島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年8月9日〜8月15日編『ポルシェ911GT3』『ベントレー ミュルザンヌ / ベントレー コンチネンタルスーパースポーツ コンバーチブル』

(2011.01.20)

普段、8月にはそれほど海外でのお仕事は無いのだけれど、今年は有り難いことに一件のお誘いが。正直、日本で夏を過ごすよりはるかにはるかに嬉しい。いや、もちろん仕事なんだけれども、ね。
今回は2010年8月9日〜8月15日編です。

 

ポルシェ911GT3  8月6〜8月13 都内近郊

ポルシェ911シリーズの中でも、もっとも硬派な1台。エンジンはレース用直系でサスペンションはハード。すべてが走りのためにつくられていると言っても過言ではない。実はこのGT3、最初期型である2000年モデルを以前、所有していたのだが、その頃に較べると動力性能は圧倒的に高まり、それでいて段差の乗り越えなどの際にフロントの車高を上げることができるなど実用性もしっかり確保された、より完成度の高いスポーツカーに仕上がっている。正直言って他の911とは別物の別格。永遠の憧れ的な自分にとって最高のクルマなのだ。

 
ベントレー ミュルザンヌ / ベントレー コンチネンタルスーパースポーツ コンバーチブル 8月11日 イギリス クルー周辺

実はこの夏のイギリス旅は、9月に正式にデビューした新型コンチネンタルGTをこっそり見せてくれるという垂涎のツアー。更に、その翌日には最新のベントレーに本社周辺のカントリーロードにてたっぷり試乗できた。

ミュルザンヌは全長5.5mもあるサルーンながら、さすがベントレーらしくハンドリングは素晴らしくスポーティで、V型8気筒6.75ℓ直噴ツインターボエンジンを唄わせながら、思わずハイペースで走り回ってしまった。一方のスーパースポーツ コンバーチブルは、車重が2.5トン近くはあるはずなのに、まるでポルシェ ボクスターに乗っているかと錯覚させるような軽快感を堪能させてくれた。
しなやかで、且つ鋭いフットワークはまさにイギリス車。景色も機構も良い環境で思い切りベントレーを味わえたこの週末のことは、しばらく忘れられそうにない。

 
アウディR8 V10  8月13〜17日 都内近郊

広報車両として導入されたばかり、おろしたてのR8 V10を世間の夏休みの間、慣らし運転を兼ねるということにてお借りした。新装備のLEDヘッドランプを装着した、何と右ハンドル仕様だ。

これまでR8には何台も乗っているが、やはり生産品質はじわじわと改善されていくのだろうか。同じR8ではあるけれど、何だか全体がビシッと引き締まって、ますます洗練されたクルマになっているように感じられた。うーん、機械とは何と奥深いものなのだろう。

但し右ハンドルはペダルの位置が今ひとつで乗っていて腰が疲れやすかった。これは極限まで空間設計を突き詰めているスポーツカーでは仕方の無いこと。不満ならおとなしく左ハンドルにすればいいのである。

ああ、振り返るとこの週は何と贅沢なクルマたちに乗っていたのだろう。あまり好きではない夏だけど、こんな素敵なこともあるのだから人生悪くない、なんて大げさか。下世話にも車両代金を全部足すと、1億円オーバーだ。でも、間違いなくその価値のあるクルマたちばかりだったと断言したい。