北原徹のバカ買い! Smells Like Teen Spirit - 40- ファイヤーキング。
(2010.01.14)



時として”言葉“は別の意味を含むことがある。もはや別の意味になっていることも。“カワイイ”。それは“欲しい“と同意義だし、“カワイイ”と言葉を発した瞬間、財布や銀行の残高と相談しているのがぼくの日常生活。
“Fire KIng ”。に出会ったときも、ぼくの口から“カワイイ”が漏れていた。
十年くらい前だろうか、ぼくは沖縄にいた。夏の日差しを浴びたり、ジュゴンの巨根を見たりしたOKINAWAだったが、那覇の商店街もブラブラ、というかしっかりチェックしていた。
レコード店では古いお宝シングルとかないかなあ、なんて見ていた時だった。ぼくの脳裏にあった入口の映像が気になる。無性に。
ワゴンセールだった。レコード店なのに、CDやレコードではなく、鍋や食器洗いのスポンジ、トイレのたわしなど、自分のうちで買ったけど、使わなかったものをランダムに売ろうとしていた。
その中にエメラルドグリーンとも翡翠(ヒスイ)のような色とも思えるサラダボールが3個、まるで捨て猫みたいにぼくを見つめている。切なそうに。
“かわいい!”
1個30円だった。他人にとって“どうでもいいもの”が“価値ある一品”にチェンジする瞬間だったのだ。
初めての“ Fire King ”は1個30円だった。そのボールは使っているうちに1個割れ、1個割れして、今はもうちにはなくなってしまった。代わりにいろんな“ Fire King ”たちが我が家に彩りを与えてくれた。
本物の“ Fire King ”は美しいし、アンティークとか美術品というにはほど遠いけれど、アメリカの底の深さを感じるポップアートのような“美“を感じてしまう。
本物であるが故のパチものもうちにはたくさんある。パチものなのに楽しかったり、ちょっと気持ちを“ほっこり“させてくれるかわりらしさがある。
一番のお気に入りはギンガムチェック。
娘の誕生日に上げた。息子にはレモン(名前が玲音(れのん)なので)である。彼女は抹茶色。ぼくはちょっとでかめのダークオレンジを使っている。ぼくのだけパチものであるのだけれど、取手が大きめで逆に使い易かったりもする。重宝。
ガラス製品なので、手入れも簡単だし、アメリカ的な質実剛健さはデニムなどとも共通する、使ってこその商品という感じで普段使いとしても最高なのだ。
マグカップには低温殺菌のミルクとストロングコーヒーでいれたカフェ・オ・レを入れることが多い。スープのマグにはオニオンスープが似合うけど、意外性を楽しんだり。
本物は高いけれど、パチものはお安く買える。しかも、パチもののほうがレアだったりするんだけどね。
写真は “HOLGA” で撮影したのだけれど、ピンも合っちゃって、おまけに太陽が当たらないところはどまっ暗。もう少し“アジ“のある写真にしたかったのですが……。