遠藤伸雄のAgenda Musicale 青山でのジャズのライヴはいかがですか?

(2008.08.12)
と言っても、「ブルーノート」へのお誘いではありません。
高級ジャズクラブのような高価な料理とワインは出ませんが、とても楽しいジャズが聴けますよ。
それも超低料金で……ミュージックチャージは無しで、缶ビールやサンドイッチをオーダーすれば良いのです。
 
青山学院の近くに、「SEABIRD」というジャズ喫茶(この言葉も、もはや死語?)があり、そこで、「2金セッション」と呼ばれる毎月第2金曜日の夜7時半から始まるライブは、この8月8日で、実に165回目のセッションでした。第1回目が1994年の9月ですから、ほとんど休みなしに、ここ14年間、毎月「2金」に行われています。
 
その日も、記録的な猛暑やオリンピックの開会式(中継)にも負けず、熱心なジャズファンがつめかけました。
とはいっても 「SEABIRD」 は、詰め込んでも総勢20人が座れるかどうか、という小さなお店です。
なので、各プレヤーが本当に目の前で演奏をするので、迫力満点です!
大相撲の「砂かぶり」ならぬ、(サックスやトロンボーンなどの)ホーン奏者の「唾かぶり」といったところでしょうか?
 
セッションのメンバーは、妙齢の女性から団塊オジさんまで世代はまちまちで、ほとんどがアマチュアですが、それぞれ学生時代からプレイを続けている経験豊富な、プロ顔負けの腕前の持ち主で、アドリブもかなりクールな線を行っています。
基本的な編成は、ピアノ、ベース、ドラムスのリズムセクションに、トランペット、テナーサックス、アルトサックス、トロンボーンなどのホーンセクション(回によって色々替わります)によるコンボです。
又、お客さんだと思っていた人が、やおら楽器を取り出して、セッションに加わるといったハプニングがしばしばあってとても楽しい夜となります。
今回も、香港在住のベーシストや、ソフトな音色のポケット・トランペット持参の銀行マンが飛入り参加したジャムセッションがありました。
 
演目は、本格的なジャズのナンバーを中心に、ブラジル在住経験のある歌姫による小粋なボッサ・ノーヴァとムーディな歌声の男性ヴォーカルによるスタンダードナンバーが数曲加わるといった、ヴァラエティに溢れるプログラミングで、飽きさせません。

ちなみに今回(8月8日)のプログラムは次のようなものでした。

 

  1. Jeannie / Duke Pearson
  2. Time Remembered / Bill Evans
  3. Almost Like Being In Love / Frederick Loewe 
    女性ヴォーカル
  4. Inside A Silent Tear / Blossom Dearie 
    女性ヴォーカル
  5. Agua De Beber / Antonio Carlos Jobim)
    女性ヴォーカル: ボッサ・ノーヴァの定番「美味しい水」。祝!ボッサ・ノーヴァ誕生50周年!
  6. Pent Up House / Sonny Rollins
  7. Liberated Brother / Horace Silver作の乗りのいい曲。でも筆者は Liberated Brassiere の方が好きです!?

—————(休憩)—————

  1. Billy’s Bounce / Charlie Parker
    香港のベースマン、Ptp.銀行マンも参加しての白熱のジャムセッション!
  2. Summer Night / Harry Warren
  3. La Mer / Charles Trenet
    男性ヴォーカル。Charles Trenet作の名シャンソン
  4. Eu Sei Que Vou Te Amar / Antonio Carlos Jobim
    女性ヴォーカル。確かに「成蹊の坊ちゃま」と聞こえます!→「ソラ耳アワー」に要投稿
  5. A Felicidade / Antonio Carlos Jobim
    女性ヴォーカル
  6. Avila & Tequila  / Hank Mobley

 
プログラムと言えば、かってこの「2金セッション」に伝説的(筆者だけが騒いでいる?)なイヴェントがありました。
なんと、ジャズやボッサ・ノーヴァの有名曲の題名で「A」から始まる曲『Alone Together』から「Z」で始まる曲『Zanga Zangada』まで、アルファベットをすべて網羅した数々の曲を25ヶ月(2001年4月~2003年4月)かけて順番に演奏したマラソン・シリーズ。
各回平均6曲としても、合計150曲にのぼりますから大変なものです。
 
という訳で、とても楽しめるライブですので、ジャズがお好きな方、「2金」に時間が空きましたら、是非聴きにいらっしゃって下さい。
「SEABIRD 」の場所など詳しくは、同セッションのピアニストJazMys氏(実は、筆者の小学時代からの楽友なのです)の下記サイトを参照願います。

http://www001.upp.so-net.ne.jp/jazmys/

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「SEABIRD」の「2金セッション」の様子。毎月第2金曜19:30~。

小さなお店なので、各プレヤーが本当に目の前で演奏をする満点の迫力。

お客さんだと思っていた人が楽器を取り出して、セッションに加わるといったハプニングも。

写真/シンガーソング・カメラマンS氏