グー先生、今日も料理三昧 卵焼きが好きなもんで。

(2008.07.29)
 「巨人・大鵬・卵焼き」懐かしい流行語である。1960年代前半に流行した、言わずと知れた子供の好きなものトップ3。でも本当は、子供っぽい大人を皮肉った言葉だったそうだ。本当にそうなのだとしたら、「巨人・柏戸・卵焼き」だった父は、かなり子供っぽかったのだろうか。確かに子供っぽい一面があったかも知れないなー。ま、子供っぽさがあったかなかったか、そんなことはこの際どっちでもいい。

 朝のラジオの生放送で母がインタビューされたことがある。時の人話題の人?一般人だからそんなわけがない。電話を引いて間もない頃だったから使いたかったんだろうねぇ。
 「それでは次の方にまいりましょかー。おはようございますー。」で始まって、
 「ほぉほぉ。毎日ご家族みんなのお弁当を作ってはる。それは大変ですなー。」
 「もう慣れましたわ。ちょっと作るのんもいっぱい作るのんも変わりません。オホホ」
  (オホホってなんやねん。しかも電話やのに口に手ぇ当ててるで)
 「ご主人の好きなおかずは何ですかー。」
 「あの、卵焼きが好きですねん。子供みたいな人で。」(って、なに照れてるねん)
 「ほぉー、卵焼きね。」

 そんな会話がされていたような気がしなくもなくもない。(ってどっちやねん!)
 ようはほとんど覚えていない。成長期の子供は、そんなことに朝早くから付き合わされるより、もっと寝かしてくれー! なのだ。しかし、おかげで、父が卵焼き好きだと言うことをその時初めて知った。

 そして私は、と言えば、やっぱり卵焼きが大好き。(やっぱ、血ぃですなぁ)
 世界の中心で卵焼きを叫ぶ。である。(ちょっと古いけど)

 そんなルーツあっての私なので、蕎麦屋に入って卵焼きがあれば、これはもう、食べずには帰れない。お品書きの「卵焼き」の文字が飛び込んでくる。そこだけ太文字立体文字なんだから目に付くワケよ。(ちゃうと思うなー)

 で、卵焼き百戦錬磨をしていると、出汁フェロモンにとろけてしまいそうになる美味しい卵焼きもあれば、運んで来た兄ちゃんと卵焼きを交互に何度も見て「兄ちゃん、これって……。」と絶句してしまう、なーんじゃこれ?なのもでてくる。
 蕎麦屋の卵焼きは、蕎麦つゆや返しで味付けしたちょっと甘じょっぱ系のが多かったけど、近頃では色々なタイプがあるからそんなことが出てくる。……んだと思う。

 そんな中で、出汁の利いた卵焼き、やっぱりいいよね〜。(関西人やからやろか〜)
 まとまるギリギリまで入っていて切ったとたんにジュワッと出汁が出てくるもの。濃い出汁を使って鰹の香りが立ち上がってくるもの。フワフワのぷるんぷるんで半熟っぽさを残して焼き上げてあるもの。

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 蕎麦屋で食べてるなーとしみじみ感じさせる甘じょっぱ系も捨てがたい。
 老舗の味と言っていいもの。さすがに一人で食べるには大きいもの。老舗じゃなくてもちょいと昔気質を感じるもの。

 女性が打ってる蕎麦屋の卵焼きは、その人の雰囲気が出ていて面白い。
 シャイで口数の少ない人はちょっと小振りで味付けがとても控えめ。笑顔が人なつっこく優しい人はみんなに好まれそうな味の広がりがある。筋肉質の腕をした人は食べ応えのある大きさで挑んで来た。

 そんないい子ちゃん卵焼きの中にあって、異彩を放っているのがなんじゃこれ系。
 出汁入ってるのかなーと思うほど、ほとんど卵の贅沢な(?)、見かけも中身もヘビーで「ちょっと残してゴメンな。」なもの。おまえはブラマヨか?とツッコミたくなる見かけに相反して、中の柔らかさはなかなかで「おまえエエやつやんかー、疑ってごめんな。」とちょっと思ってしまうもの。

 こうして「卵焼きブロマイド」はどんどん増え、そのうち写真集が出せるかも?

 最後に、巻きすで形を整えるお弁当向けなので、蕎麦屋の焼きっぱなしとは、ちと違うけど、仲間に入れてやってください私の卵焼き。