菊田純子の“ナチュリッチ” 心のどこかで願う丁寧な暮らし。

(2010.03.29)

久しぶりに、小川糸さんの『かたつむり食堂』と『蝶々喃々』を読み返しました。

 
私がこの2冊を好きなのは、ごく普通ありふれた日常を丁寧に生きている料理上手の主人公(女性)にあると思います。(すでにご存知の方も多いと思いますが)『かたつむり食堂』は田舎で一日一組のお客様をもてなす食堂を開く“倫子”が、『蝶々喃々』は東京・谷中でアンティークきもの店を営む“栞”が主人公。彼女たちは共通して時間を丁寧に使い、深い愛を持って毎日を生きているんですよね。これらの本にはその様子がこと細かく描かれていて、読んでいると心がぽわ〜んと温まります。私は都会暮らしも仕事も大好きだけれど、心のどこかでは主人公と同じように、煮物のダシを一からとるような、鰹節を自分で削るような、丁寧な暮らしを望んでいるのかもしれないなぁ、とぼんやり。この本をみんなに奨めたい! と思うんですが……、すでに読んだ人たちの反応は賛否両論。「つまらなかった」という声も多いんです(アマゾンの評価もイマイチ)。しょんぼり。なので、全員にはおすすめできませんが、この本が好きな人とは仲良くなれそうな気がします(笑) 

『蝶々喃々』を読んだ直後、「料理がしたい!」と思い、友達と一緒にクッキング。結局おしゃべりに火がつき、早く飲みたくなって手軽にニース風サラダ他、手軽な野菜料理をちょこちょこ作って料理終了(笑)。
その日のシャンパンは年末からはまっているノンドサージュ(補糖されていない)のもの。「エグリウーリエ キュベブリュット」。
青々とした野菜たち。土臭さがたまりません。最初に作ったのは、胡麻和えです。残りは冷凍庫へ。

そんな矢先に、実家から大量のほうれん草とブロッコリーが送られてきました。泥を落として、水で洗って、沸騰した湯に入れてさっとゆでる。そんなたわいもない作業をしている時間に幸せを感じました。シチューをコトコト煮てみたり、クローゼットの中を整理してみたり、ゆっくり本を読んだり、これからは忙しい毎日の中にも、ほんの少しだけ倫子や栞のように生活を楽しむゆとりの時間を確保しよう、そう思いました。

 

余談ですが、最近ハマっている漫画をご紹介。モーニングで連載されている『宇宙兄弟」(小川宙哉著)です。紹介した上記の小説とはぜんぜん違うタイプで、宇宙飛行士になった弟と宇宙飛行士を目指す兄が主人公の男子向けの漫画ですが、なぜだかこちらも癒し系。さりげなく兄弟愛、家族愛、温かな日常が描かれているからかしら? おまけに、声を出して笑っちゃうシーンも多数。

9巻出ました!