加納忠幸のワイン飲もうよ ワインを飲みたくなる本。

(2009.10.13)

昨年の6月8日、日本のワインに大変貢献されていた方が急逝されました。
その方のお名前は富永敬俊さん。享年53歳でした。

富永さんは、ボルドー第二大学醸造学部で博士になった唯一の日本人。
ここ数年、山梨産の甲州ぶどうを使ったワインに、
柑橘系の香りを持つものが多くなってきましたが、
このアロマを持った甲州ワインは、富永博士なくしてはありえなかったのです。

甲州の柑橘系の香りは、メルシャンで偶然発見され、
メルシャンと富永博士との共同研究によって香りが出てくる過程が
科学的に解明されました。

そしてそれがメルシャンから一般公開されたため、
山梨県内の他のワイナリーでも同じような香りを持ったワインが
一斉に発売されるようになったのです。

甲州の香りの解明に多大な貢献をした富永博士の生い立ちから、
甲州とのかかわり、そして香りの解明に至る過程など、
日本ワインファンにとって非常に興味深い内容の本が発売されました。

『甲州のアロマ
ボルドーでワインの香りに人生を捧げた富永敬俊』

王禅寺 善明 著 ヴィノテーク社 1,575円(税込み)

この秋、ワインを飲みながら読むのに最適な1冊です。