北原徹のバカ買い! Smells Like Teen Spirit - 16 - 夏の終わりと ポパイのお仕事、終わり。

(2009.07.16)

8月売りのポパイ<アンダーカバー>の特集を撮影し終えたのが先週。このページそのものは、ぼくにとってはピンボールマシンのエクストラボールのようなもので、とてもラッキーだと思い、すばらしいページができたと思っています。

ただ、本来のぼくのポパイ“ラストラン”は、今発売中のポパイであり、いかにもぼくらしいページで終了できたと思っている。

ひとつは大好きな高木康行さん(通称及び以下”やっくん”)のスタイリング(数年ぶり!)と写真で9ページ9カット9人のモデルという構成。本気で作りました。

その後半<ナンバーナイン>のデザイナー宮下貴裕さん(以下宮下くん)と打ち合わせた末、ぼくの個人的なナンバーナイン観を書くことになった。自分でも手書きで約12枚、よく書いたな、と思ったけれど、ほぼ一発書きにしては、手前味噌だがよくまとまっていると思う。

思えば、宮下くんとぼくは偶然の出逢だったのか!? と思えるほど重なる部分が多くあった。ぼく自身が「アンアン」から「ポパイ」に異動になって、その途端<ナンバーナイン>の初ランウェイショーを宮下くんは決行。ぼくもメンズファッションをやり始め、最初に見たショーがこれだったのだ。

そして<ナンバーナイン>が解散したこのシーズン、しかも<ナンバーナイン>の撮影を最後にぼくのポパイ生活も幕を閉じた。

この偶然を原稿(ぼくの初稿)には書いたのだけれど、削られて、文章もおかしくなっているので、ここで補っておく。

最後のほうに「ラストランが合言葉だった」とあるのだけれど、あの文章だけを読むと、<ナンバーナイン>のラストランに読めてしまう。

が、実際は宮下くんとぼくのラストランだという意味なのです。

だから
「ぼくら、今産まれたんです」
という言葉も<ナンバーナイン>を言っているのではなく、ともに“ラストラン”を決める宮下くんとぼくが“ぼくら”なのでって、不特定なぼくらとか、<ナンバーナイン>という集合としてのぼくらではなく、ポパイ最後のページ、と思っているぼくに対して、とても優しい言葉を投げかけてくれた宮下くんのことを書きたかったのに、校正で削られてショックでした。

何故、こうなったのか、ぼくにはよくわからないのだけれど、文章を書く人間にとって文意を歪まされるのはとっても辛いことです。(この文章、読みたい? 読者の皆さん)

で<コム デ ギャルソン・オム プリュス>も運命的なものを感じました。

ぼくのギャルソン好きは年季が入っていて大学時代からだからすでに四半世紀は過ぎている。

そんな想いを胸に、ギャルソンLOVE♡をフルスロットル! 五年の間にどんだけページを作ったことか!

パルファンに関しては、カメラマンとして写真も撮った。

そして最後は「複眼」とタイトルを付け、我が尊敬するカメラマンRosemary氏との話の中で生まれたポラロイド…じゃなかった、FUJIのFP-100CとFP-100Bを使って、コラージュともフォトモンタージュともつかない、写真芸術を完成させた。

この2つのブランドはぼくにとって、やはり始まりであり、ひとつの終着点だったのかもしれない、と思ったら、撮影終了時、甘酸っぱい想いが込み上げてきたのだった。

雑誌の世界ではすでに秋冬を扱っている。来週くらいには秋冬の新作も届くかも。
というわけで、グレーの<ナンバーナイン>のベスト(これはフード付きに代えてもらいました)と、<スティーブンソン・オーバーオール>のTシャツ2枚。グレーつながりいいかな、と。

ベストはほんとうに一目惚れ、スウェットがこんなにもエレガントになるなんて! と思いました。ほんとによく着ています。

夏らしい、カレンダーガールのようなプリントはアメリカンで、いまどきなかんじ。もう1枚は、ぼくの生まれ年がプリントしてあったので即購入……なのでした。

この他、夏は<ラッド ミュージシャン>の黒いスーツ(パンツがくるぶし丈なのが、ものすごくカッコよくて、即攻買ったのですが、写真撮影の時、スタジオに持っていくのを忘れて……ラッドの黒田さん、加藤くん、ごめんなさい!!!

それと<ワコ マリア>のベストとショートパンツのスーティング。

大好きなギンガムチェックだったのですがこれもスタジをに持っていくのを忘れて!! ごめんなさい! 森くん、石塚くん!!!

そんなわけで、夏も終わりです。
って、やっと梅雨開けしたばかりなのに!

 

夏休み中だというのに筆は休むところ知らず。原稿はクリックで拡大します。
<ナンバーナイン>についての文章は『POPEYE』748号P56〜を見てみて。
< コム デ ギャルソン・オム>の「複眼」は発売中の『POPEYE』748号のP110〜です。
『POPEYE』748号のP48〜、渾身のページです。
夏休みはどう過ごすのでしょうか。
バカ買い?
来週もお楽しみに。