仲原かおるのスローキャリアのすすめ 『カエル・ジャパン』で「仕事と生活の調和」を手に入れよう!

(2009.09.24)

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉をご存知ですか? 仕事と生活の調和です。 

これまで日本では、「男性は会社人間たれ! とにかく働け。女性は結婚して家庭を一手に引き受け子育て・介護をしなさい」という分業制度が半ば強制されており、会社や社会の仕組みもそれにそって構築されている感がありました。しかし、現代社会の生き方の多様化に伴って、人生を仕事一辺倒にしたくないという人が増えています。また、昨今の不況や離婚率の上昇を考えると女性が結婚出産によってキャリアを全く捨ててしまうのもリスクがあまりに大きすぎると考える人も少なくありません。

仕事も、それ以外も、どちらも楽しめる人生を求め、それが許容される社会を目指そうという動きが「仕事と生活の調和」です。もちろん、仕事とそれ以外のバランスは常に50:50でなくてもいい。それは個人によっても、また、人生の時期によっても変化すべきものであり、その時々で違っていて当然。人生の変化に合わせた働き方や生き方の変化を認められる懐の深い、成熟度の高い社会に憧れます。

『カエル・ジャパン』で小さなカエル! の輪をどんどん広げて、意識をカエルから行動をカエルに。右は『はたら区 かえる野 の仲間たち』

 

まず、働き方を変えてみよう。

財団法人こども未来財団が、内閣府仕事と生活の調和推進室の協力を得て、仕事と生活の調和を考えるきっかけになる本、『はたら区 かえる野 の仲間たち』 。を作りました。  

本作りに参加した皆さんに、今回は子育ての為のワーク・ライフ・バランスについてお話を伺いました。

政府各団体もこの動きを推奨しており、内閣府 仕事と生活の調和推進室では、「カエル! ジャパン Change! Japan」のスローガンとカエルちゃんキャラクターも登場して、「まず、働き方を変えてみよう」と提案しています。

財団法人こども未来財団は1994年、当時進行しつつあった少子高齢化現象を背景に、子どもを産み育てやすい環境づくりを進めることにより、児童の健全育成に寄与し、活力ある社会の維持・発展に資することを目的として、厚生大臣の認可を受けて設立された財団法人です。

ベビーカーを押す若いパパとママに「お手伝いしましょうか?」と声をかけている人達のポスターを見た事があるでしょうか? そういうポスターを作ったり、子育てしやすい社会を目指す運動を推奨しているのが、こども未来財団です。

『はたら区 かえる野 の仲間たち』を作った財団法人こども未来財団と内閣府・仕事と生活の調和推進室のみなさん。

 
男性の育児休暇や仕事のフレックスタイム制を取り入れれば……。

私は以前からワーク・ライフ・バランスという言葉は、「仕事と家庭どっちが大事なの? 働きすぎじゃないの?」みたいなニュアンスがあるように感じられて、仕事大好き人間としては違和感があったのですが、『はたら区かえる野の仲間たち』を読んでとても納得できました。

仕事と生活の調和の度合いが30:70なのか、90:10なのかは個人が決める事なので政府が法律等でこうあるべき!と規定するのは難しいけれど、社会全体として、もっと、男性の育児休暇やフレックスタイム制が取りやすくなったりするのは大事だと思いました。

日本の子育てが変わるためには日本のお父さん、ひいてはそのお父さんの働き場所である日本の会社が変わらなければならない。これまでのように、平日は殆ど父親の顔は見られない、実質母子家庭日本ではなく、国や社会の方向性としては、お父さんがいなくても成立する家庭より、お父さんが残業しなくても回る会社、残業なしでも生活できる給料の方を目指して欲しいですよね。

「本の中のお母さんカエルとお父さんカエルの真ん中で笑っている子カエルの絵が一番好き」だという(財)こども未来財団調査研究部の小宮紹江さん。大変興味深い若者の家族感に関するアンケート調査の結果を話してくださいました。

(財)こども未来財団調査研究部の小宮さんと内閣府・仕事と生活の調和推進室の船木さん。

 

夫婦仲睦まじい事がやはり社会の基盤。

「少子化が問題になっていますが、日本の場合は結婚外子は少ないので、出生率を上げる為にはまず、結婚率を上げる必要があります。結婚をしている、あるいは結婚したいと思っている人達の多くは、『温かい家庭環境に育った、もしくは両親が仲睦まじく幸せそうだった』と感じており、結婚したくないと答えた人たちは、『親の結婚生活はあまり幸せそうでなかった』と答えているそうです。

結婚に対してよいイメージを持っていないからあまり結婚にも憧れない。一番身近で目にする親の結婚生活が憧れるに値するとは思えなかったら、『自分はやめておこう』と、無意識的、意識的に考え行動してしまうのですね。

昔は『結婚は適齢期になったら当然するもの、しなければ一人前ではない』という社会的圧力がありました。今の世代は、『楽しくなさそうな事はしなくても良くなった』のです。日本の場合はそれが少子化に繋がってしまうのでしょう。

少子化の究極かつ根本的、長期的解決策は、家庭において、子供が「自分も将来家庭や子供を持ちたい」と憧れるような毎日を体験させてあげる事なのかもしれません。夫婦仲睦まじい事がやはり社会の基盤なんでしょう。」

「子育てにもっと地域を活用すべきだ。」という内閣府の舟木さん。「帰宅するとよく、近所の子が家で夕ごはん食べてたり、寝てたりするんです。またうちの子も他の家でそういう風に面倒見てもらってるんしょうね」と笑っておられました。隣近所で子供を預かりあったり、遊びに連れて行ったりするそうです。

「2人連れてくのも3人連れて行くのも一緒だし。」と大らかです。現代社会では薄れつつあると思われがちなご近所との連携を上手く取っている子育ての好例を聞いた気がしました。そして、地域だけでなく、家庭でも大人二人(父親と母親)の家庭にいる時間が重なる事で時間の有効活用ができると感じているそうです。お父さんが早く帰って子供をお風呂に入れて寝かしつけてあげれば、お母さんはその間にすばやく後片付けや明日の準備を済ませられる。

「全部を一人でやるとなると倍以上の時間がかかる。育児は参加すればするほど、子供が愛おしさが増すんですよねえ。お父さんともっと一緒にいたい! とか言って泣かれたりすると、もっと育児したくなる!」と世の中の育児不参加パパに聞かせてあげたいコメント盛りだくさんでした。

(財)こども未来財団の前中部長、内閣府の平田さん。

 

次世代の結婚観をカエル!

しかし、残念ながら育児に参加したくても仕事が忙しすぎて参加できないお父さんもいます。そこで、登場するのがカエル君。世の中をカエル。会社での働き方をカエル。子育てに関する概念をカエル。社会のそしてご近所のあり方をカエル。

「これからはよい人材を確保する為にも会社側が積極的にフレックスタイム制の導入などを経営の一環と捉えて会社を変えていかなくてはならなくなるでしょう。」と話してくれたのは(財)こども未来財団の前中部長。

「僕はまだ結婚していないので・・・・・・。」と控えめに皆さんの話を聞いていた内閣府の平田さん。皆さんのいい子育て話を沢山聞いて将来はいいパパになるのかしら!?

結婚をして子供を持とうと決めた人が、楽しい子育てを満喫するに十分な家族の時間が確保できる働き方を許容できる社会や会社。それを実現する為に私達個人が、会社に対して社会に対して政治に対して、それを求め続けていく事が大切だと思いました。小さなカエル! の輪をどんどん広げて、意識をカエルから行動をカエルに、そして、個人の行動が社会をカエル! それが次世代の結婚観をカエル! のではないでしょうか。いいえ、変えていかないと、日本は確実に衰退します。

次回は実際に日本の伝統?! を打ち破り、実際にカエル! を実行。育児休暇を取ったお父さん達の体験談を伺ってみたいと思います。