斉藤弓子のおいしいパリ案内 京都、東山にオープン。
ラ・パティスリー・デ・レーヴ

(2012.08.03)

夢のお菓子屋『La Pâtisserie des rêves』

パリで今、最も人気があるパティスリーといわれる『La Pâtisserie des rêves(ラ・パティスリー・デ・レーヴ)』。夢のお菓子屋という意味で、2009年のオープン以来パリッ子を始め、フランス、世界中のスイーツ好きがとりこになっているお店です。オーナーはホテル経営などを手がけているティエリー・テシエ氏。シェフパティシエは、ピエール・エルメ氏と並び称されるフィリップ・コンティシーニ氏。レストランで腕をふるっていた当時は、パティスリー界の魔術師、クリエイターと言われていましたパティシエです。それから目立った活動がありませんでしが、このお店でパティスリーを提供するというニュースは注目を集めていました。ラ・パティスエリー・デ・レーブから登場するのは「新しい古典菓子」。「子どもの頃の記憶をよみがえらせる」ものです。見た目は斬新なのにどこか愛らしい、初めて食べるのにどこか懐かしい。そんなお菓子が並んでいます。

プラリネクリームの中に流れるプラリネソースをしのばせ、丸く小さなシューをリング状につなげた形がオリジナルのバリ・ブレスト。グラサージュの代わりに、チョコレートシートで全体を包んだエクレア。フィユタージュ、シュー生地を別々に焼き上げ、どこから切ってもクリームが顔を出すパリ・ブレスト。16区にある店舗のみで提供される日曜限定のミルフィーユ。大人の手のひらサイズの、バニラが豊かに香るマドレーヌ…。どのお菓子もそのおいしさとアイディアが話題をさらっています。

釣鐘型のショーケースのプレゼンテーションが印象的なパリの店舗。
クイニーアマン、食いしんぼうサイズのマドレーヌ、クッキーなどどれも評判の味わい。
フランスと同じことを、全く違った方法で

そして9月に京都、その後大阪の阪急に店をオープンします。ラデュレの日本進出のときに「パリだから味わうことができる、とっておきの楽しみであってほしい…」という意見があったように、ラ・パティスリー・デ・レーヴにも同じ声が聞こえています。しかし「フランスと同じことをするために、日本の方々の記憶の中で抜きん出るためには、全く違ったことをしなければなりません」とテシエ氏。そこで、日本の伝統文化が色濃く残る京都、それも東山という地区を選んだのです。そして、抹茶、黒ごま、餡、柿など和菓子特有の素材だけではなく、バター、小麦粉などもできるだけ日本産のものを使いたい、と話します。日本店のパティスリーは、『祇園さゝ木』の佐々木浩氏もアイディアを提供しています。

町家造りの店内は約100㎡の広さ。26席のサロンでは、伝統的な作法でお茶が提供されるとか。オープンに向け、店舗もお菓子も着々と準備が進んでいるようです。

パリ店の秋の新作のロールケーキ。
左からラ・パティスリー・デ・レーヴのオーナー、ティエリー・テシエ氏。パッケージを手がける水野学氏。シェフ・パティシエのフィリップ・コンティシーニ氏。『祇園さゝ木』の佐々木浩氏。日本店のコーディネートをする門上武司氏。
パリ店の秋の新作「コレクション・パリ-京都」

9月の日本店オープンにともない、パリの店舗では日本にオマージュを捧げた「コレクション・パリ-京都」がこの秋に登場します。日本のケーキで人気のあるロールケーキは、ふわりと軽い仕上がり。ビスキュイにはライム、カスタードクリームには柚子と、爽やかな酸味を加えています。半球状のメレンゲが乗った「Meringue Neige(ムラング・ネージュ)」の下には、黒ごまのクリーム、底には香ばしいプラリネ。ポイントはその温度差です。冷蔵庫に入れるとクリームはひんやりと冷たくなりますが、メレンゲは温度が冷えることがありません。食感と温度差が楽しいデザートとなっています。

パリ・ブレストの日本バージョン「kyoto-Brest(京都・ブレスト)」は、餡を加えたアーモンドクリームとフレッシュマンゴーの組み合わせ。一見以外なようですが、餡の重みとマンゴーのみずみずしい甘さのバランスがよいケーキです。

丸いシューをリング状につなげたオリジナルの形「Kyoto-Brest」。
餡とマンゴーの組み合わせ。フランス人の反応が楽しみです。
伝統とは革新の積み重ね

他には抹茶をベースとしたお菓子が並びます。極薄のビスキュイ生地にホワイトチョコレート、ミルクチョコレートをサンドした「Langues de chat(ラング・ド・シャ)」。加えた塩の華がアクセントとなっています。フィンガー・ビスケットの「Biscuits à la cuillère(ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール)」には、すだちを使用。パウンドケーキには、フレッシュとコンフィのフランボワーズ。抹茶に様々な素材を合わせて、今までにない味わいを作り出しています。「伝統とは革新の積み重ね」とコンティシーニ氏。日本の伝統文化を伝え続けている都市、京都を中心にこれからどんな展開を見せるか、とても楽しみです。

抹茶をベースにしたお菓子。すだちを合わせるという、大胆な素材使いも。
ラ・パティスリー・デ・レーヴ 京都店

9月オープン予定
京都市東山区高台寺北門前通下河原東入ル鷲尾町518

ラ・パティスリー・デ・レーヴ パリ店
93 rue du Bac 75007
メトロ rue du Bac 12番線/ Sèvres Babylone 10,12番線
Tel:01 42 84 00 82
営業時間:9:00~20:00(火~土)/9:00~16:00(日)
定休日:月曜

ラ・パティスリー・デ・レーヴ ブティック&サロン・ド・テ
111 rue de Longchamp 75016 Paris
メトロ Victor Hugo 2番線
Tel: 01 47 04 00 24
営業時間:12:00~19:30(火~金)/9:00~19:30(土・日)
サロン・ド・テ:14:00~19:00(火~金)/12:00~19:00(土・日)
定休日:月曜
HP:www.lapatisseriedesreves.com