島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年6月6日〜6月12日編『フォルクスワーゲン ゴルフ ブルーeモーション』『プジョー308CC』

(2010.09.22)

今年2回目の中国。春の北京モーターショーに続いて今度は上海である。今や世界経済を牽引する中国は、自動車ビジネスにとっても最重要地域。今まではほとんどヨーロッパか北米で行なわれていたプレス向けイベントも、徐々に中国で行なわれるものが増えてきている。ま、近くていいんだけど。
今回は2010年6月6日〜6月12日編です。

フォルクスワーゲン ゴルフ ブルーeモーション 6月9 上海サーキット周辺
フォルクスワーゲンは、EV=電気自動車版ゴルフを2013年より発売開始すると、すでに世界に向けて発表済み。今回試乗したゴルフ ブルーeモーションは、そこに使われる技術を現在売られている車体に積み込んだ試作車である。
エンジンルームには電気モーターが積まれ、車体の床下などにリチウムイオンバッテリーを搭載するゴルフ ブルーeモーションは、最高速度135m/h、航続距離150kmという都心部を中心とする日常使用には十分な性能を獲得している。驚いたのは走りの質の高さ。モーターで走るEVは騒音、振動が少なく快適性の面でそもそも有利なのだが、それがゴルフの元々素性の優れた車体と組み合わされると、本当に上質な走りが出来上がるのだ。
今はEVというだけでその静かさ、滑らかさに感激してしまうが、世の中を走るクルマの多くがEVになれば、結局は“クルマづくり”の技術の差が如実に出る。日本メーカーはEVで世界に先行しようとしているが、そう簡単には行かないかもしれない。

フォルクスワーゲン ラヴィーダ ブルーeモーション 6月9 上海サーキット周辺
実は中国市場での販売が全販売台数の3割以上を占めているフォルクスワーゲン。現地生産車には、中国市場オリジナルのものも多い。ラヴィーダもそのうちの1台。旧型ゴルフの車体をベースに生み出された、比較的安価なセダンとして人気を博している。中国ではゴルフのほかに、このラヴィーダに電気自動車版を設定する予定だ。
それにしてもこのデザイン、フォルクスワーゲンの世界基準とはちょっと違った味わいである。CI的には大丈夫? と思ってしまうところだが、まあ台数には代えられないということか。

プジョー308CC 6月10日 台場周辺
帰国して、羽田からそのまま台場へ。某メンズファッション誌のための撮影と市場を行なった。新しい308CCのトピックはATが4速から6速に変更されたこと。エンジン出力を効率良く引き出すことができるので、走りは良くなるし燃費も向上する。実際、走りっぷりは滑らかさを増していて、とても好感触だった。
ちなみに写真は昨春のデビュー時に軽井沢で撮影したもの。こういうところも街中も、とにかく楽しめる1台だ。

実は中国では、旅行者の一般公道での運転は許されていない。まあしかし正直言って許されたとしても、するのは勇気が要るというのが正直なところ。歩行者や自転車が入り乱れ、クルマは割り込み、すり抜けの嵐。タクシー運転手なんて片手は常にクラクションの上に置かれているような状況なのだ。
今回の試乗も、F1でお馴染み上海サーキットの取り付け道路が舞台だった。「上」の字のかたちをしたコースを走れなくて残念。