田中晃二の道草湘南《犬の鼻、猫の舌》 逗子、小坪の夏祭り

(2011.07.26)

レトロ+リゾート

横須賀線の逗子駅へは東京から1時間足らずで行ける。電車を降りて、昔の雰囲気が残った駅舎の跨線橋を渡り、だだっ広いホームを改札口へ向かっていると、どこか遠くまで旅をした気分になるから不思議だ。駅前の広い空、明るい光、南国風の並木、そして心地よい海風に吹かれると、もうすっかりリゾート気分。駅前ロータリーで京急バス鎌倉行きを待っていると、東京のバスと違い後のドアから整理券を取って乗るスタイルで、旅行気分がいっそう高まる。バスは10分ほどで小坪へ到着。

歩いて、味わって

逗子、鎌倉あたりは、谷戸(やと)と呼ばれる小さな谷が縦横に走る地形のせいで、道路が迂回したりトンネルで繋がったりしていて、道を覚えるのが大変だ。逗子へ引っ越して2カ月ほど、少しずつ生活にも慣れて来たが、まだまだ私には未知の街だ。旨い店とか、古道具屋とか、市場とか、これから探検するのが楽しみだ。7月になって、逗子海岸から鎌倉材木座海岸にかけて海の家が立ち並び、休日ともなると道路はクルマで大渋滞、これでも今年は原発事故のせいで海水浴客は少ないそうなのだが。逗子、鎌倉の休日は行楽地、平日でもどことなく長閑な街で、これから老後の生活の拠点としてピッタリかもしれない。

鎌倉時代?からの小坪

逗子マリーナのすぐ近く、小坪須賀神社の夏祭り(山王祭)が7月半ばにあった。小坪は生シラス丼が名物の小さな漁港だとばかり思っていたら、立派な山車が四基ほど繰り出し、さらに神輿も出て、子ども達の太鼓と笛のお囃子が夏の港に響いていた。山車の飾り提灯には中里町、南町、西町、伊勢町と、おそらく昔の町名が記され、漁港として栄えたであろう往時が偲ばれる。


タイトル変更

ところで、このコラム、『道草東京』と謳って始めたにもかかわらず、旅先のフランスの話が続くのは羊頭狗肉でいかがなものかと気になっていました。震災のあと東京から逗子へ引っ越し、ますます興味は東京から離れてしまい、そろそろ看板を変えた方がいいだろうと考え、成り行きではありますが『道草湘南』と改名して再スタートしようかと思います。まあ、私の性格からして、先行き不透明の出たとこ勝負ですが、当分は新参者の湘南ジジイとして、面白かったこと、美味しかったこと、気になったことなど、書いていこうかと。