初めまして。加納忠幸と申します。「バッカス・マーケット」というワインの通販サイトと、東京都府中市にある「柏屋ワイン館」というワインショップの館長をやっています。

　私がワイン業界に足を踏み入れたのは1994年。恵比寿ガーデンプレイス内にある、「ワインマーケットPARTY」というワインショップの立ち上げと、初代店長をすることになったときです。

　それまで、私はビール会社で、主にビールの営業をしていました。そのビール会社が開発した恵比寿ガーデンプレイスにワインショップをつくることが決まったとき、店長の社内公募があり、私も手を上げ、運良く店長になったのです。

　それまで、ワインショップというと、黒服を着た人が接客する、格調の高いお店ばかりでした。お客さんも、ワインのことを良く知っている、ハイソな方が中心。ワインの飲み方も、グラスを回し、香りをかぎ、一口含んで、ちょっと一言というような、なんとも難しいもの。

　私は元々ビール屋。ビールを飲むのに難しいことを言う人はいません。一口飲んで、にこっとして、「美味しい」というような飲み方がほとんどではないでしょうか。ワインだって、そんなビールみたいな飲み方をして欲しい。そんな思いで作ったお店が「ワインマーケットPARTY」でした。

　「ワインがない生活よりも、ワインがある生活の方がより楽しいよ。」ということを、どのようににお客さんに知っていただくか。それには、自分がワインを楽しみ、それをお客さんにも伝えていくしかない。それが私の結論で、今でもそれを実践しているという次第。

　そんなわけで、私がワインを楽しむお話をこれから書いていきたいと思います。ワインをつくったり、ぶどうを育てたり、パーティーをしたり、ワイナリー巡りをしたり、美味しいものを食べに行ったりといった話が中心になると思いますが、少しでもワインを楽しんでいただくヒントにしていただければ幸いです。

　どうぞよろしくお願いいたします。

写真はオーストラリアのワイナリーの庭にて。