加納忠幸のワイン飲もうよ ビールづくりに挑戦。

(2010.03.15)

2月末に茨城県の「木内酒造」
若手社員の研修を兼ねてビールづくりに行ってきました。

木内酒造は元来日本酒の酒蔵だったのですが、
日本酒のほかに「常陸野ネストビール」という地ビールをつくり始め、
更に「手づくりビール工房」という、
一般のお客さんがビールをつくることができる設備があるのです。

10:00からの予約で府中を7:15に車で出発したら、
途中全く渋滞に会うこともなく、
時間調整のため高速をゆっくり走って行ったのですが、
9:30頃には着いてしまいました。

私はこちらでのビールづくりは2回目。
今回は引率者に徹しました。

まず最初に、つくるビールのタイプを決めます。

軽いものから重いものまで、4種類のビールを試飲し、
この中からどのタイプにするか、決定。
今回は左から2つ目のアンバー。
アレンジとして香りを強くし、アルコール度を最大の8%に設定。

まず、麦芽を計量。

  ペール     7.6kg
  ミューニック  1.1kg
  クリスタル   0.6kg
  チョコ     80g
  ブラック    20g

約15リットルのビールをつくるのに、9.4kgの麦芽を使用。
アルコール度数を高くするためには
当然のように麦芽の量も多くなるのだそうです。

ちなみにチョコとブラックという麦芽は黒く焦がしたもので、
こんなに少量でもビールに色がつくようです。

計量した麦芽は、このような大型の破砕機で破砕。
前回来たときは小型の破砕機だったので、破砕に時間がかかりましたが、
この機械を使うとあっという間です。

挽き方はこのように荒挽き。

50度に温度調整した湯が入った釜に麦芽を入れ撹拌。
温度を均一にするため釜の下の蛇口から麦汁をジョッキに取り
釜の上から戻す作業を5回繰り返します。
この作業の間に麦芽の澱粉が酵素によって糖分に変わります。

その後、釜の温度を65度まで上昇します。
65度になると酵素が死んでしまい、糖化ができなくなるのだそうです。
65度になったら、40分ほど休憩(レスト)。
その間に、ホップを計量します。

今回は、チヌーク、カスケードという2種類のホップを使用。
チヌークは苦味を、カスケードは香りをつけるのに使います。
カスケードは2回に分けて投入するため、容器が3つあります。

糖化が完全に行われたかどうか確かめるため、
サンプルにヨードを落とします。
確か、小学校のときにこんな実験をしたのを思い出しました。
色が変わらなければ、糖化完了。

釜の中の麦汁はこんな状態。
飲んでみると甘くて結構うまい。
うまいビールになりそうな予感を感じさせます。

次に76度以上に加熱し、
また釜の下の蛇口から麦汁を取り出し手上から静かに注ぐ作業を繰り返し、
釜の中に麦芽の層をつくります。
この作業を繰り返すと濁っていた麦汁がだんだん澄んできます。

麦芽が澄んできたら、下から抜いた麦汁を煮沸釜へ移動。

今まで作業していた釜にはこのように麦芽かすが。
この麦芽かすを食べてみるとほとんど味がしない。
中のエキスが全部抜けきってしまった感じです。
この麦芽かすは発酵させて自家農園の肥料に使うとのこと。

煮沸釜の温度を100度まで上げホップを3回に分けて投入。

麦汁を煮沸している間が昼食タイム。
木内酒造内にある直営そばレストラン『な嘉屋』から料理が届きます。

野菜は自家農園のもの、
そばは水を使わずに酒だけで打った十割の酒蕎麦とのこと。

デザートのチーズケーキは酒粕でつくったものとのこと。
確かすにチーズと酒粕の絶妙な組み合わせでした。

この食事は作業場で食べれば1,500円でしたが、
レストランで食べると1,880円のようです。

煮沸が終わり釜を開けると
釜はこのようにかすのようなものがたくさんついた状態に。

この麦汁を

熱交換器を通して冷却し、右下に見えるポリバケツの中に移せば
仕込み作業は終了。
後は、木内酒造の方が酵母を入れて発酵させ、
約1ヵ月後にできあがったビールが届くことになります。

朝10時に作業を始めて、ポリバケツに移したのが14:00頃。
約4時間の作業です。

このビールづくりの料金は今回の15リットルの釜で27,180円。
これで330ml、45本のビールになります。

東京からちょっと遠いのが気になりますが、
つくってみるとめちゃくちゃ面白い。
ビールがどのようにしてできるかも良くわかり、
つくったビールが1ヵ月後に飲めるのも楽しみ。

お酒好きの方には絶対お勧めのイベントだと思います。

 

木内酒造

茨城県那珂市鴻巣1257
Tel:029-298-0105