代ブガッティやベントレーを乗り回したといい日本でも何台の車を持っていたかわからないし、亡くなられる間際もポルシェ911Sに乗っていたと言われるし藤原さんの車好きはもちろん『ポパイ』で連載していただいたほど有名! 白洲さんが日本人で初めてジーンズをはいた、と言われるが“何”とは言えないが藤原さんのその先達性は白洲さん以上じゃないか、と思う。
まだ、日本ではアイデアがお金になりにくと思うが、白洲さんは、会社の役員になろうということで、アイデアを売っていたではないだろうか? と勝手に推測してみると、藤原さんがいろんなアイデアを商品化していくのも、似てると言えば似てるのである。
先日、マガジンハウスから『Perfect Effect』という本が出た。藤原ヒロシさんの収集を物語る一冊であるし同時に“時代の目利き”としての、本物を見抜く力がギュッと、まるで果物から、一番大事なエキスだけを搾り出したような1冊である。
今、ぼくの目の前に<アンダーカバイズム>のスカート付きパンツがある。
スカートである。
いままで、いく度となく買おうか、買わまいか、と考えたが、スカートをついに買ってしまった。しかも45歳、妻子持ちで、である。
そんなわけで、この冬はスカートをはくぼくがいる訳であるのだが、何故<アンダーカバイズム>を藤原さんの本の後に書くかと言えば、来シーズンの展示会でアンダーカバーと藤原さんのフラグメント デザインのスニーカーを見つけたからなのです。
本の中で<アンダーカバー>とのコラボのMA-1が載っていて、欲しかったんだよなぁ、と思ったりしたりもした。いや、マーチンのギターだって、何だって欲しかったけど、とにかく、藤原さんと<アンダーカバー>の高橋盾さんは、時代を切り取る、その切り取り方がうまいし、何よりも……。
男の子心をくすぐる、そのくすぐり方がうまいのである。鼻クソさえもコレクションしてしまう男の子の本能をくすぐる。
そしてそれは、白洲次郎さんにも負けない“目利き”としての力が強く、そして白洲次郎さんにも負けない“男の子心”があり、やんちゃだったからに違いない、と思っている。
ご本人をほとんど知らないのに勝手に妄想藤原ヒロシ論を書いてしまいました。コメンナサイ。※3回ほどお目にかかってます。
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原稿はクリックで拡大します。 |
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弟分<ディスカバード>のSSコレクションを見て来ました。がんばってた! |
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それはそうと、今回のバカ買いアイテム<アンダーカバイズム>のスカート付きパンツ。初スカートにドキドキ。<スピード>の黒のサポーター(スネ用)合わせます。 |
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スカート部はジップで巻きスカートになっているのです。 |
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このパンツが入っていたビニール袋もいいんだよね。こんなところにも“男の子心”をくすぐられます。 |
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藤原ヒロシさんと高橋盾さんの<AFFA>のTシャツも持ってます。毛沢東のシルクスクリーン風プリントTです。宝物です。 |
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そういえば、20年前くらい? 忘れっちゃったけれども、タイニーパンクスのライブ観に行ったなぁ。いとうせいこうさんと藤原ヒロシさんのユニットだったと思います。 |