加納忠幸のワイン飲もうよ シャンパンコルクのトリビアを二つ。

(2010.02.02)

年末にシャンパンやスパークリングワインを開けて
そのコルクをコレクションしている方も多いのではないかと思いますが、
今日はスパークリングワインやシャンパンのコルク栓のお話を二つ。

スパークリングワインやシャンパンのコルクを抜くと、
マッシュルームの形をしていますよね。
つまり、きのこの笠の部分が丸く膨らんでいて、
脚の部分が下に行くにしたがって広がった形。

そもそもシャンパンやスパークリングワインのコルクは
最初からマッシュルーム形をしているわけではなく、
普通のワインのコルクの直径を2倍にしたくらいの円筒形。

これを道具を使って強引に瓶の口に入れると、
瓶に入った部分が縮まって細くなり、
マッシュルームの原型となります。

さて、少し年代物のシャンパンを開けたときなど、
その脚の部分の広がりがほとんどないものがあるのに、
気が付いた方もいらっしゃるのではないかと思います。

あまり広がっていないコルクを見て「不良品」と思うのは大間違い。

実は、シャンパンやスパークリングワインの
コルクを抜いたときのコルクの形は、
栓をしてから抜くまでの時間の長さによるものなのです。

つまり、栓をしてから抜くまであまり時間が経っていないと
コルクの反発力がまだあるのでマッシュルーム型に広がりますが、
年代を経ていると反発力を回復するのに時間がかかるので、
あまり下が広がらない形になるのだそうです。

ヴーヴ・クリコのセミナーで、
同じワインを年代別に比較試飲したとき
コルクをいただいてその写真を撮りましたので、
その違いをご覧下さい。
( )内の数字はデゴルジュマン(澱抜き)をしてこのコルク栓をした年号です。

La Grande Dame 1995(2000)
Vintage Reserve 1996(2002)
Vintage Reserve 1988(1997)
Vintage Reserve 1980(1986)
Rose Reserve 1996(2002)
Rose Reserve 1985(1995)

ところで、このコルクをした年代がどうしてわかるのか。
ヴーヴ・クリコ社ですべての商品の
コルクをした年代を記録してあるのかといえばそんなことはなくて、
このコルク栓自体に秘密があります。

実はヴーヴ・クリコのコルク栓をした年代が、
コルクにその記号として書かれているからなのです。

そこで、「何とか年号だけでもわかる方法を教えて?」
とお願いしてついに聞いてしまいました。

本当は社外秘なのですが
「年号だけなら」ということで教えていただくことができました。

それでは発表です。まず先ほどのコルクの写真をご覧下さい。

Rose Reserve 1996の写真にいちばんはっきり写っているので
この例で説明すると、
ヴィンテージの「1996」以外に「A23F」という記号が書かれています。

このアルファベットにはさまれた数字の
最初の文字「2」が2002年の1の位を表すのだそうです。

古い年代も同じでVintage Reserve 1980には「62」と書かれているので
1986年になるとのことでした。

もしお手元にヴーヴ・クリコのコルク栓があったら、
ちょっと調べてみませんか。