根本貴弘のどうニモ靴好きなもので 昔ながらのスニーカー製法、
ヴァルカナイズド製法をご存知ですか?

(2008.07.15)
 突然ですが皆さんはなぜUSAメイドのコンバースのオールスターが人気かご存知ですか?
 デティールが現行のものと異なるからでしょうか?
 希少性が高いからでしょうか?
 もちろんそれらもありますが、実はUSAメイドのオールスターは質が良いというのが一つの人気だったりするのです。その特徴の一つに例えばヴァルカナイズド製法で作られています。この製法によりアッパーとソールがはがれにくく物持ちの良いスニーカーが出来るのです。昔のモノのほうが作りが良いってなんだか意外じゃありませんか?

 現在、生産効率やコストの問題からヴァルカナイズド製法で作られているスニーカーは少なくなってきています。しかしそんなご時世でもなおヴァルカナイズド製法でスニーカーを作り続けているブランドを今回はご紹介。

 その名はマカロニアン!!

 マカロニアンはイタリア軍のスニーカーを手掛けていたルーマニアの工場で生産されていて、ヴァルカナイズド製法でスニーカーを作っています。軍モノを作っていた工場と聞いただけで丈夫そうですよね。でもそんな背景がありつつも見た目は、デザイナー風でこのギャップがなんとも素敵なスニーカーです。しかもこのスニーカーのかもし出す雰囲気は気取っておらずラフにガンガン履きこめる感じ。ソールがかなり柔らかいので地面のデコボコが足に伝わってきて気持ちいい……、のですが実は、足にかかる負担も大きいので私の場合はインソールを入れて履いています。クッション性の高いものを使うのもいいのですが私はあえて足の3つのアーチをサポートするタイプのインソールを使うことでマカロニアンの地面を捉える履き心地は殺さずに足への負担をカバーしています。

 それにしても今でこそマカロニアンは色々なお店で見かけますが、私が学生の頃は雑誌で紹介されても扱っているお店が近くにまったくなく、探すのに一苦労しました。
某雑誌で初めて知り、その頃のストリートではミリタリーの流れをくんでいて、デザイナーズのようなキャンバスとスウェードのコンビに加えて、デッドストックのような匂いを漂わせたマカロニアンはまさに当時の気分にフィットし、
町中探して、
店員に相談して、
輸入元に問い合わせ、
関西のほうでしか取り扱われていないことがわかり、
当時大学受験生だった私には打つ手なくなり、
それから約1年待ってようやく関東でも取り扱うお店が出てきたことを知り即購入にいたったという衝動に駆られてから購入にいたるまでの期間がものすごく長かった思い入れの靴です。
1年前から欲しかったハイカットを購入し、後日別のお店でローカット2足を衝動買い。

今思えばこの頃から靴の買い方が荒くなり、空腹をよく感じていました。いやはや。

反省はするけど後悔しない私。ちょっとの空腹はダイエットと割り切り、今後もストイックに靴を買い続けていこうと思います!

 

【今週の豆知識】
ヴァルカナイズド製法……1839年にアメリカで開発されたクラシックなスニーカー製法。アッパーとソールを手作業で接着させ、その後約200℃の釜の中で熱し、圧着させる。これにより屈曲性に優れたスニーカーが出来る。昔はこのような製法で作られたスニーカーも多くあったが、現在では生産基地をアジアへ移す中で製造方法もアッパーとソールを接着剤で接着する方法へと変わっていった。ちなみにアメリカの工場で生産されていたコンバースのオールスターなどはヴァルカナイズド製法で作られているため現行のものより丈夫な作りになっている。

column_080715_ph1

東ヨーロッパで使用されていたバレーボールシューズの復刻版。ヴァルカナイズド製法。今ヴァルカナイズド製法でスニーカー作っているところあまりないのですよ。もともと体育館用だったとはいえこのカラーリングは外履きでもグッドです。ちなみにハイカットとローカットでスウェードのステッチが異なるなど微妙にデティールが違います。

夏になると一段とグリップ力を増しそうな昔ならではのソールです。スウェードが青のみ、ソールも一部青。彼のチャームポイントです。

足の3つのアーチをサポートするインソール。汚いのは高校生の頃にオーダーメイドしてずっと愛用しているから。これを履くと上半身の筋力がアップする魔法の一品。

足の指の関節部分のアッパーとソールがはがれてしまった現行のオールスター。アメリカ製のヴァルカナイズド製法で作られたコンバースはこうなりにくいのです。