田中晃二の道草湘南《犬の鼻、猫の舌》 逗子駅前の銀座通り商店街。

(2011.09.17)

湘南新宿ライン

東京で暮らしていると、バスや電車の発着時間を気にすることは殆どなかった(長くても4、5分待てば乗れるし)が、逗子に引っ越して変ったことの第一に、電車の時間を中心に生活が回るという、忘れかけていた体験だった。東京方面へ向かう横須賀線は昼間でも10分おきくらいに出ているのだが、仕事場がある恵比寿へ直行する湘南新宿ラインは1時間に1、2本しかない。横須賀線の乗り換えの不便さを思うと、湘南新宿ラインで始発から座って通勤したくなり、発車時間から逆算してバスに乗ることになるのだが、それも慣れてしまえば気にならない。東京の便利さはやっぱり異常なのかもしれない、と思う余裕も最近出て来た。

逗子銀座商店街。

鎌倉から海沿いに小坪を経由して逗子へ向かう京急バスは、駅の手前で商店街を通る。朝の時間、開いているのはパン屋と八百屋くらいだが、バスの窓から何軒か気になる店があった。休日の午後、この銀座通り商店街を端から気ままにぶらぶら歩いてみよう。8月には逗子海岸へ向かう海水浴客で賑わったものだが、9月になり海の家も閉まり、通りには普段ののんびり流れる時間が戻って来たようだ。シャッターが下りたままの店もあるが、地方特有の長閑な気分が私には好ましい。葉山に本店があるパン屋、鎌倉の和菓子屋、もちろん地元の洋菓子店もあるし、殆ど見かけなくなった乾物屋も現役バリバリで頑張っている。散歩しながら路地裏の農協生産直売所に迷い込んで、思わず茄子を一山買ってしまった。

阿吽の狛犬ではなく。

逗子駅の目と鼻の先、こんな所にって感じの野菜直売所だが、通りを挟んで亀岡八幡宮がある。ケヤキやイチョウの大木に囲まれた境内ではフリーマーケットも開催されるが、この神社の目玉はなんと言っても、あうんの亀だ。口を開いた亀の像がなんとも可笑しい。正月には首に注連飾りが掛かるらしいので、その勇姿をぜひ見たいものだ。鎌倉の鶴岡八幡宮とは、ツルカメの関係?にあたるのだろうか、それとも単なる駄洒落だろうか。

 


近海アジつくります。

駅前のこんな所に、のもう一つは、大きな魚屋だ。午後の強い西日を受けるので店頭は青い幕で覆われているが、幕の中を覗いてびっくり、アジやイワシ、キス、ムツ、イシモチなど近海ものがいっぱい。サンマにしようか、サバにしようか、悩んだあげく3枚550円のホウボウを買った。(手抜きの晩ご飯のおかずに塩焼きにしてみたが、淡白すぎて私にはちょっと物足りなかった。冷凍保存した残りはみそ汁にでもしてみるかな)

 


喫茶店とカフェ。

昼ご飯には遅い時間になってしまったが、小腹が空いたので銀座通り商店街に戻って店を探す。なにげない印象がちょっといい感じの喫茶・キナが目に入ったので、ふらっと入る。今どき、普通の喫茶店を探すのは大変だ。家庭的な印象の店内で、お薦めのビーフカレーを注文する。私と同じ年配の女性が二人、カウンターの中で調理してくれる。出てきたカレーもよく煮込んだ味が家庭的で、ほのぼのと美味しかった。食後にコーヒーでもと思ったが、一旦店を出て逗子駅前に向かう。駅前にあるスタバがずっと気になっていたのだ。店内には、(湘南方面ではメジャーな)チャヤのケーキも並んでいて、コーヒーとリンゴのシブーストに決める。ケーキを食べながら店内を眺めると、日陰茶屋の和菓子も売っていた。大福にすれば良かったかな、よく調べるんだったなあ、でもお土産に買って帰ればいいか。