加納忠幸のワイン飲もうよ 応援をしていきたいワイナリー、奥野田葡萄酒醸造。

(2009.01.30)

昨年から訪問を計画していた
奥野田(おくのた)葡萄酒醸造へ行ってきました。

勝沼から右に山を見ながら北に向かい、
しばらく走ったところにワイナリーはあります。
看板が出ていないので、ナビが付いた車でも
道に迷って行ったり来たりするお客さんがいるとか。

このワイナリーは農家の共同出資のワイナリーを
社長の中村雅量(まさかず)さんが買い取って始めたもの。
中村さんはグレイスワインの中央葡萄酒に、
三澤社長が三菱商事から戻られた時期に入社。
中央葡萄酒のワインの改革に三澤社長と共に携わった方です。

現在中村さんは、奥さん、奥さんの弟の佐藤さんと3人で
この奥野田葡萄酒醸造を運営しています。

最初に案内された試飲所は、醸造棟の屋上にあるログハウス。
このログハウスが下にあったら、目立つのですが‥‥。

こちらが、社長の中村さんと奥さんの亜貴子さん。

中村さんは、日本ワインが一般に認められるようになるためには
欧州品種のぶどうでワインを作る必要があると考え、
シャルドネ、メルロー、カベルネといった欧州品種を
自社農園で10年ほど前より栽培。

一時期事情により醸造家としての活動を休止していたものの
ぶどうの樹齢が10年となり、いいワインができるようになったので、
また本格的にワインをつくり、
販売していきたいと考えていらっしゃいます。

現在販売しているワインをまず試飲。
試飲は昨年見せにたずねてこられたときにしているので、
味を再確認しました。

今まで、山梨で味わった経験がない
フランスを意識したつくりのシャルドネ、メルロー、カベルネ、
そしてメルロー、カベルネのブレンドです。

試飲の後は今回の主目的である畑へ。

畑は、1枚を除いて斜面のものばかり。
こちらは、西向き斜面で畝は正確に南北を向いているので、
写真を写した正午には影は畝の延長のようになっています。

こちらは段々畑をぶどう畑に変えた場所。
変えるにあたって段々畑の段を取ったのですが、
丁度凹面鏡のような形に造成したのだそうです。

畑は樹間が75cm、畝と畝の間が150cm。かなりの密植です。
また、斜面の畑は表土が10cmくらいしかないので
根を深く深く張るのだそうです。

このようにぶどうにストレスを与えることにより、
節間が10cm未満の樹が育ち、凝縮した実ができるとのこと。
今まで見たことがないタイプのぶどう畑でした。

こちらは昨年の仕込みのとき出た、ぶどうの梗と絞りかす。
もう少ししたら油が出てきて燃えやすくなるので燃やして、
その灰を畑に撒くのだそうです。

中村さんは基本的に有機栽培をしているのだそうですが、
完全に有機にするには周りの畑との関係もあり、
完全に有機にすることにはこだわっていないとのお話でした。

山梨県で、他のワイナリーとは一線を画して
フランス系のワインを自社栽培のぶどうを主として使ってつくる、
奥野田(おくのた)葡萄酒醸造。

応援をしていきたいワイナリーがまたひとつ増えました。



『奥野田葡萄酒醸造』

山梨県甲州市塩山牛奥2529-3
TEL: 0553-33-9988