山本嬢の王道と邪道のはざまで case 3 :ヒトクセある注文@コールド・ストーン。

(2008.07.08)
病的なほど優柔不断な私。
レストランに入ってのメニュー選びも、かなり迷います。ラーメン屋「康竜」へ「自分仕立てラーメン」を食べに行ったときには、どの具材を選ぶかで10分以上迷いました。「味の濃さ」「麺の固さ」といった10項目にチェック入れてくだけなのに。客回転スピードが求められるラーメン屋で、こりゃ嫌われるわけですよ。

だから、「コールド・ストーン・クリーマリー」の“クリエイト・ユア・オウン”なんて夢のまた夢。
言わずもがな、ですが「コールド・ストーン・クリーマリー」は、歌いながらコネコネしてくれるアイス屋さん。で、“クリエイト・ユア・オウン”ってのは、定番メニューではなく、アイスとトッピングを自在に選べるシステムなんです。ストロベリーアイスにマンゴをミックスしたり、コーヒーアイスにシナモンを入れてもらったり、とバリエーションはいろいろ。
そのいろいろなバリエーションが、かえって優柔不断な人間の命取りになるんですな。話題の人気店だから、注文時にモタモタしてたら、後ろに並んだ他のお客さんにも迷惑かけちゃう。でも、食べたいのよう、オリジナルなアイスを。
……ん、待てよ?もしや、“クリエイト・ユア・オウン”の“ユア”は、私でなくてもいいんじゃ。私から見れば、店員さんのほうこそ“ユア”。

そうだ、店員さんに作ってもらえばいいんだ!

とはいえ、「何でもいいんで、とにかくお任せ」なんて漠然としたオーダーだと、店員さんだって選びようがない。そこで、私は究極のフレーズを用意し、「コールド・ストーン・クリーマリー」池袋サンシャインALTA店へ向かったのでありました。

 

「私をイメージして、アイスを作ってください」

「サイズは中……Lave It。器はコーンじゃなくて、カップで。それで、今日はですね、“クリエイト・ユア・オウン”で、わ、私をイメージして……」
恥ずかしい。かなり恥ずかしい。
「私のイメージで、アイスを作ってください……はい、このワタシの。どんな組み合わせでもいいんです。は?嫌いなもの? ミント系は苦手かな。でもそれをあえて入れる挑戦的なアイスでもウェルカムです」

性格のよさそうな店員さん、ちゃんと一所懸命考えてくれまして、出てきたのがコレ。

 

アイス:グリーンティ
トッピング:
ラズベリー、ココナッツ、ブラウニー、ホイップクリーム

自己愛に満ちた恥ずかしいオーダーの結晶、和み系「私アイス」。

 

おお、これが私のイメージ!
「お客様は、とても和やかなイメージがしたので、それをアイスで表現してみました。でも、和やかなだけじゃ終わらなさそうだったので、ラズベリーで甘酸っぱさをプラス♪」
なんだろう、人間のイメージにおける「甘酸っぱさ」って?なんて少し考え込みつつ、食べてみれば味はバッチリですよ。グリーンティって今まで選んだこと無かったけど、どんなトッピングを持ってきても包容力がある。
恐るべし「私アイス」。しかも、キャラ印象診断つきです。

このアイス食べ終わった頃、私はこうも考えてみました。
<同じ注文を他の店でやったら、また違った「私アイス」が出てくるだろうか?>
他店が同じ人間をどう診断し、そしてどうアイスで表現するのか。となりゃ、ハシゴです。

40分後、私は六本木ヒルズ店に到着。
「お客様、そういった注文は初めてですよ。こちらにはよくいらっしゃるんですか?」
「いえ、六本木店には一度も」
「じゃあ以前、他の店にはいらっしゃった?」
「……」
まさか、「40分前に池袋店で食べてました」と正直に告白できず、曖昧な笑みを浮かべるばかりの私。
こちらでの「私アイス」、結果はコチラでした。

 

アイス:マンゴ
トッピング:
ストロベリー、キットカット、ラズベリー、ホイップクリーム、レインボースプリンクル

これが、「私アイス」パート2。ずいぶんと派手やのー。

 

「お客様は妖艶な感じがしたので、アイスはマンゴに決定♪」
……よ、ようえん……?
「あとは、キュートさをベリー系で。ビターなオトナらしさをキットカットで。優しさをホイップクリームで。そして、華やかさをレインボースプリンクルで表現してみましたっ♪」
私のキャラ、すごいことになってます。1軒目とは大違い。

ええい、こうなったら、さらにもう1軒! 今度は、東京駅から徒歩4分の丸ビル店へ。
「は?こちらで自由に作っていいんですか?なら、私がお客様に食べていただきたいアイスを」
むぅ、残念~。解釈のニュアンスが違う。「食べていただきたい」じゃなくて、あくまで私イメージで……って、でも上手く伝えられないままでした。だって、あんまり「私イメージ」を連呼すると、人として激しくイタイ。さすが丸ビル内、常識的対応の店員さんを前に、私は挫折してしまいました(案外弱い)。

 

アイス:バナナ
トッピング:
ストロベリー、バナナ、スポンジケーキ、ホイップクリーム

これで、本日のごはんはアイス3個。果敢にも、全て「Lave It」サイズをキープ。げぷっ

 

人物解釈の説明ナシ。でも、席で食べてたら
「おいしいですか?大丈夫でしたか?」
とわざわざ聞きにきてくれました。

どの店もアイスの甘さだけでなく、店員さんの優しさが染みる。なのに、その優しさを利用しまくったオーダーで、本当にごめんなさい。
で、3軒まわってどのアイスが一番「私アイス」だったか? それは、自分では判断不可能なのであります。
とはいえ振り返ってみれば、アイスを作ってくれた店員さんのキャラも関係してるような。私のキャラと店員さんのキャラが融合&化学反応を起こしての、“クリエイト・ユア・オウン”。そう考えると、どのアイスもけっこう納得できたんですよう。

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「コールド・ストーン・クリーマリー」池袋サンシャインALTA店。ここから全てが始まりました。

客の無茶なオーダーを前に、仲間と熱く相談中。

和み系アイスをクリエイトしてくれた店の娘さん。実際、私よりも彼女自身が和み系かと。

2軒目は六本木ヒルズ内へ。日本での「コールド・ストーン・クリーマリー」1号店です。

ラティーナなノリの彼女は、かなーり面白がってくれました。で、ヨイショも上手。

3軒目の「コールド・ストーン・クリーマリー」丸ビル店。客の年齢層は、やや高め。