仲原かおるのスローキャリアのすすめ 「楽園」を撮り続ける有名写真家、三好和義の楽園の原点は宮古島?!

(2009.10.01)

三好和義の「楽園」写真を目にした事のない日本人など存在しないのではないだろうか? そう思ってしまうくらい、三好さんの写真はいたる所に登場している。TV、雑誌の表紙、広告・・・・・・。例え三好ファンでなくとも、その写真が三好和義さんの作品だと知らなくても、思わず引き込まれる「楽園」の世界。

日々新たな楽園像を私達に見せてくれる三好さんに、お話を伺ってきました。

スローな楽園・宮古島が三好さんの原点。

写真家として大成功を収めている三好さんの楽園の原点が宮古島だと聞いて、なんだか嬉しくて、これまで以上にファンになりました。世界中の楽園を巡り、日々新たな楽園像を私達に見せてくれる三好さんに、お話を伺ってきました。

「楽園」写真で知られる三好和義さんの作品より。

「さっき宮古島の知り合いで、中学生の時に撮影させて貰った漁師さんの息子さんが経営している、辺土名農園のパーントゥ マンゴーを食べたんですよー。おいしかったあー。」と笑う三好さん。宮古上布の着物も持っているという事で、さすがに通な人は違う! と驚きました。宮古上布は非常に珍しい工芸品で、お値段もかなりするので着物に趣味があってその価値を分かる人でないと所有する事はないと思うので。

 

三好和義と宮古島の運命の出会い。

三好さんが中学の時、教育実習で来ていた先生が宮古島の出身で、夏休みに先生の所へ遊びに行く事になった。それが三好さんと宮古島の運命の出会いだったそうです。最初は昆虫採集が目的で、カメラは持っていたけど、単に蝶や昆虫の写真などを撮ろうと考えての事。しかし、初めて目にするさんご礁の海の美しさに驚き、「カッコいい」カメラマンに出会い、自分も将来カメラマンになろうと決めた、という事でした。高校生になって宮古島に再び旅行。その時に撮影した宮古島の写真が二科展に入選、個展を開くきっかけとなり、プロ・カメラマンへの道へ進む事になった三好さん。その後の活躍は皆様ご存知の通りです。

 

三好和義の好きな沖縄・宮古島の魅力とは。

「台風の後の宮古島の東辺名岬に打ち寄せる波が好きです。ダイナミックで、地球のエネルギーを見ているようで面白いなあーと思います。梅雨あげ直後の沖縄の海、静まり返るベタ凪とでも言えるような海も好きですね。先日撮影にいった沖縄、美ら海水族館近くの備瀬という地区のビーチは、タヒチよりも綺麗だなあー、と感心しました。遠くに夕日の沈む伊江島を望んで本当に綺麗でした(思い出して遠い目……)。宮古島だと東急ホテルの前の前浜も凄くいい。旅は行く度に新しい発見があるし、飽きませんよね。」

前浜が好きという三好さんには、僭越ながら、私の宮古島の一押し! 夏の夜の前浜をお勧めしておきました。周囲に町の明かりの殆どない中、天の川が空の中央からドドーッという感じで南の島独特の月に明るく照らされた遠浅の海に降り注いでいます。どこまでも続く砂浜や海中には、星のようなものが散らばって輝いていますだ(後になって私が光る砂だと思っていたのは蛍のように発光する生き物だと知りました)。聞こえるのは波の音だけ……。暖かい海風に包まれて立っているだけで、漂っているような気分になるでしょう。子供の頃は、砂浜に散らばる「星」を集めて小さいビンに入れたものでした。魔法の瞬間を閉じ込めた気がしてドキドキしたものです。「夏の夜の前浜」三好さんに是非あの感動を体験してもらいたい!三好さんがあの風景を撮影したらどうなるんだろう?! 全ての楽園ラバーの皆さんにも、お薦めです☆

 

●○●これであなたも楽園写真家 楽園写真術●○●

三好さんから直接伝授してもらった楽園写真の撮り方のコツ! 教えます。
三好さん自身もこの撮り方をしているそうです。

○ 望遠レンズより広角レンズで撮る。
三好さんいわく「それによって、空のグラデーションが綺麗に撮れる。海が広く撮れます。」

○ 被写体に寄って撮る。
「(ズームを使わないで)被写体に近寄ると、強調されて綺麗に撮れます。」

○ 目線やアングルを変える。
「写メとか望遠レンズや広角レンズを使わない写真の場合「しゃがんで撮ったり、ちょっと高い位置から撮影したり、普段とは違った目線やアングルを試してみると目を引く写真になるので、色々試してみて下さい。」

○ 気持ちが高揚した時に撮る。
「楽園写真の秘訣は、綺麗だー!と思う時に、その感動を写真に収める事です。その為には、そう思えそうな場所に行かなければならないし、そういう時間にそこに居なければならない。事前に潮の満ち引き、月の満ち欠け、日の出や日の入りの時間など調べられる事は全て調べておくといいでしょうね。」

 
楽園写真は完璧な下準備によってのみ作られる。

三好さんは現地に行く前に、「この場所ならこういうイメージで撮りたい」というテーマを事前に決め、その為にはどういうモデルを探したらいいか、服を着せるならこういう色、ないなら染めて持って行く・・・等、自分の楽園のイメージを最大限に表現する為、考え付く限りの下準備をしていくそうです。自然の美しい風景、海や空のグラデーションは神様からのプレゼント、そこに、三好さんの完璧主義な下準備というコラボレーションが重なって、あの「楽園」写真は生まれるのですね。

でも、「作りすぎるのもダメ!」なんだそうです。やっぱり写真はその瞬間の感激や発見がないとダメ!なのだそう。うーん、絶妙なバランスなのでしょうね。

仕事と趣味がイコールなので、この仕事終わったらどうしようと思う事がまずない。好きでやってる。
「ここ10年20年は、自分の好きなものを好きなようにしか撮らない、というスタンスで仕事をしているので、ストレスは全くゼロです。」という三好さん。「難しいのは自分の、好きなもの、が世の中の流れと上手くリンクするかです。楽園を撮り続けているのだけど、その楽園の内容も自分の年齢や色んなタイミングで変わっていく。自分の中の楽園像として、昔は南国でビーチがあればよかったけど、それがリゾートになり、そのうち日本もいいなあ。となって、今度は仏像や信仰、宗教の内包するものにまで広がってきた。20代の頃は仏像を信仰の対象として撮る事は考えていませんでした。でも今、信仰も含めた仏像の持つ楽園性を撮っている。それらを撮る事で自分も幸せだし、写真を見た人も癒されたり幸せになれる、という事だと思います。最近は京都の御所や桂離宮を撮影しているんですけど、それは、日本人とは何か、を見るには相応しい場所だと思ったからです。天皇の見た楽園、帝の見た楽園、日本人にとっての楽園を深く掘り下げるのが面白いところかな。」

 

三好和義の楽園遍歴が面白い!

「楽園というものが自分の年齢や様々な影響によってこんなに変わっていくものだとは、当初は思いもしませんでした。楽園をずっと追い続けていきたいと思っています。これで終わりという事はないのだと思います。楽園は一箇所ではないし、自分や他人の中にある楽園も移り変わっていくものだし。沖縄も最初は海が綺麗な楽園という所から始まったのですが、今では、沖縄のスピリチュアルな面というか、宗教だけではない、ユタとかそういう沖縄の精神性のようなものにも楽園は見出せるような気がしています。」

 
美しさに感動する気持ちを持ち続けて欲しい。

「特に子供や若い人には、(島の景色や文化、食べ物を)きれいだなあ、いいものだなあ、美味しいなあ、と思う気持ちを忘れないで欲しいですね。そういう気持ちを持ち続けることが綺麗な海や環境を守り続ける事、いい物、本物、文化に繋がると思うので。」と、おっしゃっていた三好さん。でも、私自身もそうでしたが、美しい海に囲まれて育った人にはそれが当たり前すぎて、その美しさに鈍感になってしまう。他人に言われて初めて自分の身近のものの良さが分かる。という事もあると思うので、三好さんには、これからも「楽園・宮古島」を撮り続けて、その美しさを再認識させ続けて欲しいと思いました。

 

写真集『ニライカナイ』をプレゼント。

三好和義の見た楽園・沖縄・宮古島の写真集『ニライカナイ』(リトルモア 刊)を抽選で1名様にプレゼント致します。サイン入りです!! 三好和義が高校生の頃に撮ったモノクロ写真も収められており、三好和義の楽園の原点を見る事ができます。昔撮影したのと同じ場所の写真などもあって、三好ファン、沖縄・宮古島ファン・楽園ファンなら絶対に手元に置いておきたい一冊です。沢山のご応募お待ちしております!

 

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