酒井靖之の“激闘! クリエイティブ一直線” 売れるコピーと
売れないコピーのちがいは?

(2011.10.18)

横文字職業の代表格「コピーライター」

「でっかいどお。北海道(全日空)」
「おいしい生活。(西武百貨店)」
「くうねるあそぶ。(日産)」
「着やすい。つまり脱がせやすい。(伊勢丹)」
「24時間戦えますか(三共)」

日本最盛期、いわゆるバブル時代は、バンバン物が売れた時代。
キャッチコピーも、当時の良き時代を反映したものだったり、新しい時代を提案するものだったり、
まあ、記憶に残る名作コピーが多かったように思う。

当時「コピー」とは、特別な才能を持った人が書くもの、という認識があったし、僕もそう思っていた。
実際のところは知らないが、売れっ子は、1行ウン百万円とも言われていたあの時代、横文字稼業の代表格・コピーライターは、花形職業であった。

しかし、今やコピーライターは特別な職業ではなくなってしまった。

Webの台頭により、広告代理店を通さず、企業が独自に情報を発信できるようになった。リアルタイムな情報発信が当たり前となり、企業のマーケティングも、即時性が求められるようになった。

つまり、企業の宣伝部やマーケティング部、果ては個人がコピーを書いていく時代になったのである。


コピーの目的とは?

コピーとはつまり、商品のもつ魅力や必要性を「伝達」するものである。
商品そのものは、なんの伝達能力(コミュニケーション能力)も持ち合わせていないので、商品だけを売り場に置いていても、まず売れない。

売り場では、よく「店頭POP」と言われるものを目にする。
商品の特徴だったり、スペックだったり、つまり商品の魅力を伝えているアレである。CM等で、商品特徴がよく分かっている商品は別として(CMにはキャッチコピーはつきもの)、「店頭POP」だったり、Webだったり、何らかの情報を得て商品を買う、という方は多いはずである。こうした情報が、つまりコピー。
コピーとは、商品を「売れる商品」にするための、大切なコミュニケーション・ツールなのである。

売れるコピーとは?

前述したようなコピーは、僕が好きなコピーであるが、その企業や商品の持つ世界観を伝えるものであって、必ずしも売り上げに直結するものではない。ましてや今の時代、本を読まない方が増えている。失礼な言い方だが、情報の受け手の創造力が不足している中で、コピーライター的なコピー、あまり詩的なコピーを並べても売れないのである。

ならば今の時代、いかようなコピーが「売れる」コピーなのか? それは「殺し文句」「インパクト大な言葉」を使うことだ。

「すらっとしたスタイルに」→「激ヤセ、あこがれのモデル体系に!」
「生え際が元通りに」→「ハゲは治る!」
「この商品、売れてます」→「売れ過ぎで、困ってます」

これはあくまで参考だが(上記コピーは、広告考査的にはかなりキビシイ)、インパクト大の意味がお分かり頂けたろうか?あと重要なのは、モノが溢れているこの時代、その商品の「必要性」を訴求すること。「その商品とともに生活する楽しさ」を伝え、想像させてあげることだ。

「熟練職人がつくるティーカップで、午後の優雅なひとときを」
「男の休日は、極上のレザーで」
「和の朝食を極めれば、黒檀の箸」

等々。

他にも売れる方法論は幾つもあるのだが、最低限この2つは必須である。

広告コピーとは、上手い、下手ではない。
「売れるコピー」が、良いコピー。
「売れないコピー」が、悪いコピーなのである。