黒岩卓の”人生は芋づる式” オトナの夫婦プロジェクトは考える。私は妻に愛を叫べる……か?

(2009.06.03)

●前回のおさらい……夫婦の危機

50代からの「オトナの夫婦の危機」を話すと、決まって会社の先輩方から「苦笑い」され、深く「納得」されるのが、「子供がいなくなると夫婦でいるのがしんどくなる」ということです。まず、辛いのは土日。1日中2人で家にいても何も会話がない。「相手の今の趣味はなんだっけ?」、「一緒にすることがあるわけでもなし」、「いまさらご機嫌とるのもばかばかしいし」……とにかく間が持たない二人の時間に四苦八苦。

「シニアを元気にしたい……だから夫婦プロジェクト」と説明をすると、よく質問されます。「なぜ、家族じゃないの?」と「家族」は親と子でできているから血縁関係。でも夫婦はもともと赤の他人。日本のシニアはまさにこの<夫婦:他人関係>をどう「うまく」こなしていくかという大きな命題を背負っていると思います。

●キャベツ畑の中で愛を叫ぶ……か?

私たちは最初、シニアの夫婦が仲良くなるためのプロモーションを考えようとしていました。

昨年話題になった『キャベツ畑の中心で愛を叫ぶ』。若者からお年寄りまで多くの男性陣が嬬恋の自然の中で愛する妻や恋人を前に自らの想いを叫びます。

企画者である「日本愛妻家協会」事務局長の山名清隆さんのお話を伺った事があります。

山名さんが奥様によって自分の人生を救われたこと。それによって夫婦の絆の大切さに気付かされたこと。……それがあの活動の原点だったそうです。

このメッセージキャンペーンをきっかけに海外メディアがたくさん取材に来たそうです。「日本にも奥さんを大事にする男がいるのか?!」……ということで。(だいぶ極端な日本人像かもしれませんが)素晴らしい企画だ!……と思いながらも、あー自分にはまねできない(山名さんには敵わない!)。キャベツ畑で愛を叫ぶのはちょっと難しいな? ……と思い知らされました。

自分にリアリティのないことはプロジェクトにしても嘘になる。だから、自分の本音ベースで夫婦のことを考えようと。「オトナの夫婦プロジェクト」は夫婦仲良くではなく、どうすれば夫婦が折り合いをつけていけるのか? ……それが我々の命題となりました。

 

●LOVEじゃない二人の関係を

夫婦は他人。これがプロジェクトの原点です。定年を迎えたら急に仲良くなんて……そんなことできるわけがない。そうではなくて、もともと他人だった夫婦がもう一度他人に戻る生活、それがシニアライフ。

でも、今度はLOVEの関係じゃない(たぶん?)。それなりの年輪を重ねた大人同士、お互いの人生を否定せず、認めあえる関係が作っていけるといいかな……それなら自分にもリアリティがあるかと。峰竜太さんもこれなら納得してもらえるのでは?
 
……というわけで、「オトナの夫婦プロジェクト」の真面目な背景はこれくらいにしてあとは、私たちがやっている仕事や、日々お付き合いしているいろいろな方々のことをご紹介していきたいと思います。