山本嬢の王道と邪道のはざまで case 2 : ヒトクセあるチーズを選んでみる。

(2008.07.01)
とにかくチーズが大好き。

三度の飯よりチーズ好き。
周囲に、1人か2人はいるんじゃないでしょうか。
デパ地下の「チーズ王国」でチーズ盛り合わせを買って喜んでるレベルなら、まだ平和。

銀座「アロマッシモ」、虎の門「フェルミエ」、神楽坂「アルパージュ」のトライアングルを駆け巡り、自宅にはチーズ熟成用セラーを常備……ってアンタどんだけチーズ喰うたら気がすむんじゃい、というチーズ・フェチ。
そんな人へ、うっかり
「へえ、チーズ好きなんだ。じゃ、今度面白いのを見つけたら、とっといてあげる」
なんて約束をしてしまった場合。
相手の目の奥が、怪しく光るのです。
<このアタクシを面白がらせてくれるチーズを、アナタが用意するですって?>
なんて、かなり上から目線。

ちくしょー、どうせチーズのことなんか分かんねぇよ。
ええい、世の中のチーズが全て雪印の三角チーズになっちまえばいいのに。

とヤサグレる前に1つ、勝負に出てみませんか。

 

師弟愛で生まれた、日伊合作わかめチーズ

イタリアのチーズ熟成士で、ハンシさんという人がいます。彼、以前は南チロルのレストランでシェフをやってました。そのレストラン時代、ハンスさんのもとで料理修業をしていた日本人の愛弟子が男女1名ずつおりまして、彼らがついに結婚! そこで仲人役を引き受けたハンシさんは結婚式のため来日してきました。せっかくなので、と弟子の案内で築地観光をしつつ
「そういや、チーズの表面に何か巻いてから熟成させたいんだよねぇ」
と何気なくつぶやいたんです。
そこで、とっさに愛弟子がリコメンド。
「じゃ、コレなんてどうです?」
「コレって、なに?」
「わかめ」
「はっ?」
そしてハンシさんはイタリアへ帰り、本当に「わかめチーズ」を作っちゃったのでした。愛弟子である三輪さんの名前から、チーズの名前は「MIWA」。

そんな逸話を持つチーズが今、独立を果たした三輪さんのレストラン「三輪亭」で販売されています。

ちなみにこの「三輪亭」、イタリア料理店ではありますが、北イタリアのチロル料理に特化しまくり。海外で日本料理店に入ったら、いきなり鮭のチャンチャン焼きが出てきちゃったようなショックを受けます。そりゃー、それも日本だけどさー、でも北海道の郷土料理かよー、という。

……と、そんなチロリアンな店でのみ販売されている限定チーズなら、筋金入りのチーズ・フェチにも面白がってもらえるんじゃないでしょうか。
ただし、
「わかめチーズとワインを合わせたら、これがホントのワカメ酒。なんちてー」
と言いたくなっても、ぐぐぐっと堪えましょう。

 

三輪亭
●世田谷区豪徳寺1-13-15 ツノダ第1ビル1階
TEL 03-3428-0522

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わかめチーズ「MIWA」は、ドイツ産チーズにワカメを巻いて熟成させたセミハードタイプ。
100gあたり1100円。販売している「三輪亭」では常時「ヨーロレイッヒ〜」な音楽がかかり、気分はハイジ。でもチーズは山羊乳じゃなくて牛乳です。

自家製にチャレンジ。北海道のチーズ工房NEED「大地のほっぺ」を、北海道の日高昆布でサンドしてみました。三輪さん、チーズ、昆布、全てに対しての冒とく行為かって? いや、一応リスペクトしてるつもりなんですが……。