島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年5月23日〜5月29日編『フォルクスワーゲン ゴルフGTIカップカー 』『ポルシェ356Bロードスター』

(2010.09.06)

実は今年、私はレースに出場している。年間通して参戦するのは2003年以来だから、実に7年ぶり!  日頃の仕事では、500ps級のスーパースポーツカーに乗らなきゃいけないこともある、たとえ雨中でも……。そんな時にも怯まず、クルマのできるだけ深いところまで見られるようにと考えたら、やはりもっとスキルを上げなくちゃ!  と思ったのである。

今回は2010年5月23日〜5月29日編です。

 

フォルクスワーゲン ゴルフGTIカップカー 5月23 岡山県 岡山国際サーキット

レースはゴルフGTIのワンメイク。つまり同じクルマで順位を競う。改造箇所はほぼ安全装備などに限られていて、つまり腕の勝負となるのである。

スポーティな走りで評判のゴルフGTIだが、レースカーとしては運転は難しい。市販車では安全性などに寄与している数々の電子制御デバイスが、極限状態では時にマイナスに働くこともあるのだ。

「この中で本当にレースやるの?」という豪雨の中のレース。予選は2位、決勝は1つポジションを落として3位だった。雨でも表彰台は、とても気持ちが良かったのだった。やったね。

 

ポルシェ356Bロードスター 1960年式 5月25 都内近郊

雑誌『ル・ボラン』の取材でポルシェマイスターの宮下実氏を訪ねたところ、ちょうど整備が終わったクルマを取りに行くというので、ラッキーにも同行。氏がクラシックカーラリーなどで駆っているポルシェ356Bロードスター(後)のステアリングを握らせていただいた。

ちなみに前の車両は、この日引き取りに行った356Aカブリオレ。こちらは1959年式である。中身も細かく異なるが、一番の違いは顔。“A”の方がバンパーが100mm低く、ヘッドランプなどもそれに伴って低いところにある。北米の安全規則に合わせるために“B”が生まれたのだ。

ウソのように軽いボディはさすがドイツ製らしくカチッとした剛性感にあふれ、リアに積む空冷水平対向4気筒エンジンは、出力こそそこそこながら軽快なビートを奏でる。これを都内でオープンで流すのは最高の快感だった。
宮下さん、ありがとうございます。

フォルクスワーゲン ポロTSIハイライン 5月27 神奈川県 箱根周辺

先週ちらっと味見したポロに、試乗会で改めて対面。コンパクトカーとは思えない質の高い内外装、そして走りっぷりに改めて感心させられた。
価格は充実装備のこのハイラインだと242万円だが、エントリーのTSIコンフォートラインなら213万円。「日本車はもっと安い」って? こちら日本車が平気で省略する後席中央席のヘッドレスト、サイド&カーテンエアバッグ、ESP(いわゆる横滑り防止装置)も全部ついている。最高出力105psあって、燃費は20km/ℓだ。実はちっとも高くないのである。
更に9月いっぱいならエコカー補助金も、そこに加わる。もし間に合えば、だけど。

フォルクスワーゲン ティグアン トラック&フィールド 5月28 横浜みなとみらい周辺

コンパクトSUV比較ということで久々に試乗したベストセラーのティグアン。大雑把に言って、ベストセラーであるゴルフ、そしてパサートの車体をベースに背を高くし4輪駆動としたモデルだ。
サイズは手頃で室内の使い勝手は良く、エンジンはパワフルで4輪駆動の性能も上々と、全方位に良く出来た存在と言える。その辺りはゴルフにも通じるところも。その分、面白みに欠けるという見方もできるが、アレコレ条件をあげてライバルと較べつつ考えていると、結局ここに行き着いてしまう。そんな1台をきっと定番と言うんだろうな。

BMW X1 sDrive18i 5月28 横浜みなとみらい周辺

ティグアンの市場を奪うべく投入されたX1は徹底的に日本市場を意識したSUVだ。全幅は1800mmに抑えられ、全高も1550mm以下と、つまりほとんどのタワーパーキングに入る範囲に収められている。しかも価格は363万円! 何と同じエンジンを積む320iより、それどころか120iより安く、上記ティグアン トラック&フィールドに対しても、また9万円安いのだ。

秘密はこのX1 sDrive18i、4輪駆動ではなく後輪駆動だということである。けれど街乗り中心のSUVとしては、それでも十分。地上高があるだけに河川敷に降りていくぐらいだったらセダン以上の使い勝手の広がりを堪能できるだろう。
実際、今売れに売れている1台である。

ルノー カングー 5月28 横浜みなとみらい周辺

元々はフランスの小型貨物運搬車をベースにした乗用車。しかしコレが走らせると猛烈に楽しい。エンジンは非力ではあるが回して走らせると元気があって、思わずもっと踏みたくなる。サスペンションはコーナーで粘りに粘って、曲がりくねった道を行くのは最高のよろこび。しかも乗り心地はフランス車らしく抜群だし、当然室内もこれでもかというほど広いのだ。

クルマ大好きだけど家族のために広いクルマに買い替えなくちゃならない。とは言っても日本のミニバンは絶対イヤ! という人を中心に売れまくっている。実際、この3台でどれか1台と言われたら、やっぱりコレを選んじゃうだろうな。

土日は岡山でレース。月、火は都内で水曜日は富士スピードウェイに行き、木曜日は箱根、金曜日は横浜…と、この週も随分走り回ってしまった。忙しかった気がするけれど、思い出すのは楽しいレースのこと。いい週だったなと。