浅草寺へお参りした後は、神谷バーでビールをチェイサーに電気ブランを一杯、っていうのも素敵だけれど、さすがに少しおのぼりさんコース。浅草演芸ホールや東洋館で演芸を楽しむのもオツですし、このあたりにチラホラできている、最新の素敵げなレストランに行くのもアリですが、ここはひとつ、浅草木馬亭で浪曲を聴くというのはいかがでしょう。
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浅草木馬亭の「浪曲定席木馬亭」の番組表です。 |
浪曲といっても、ぴんとこない方も多いかもしれませんね。昔は銭湯でよく浪曲をうなっているおじいさんがいるといったものですが……。「旅行けばぁ~」とか「神田の生まれよ」「寿司喰いねぇ」とか、フレーズとしてはまだぎりぎり残っているかな。フシ(節)とタンカ(啖呵)でストーリーはすすむので、聞けば難しいことは何もありません。個人的には圧倒的声量でぐいぐい酔わせてもらうのが好きですね。
浅草木馬亭の定席は毎月1~10日の午後1時~4時半くらい。入場料は2000円で25歳以下はなんと半額の1000円。平日に行くと、ツバナレしていない(=観客が10人いないこと。一つ、二つ、と数えて、九つ、十(とお)で、つから離れるため)、しかも高齢の方が多く、実にひなびた味わいのあるムード。そこで浪曲師とついたての陰にいる曲師が生で浪曲をうなってくれるのだからたまりません。演じるテーブルには「○×賛江 贔屓与利」とかかれたテーブルかけがかかり、演者ごとにいろいろあって面白い。赤提灯がずらっと並ぶ、それは魅力的な、時がとまったかのような空間です。
この日、私が訪れたのは、終演後の取材も兼ねてでした。木村若友という浪曲師が数えで99歳を迎え、記念の会が9月24日(木)に開催されるので、その発表記者会見でした。(参考ページはこちら)
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木村若友さん公演は9月24日(木)です。 |
終演後、まだ明るい浅草の街へ出れば、心ときめく呑み屋が両側に林立したこの木馬亭の立地もニクイくらいたまりません。おすすめのお店はいくつもあれど、この日は知り合いの演芸記者さんたちと、木馬亭から徒歩2分の「水口」へ。お刺身からミートソーススパゲッティまでメニューが豊富なうえに、どれも美味しい。名物は「いり豚」です。ぜひご賞味ください。
このあと2軒はしごしてふらふらで帰った一行でした。