加納忠幸のワイン飲もうよ 月山ワイン@山形県鶴岡市(その1)

(2010.05.17)

1,000円高速が今月いっぱいで廃止になってしまいますが、
その前にちょっと長距離を稼いで、山形まで行ってきました。
総走行距離およそ1,100キロ。

目的の一つが、山形県鶴岡市にある月山ワイン訪問。
月山ワインの甲州は勝沼や大阪の甲州と全く違った風味で
どうしてもその産地を訪ねてみたかったから。

訪れたのは5月9日。
宿泊した銀山温泉から最上川を下りゆっくり行ったら
約束した11:00に30分遅刻。
それでも温かく迎えていただきました。

最初に連れて行っていただいたのは
鶴岡市西荒屋にある、河内神社。

西荒屋は月山ワインがある旧朝日村の隣で、
甲州はこの地域(櫛引地区)で栽培されているとのこと。

神社にあるこの石碑は1926年(大正15)8月に建てられたもので
「葡萄圃復興之記碑」と書いてあります。

甲州種は250年ほど前に庄内地方に入ってきたのだそうですが、
明治期に主力品種となった甲州種が、
明治中期に導入された米国種の影響で病気が蔓延、
ほぼ壊滅状態に陥るものの、
大正期に関係者の努力で復興を遂げた経緯が記されているのだそうです。

まず、神社近くの甲州の畑を視察。
月山ワインは農協、市等が出資してできた第3セクターで、
今のところ自社畑はなくぶどうはすべて農家から買っているとのこと。

甲州はこのようなハウスのような形をしたところで栽培されていますが
これは雨よけ。
写真でもわかるとおり除草剤は使っておらず、
草性栽培をしています。

こちらが樹齢70年くらいの甲州。
このあたりは雪が少ないのでこのような棚栽培ができるとのこと。
このあたりは川が氾濫してできた砂利土壌。

甲州は萌芽が始まったばかり。
こちらの甲州は同じ甲州をつくっている山形県の赤湯地区とも
山梨県や大阪とも違うクローンとのこと。

この甲州は糖度が上がり、
高い年には20度を超えるとのこと。
他の産地で糖度が20度を越える甲州は聞いたことがありません。

棚栽培でもこちらの地域は雪が少ないとのことで、
積雪の心配はあまりしなくて良いとのことでした。
積雪は棚より下たまでなのだそうです。

次に見せていただいたのは旧朝日村熊出栗山にある山ソーヴィニヨンの畑。
山ソーヴィニヨンは山葡萄とカベルネの交配品種ですが、
樹勢が強いので樹間が6~7mと大変長い。

こちらが今回ご案内していただいた、
月山ワインのワインメーカー、阿部豊和さん。
勝沼の麻屋葡萄酒、雨宮一樹さんと農大時代同期だったそうですが
庄内という、周りにワインづくりをしている人がほとんどいない地域で
そのハンディにめげずに大変意欲的にワインづくりに取り組んでいます。

このあたりは豪雪地帯なので、
葡萄は写真のように斜めに植えられており、
収穫の後すぐ剪定をして、
そのまま倒して積雪の時期を過ごすのだそうです。
この写真では見えませんが、
支柱のところでワイヤーが外れるようになっています。

こちらは旧朝日村名川にある山ぶどうの畑。
山ぶどうは、更に樹勢が強いため、
樹間が山ソーヴィニヨンよりも更に離れています。

剪定法は短梢と長梢を組み合わせたという複雑怪奇な形。
どのようになっているのか全くわかりません。
こちらも積雪前に倒して積雪に備えるのとこと。

この後ワイナリー見学です。