新岡淳のトラディショナル・コスチューム モディリアーニと女

(2010.01.12)

きものを着ると女性の目が優しくなります。

それを見ている私も自然と優しくなり。これは、最高のオシャレをした満足感が為せる女性の色気なのかもしれないと思っています。

そこには単なる「眼ちから」などと表現することでは足りない、気力と力強さを感じるのは……私だけでしょうか???

 

あなたが話し相手を見るときの、あの目はダメ!

 

この話を私に言った方は既に亡くなりました。この話は言わば故人の言い付けになります。私はその女性をたいへん尊敬していましたので、今は自分の視線に殊の外注意を払っています。

 
曰く、優しい目をして人を見ると相手が誤解をするとのこと。

 

ではどんな目で人を見れば良いのか? 故人は何も言わず、申しつけだけが今の私に残っています。

 

人と話をするに当たって話す相手を60%以上をみつめると攻撃的と取られ、40%未満だと誠意がないと取られる そうです。時計を見ながら話す訳でもなく、またどこで話が終わるかも予想しにくい商談において、この20%以内に留めるにはなかなか簡単にはいきません。だから20%の糊代があるのかもしれませんが。

特に、クロージングのタイミングになれば不安を取り除く必要もあり、当然相手の目を見て話を纏めていきますので、そこで60%を超えたから と目を逸らせば決まるものも決まらなくなる というジレンマですね。ここで見つめすぎると攻撃的?

 

視線を考える時に必ず私が思い浮かべるのが、モディリアーニの描く女性たちです。

 
彼女たちはみな俯いています。

あの悲しい表情を見る度にこの女性はいったいどんな人生観でこんな顔が出来るのかしらと考えてしまう。この表情では営業は無理ですよね。みんな右下を見る視線は絶望以外の表情は汲み取れないように思います。

 

モディリアーニのモデルたちもきものを着れば、きっとステキな優しい目になったのではないのかしら? そう思えてなりません。後世に残る絵も違った形で名を上げたのではないか と考えたりしています。

 

いずれ私の肖像画(!!)を書いて貰う時が来たら、その時はきものを着て上を向き喜びに溢れた表情でモデルを務めようと。

 
単なる変態に見えないように・・・。