仲原かおるのスローキャリアのすすめ ふるさと宮古島。マツおばあの「神歌」セラピー?!

(2009.03.27)

皆さん、はじめまして! 南の島コラムニスト&通訳・翻訳家の仲原かおるです。

私の人生の最終目標は素敵な沖縄のおばあになる事。そうなる為にも、最終的にそこに至るまでは後悔しないように沢山寄り道して人生のお散歩を楽しみたい。

人生の様々なステージで、日々のお散歩の途中で見つけた素敵な事を皆さんと共有できれば嬉シーサー。(ってシメが駄洒落かよという突込みが聞こえてきそう☆)

今日は私の故郷、沖縄県宮古島のおばあちゃんの話題。

宮古島の観光名所のひとつ、7kmも雪のようにきめ細かい純白の砂浜が続く前浜ビーチ。 ほかにも日本百景のひとつ東平安名崎や海の上を渡る池間大橋などがあります。

私のおばあちゃんの妹、93歳のマツおばあが(満を持して!?)キングレコードから『the world roots music linrary 144 “Kamiuta Yiyako Island Okinawa”』でCDデビューしました。

CDでマツおばあやその他の歌い手達が歌っているのは「神歌(かみうた)」です。「神歌」とは宮古・池間地区の島の繁栄を祈願する儀礼の中で女性達が島内の「霊場(うたき)」を廻りながら唱える歌です。「霊場(うたき))」というのは先祖を祀る場・霊場・聖地のことです。そのの多くは森の空間や泉や川などで、島そのものの場合もあります。

たくさん歌ってしまうと本当に神様が降りて来てしまうので、このCDの収録の際、録音は6番まで止めておこう、ということもあったとか。でもそういう歌も記録しておかなければ、歌える人がいなくなっています。現在では歌える人が少なくなって伝統的な神祭も途絶えがちになってしまっている状態です。

マツおばあは93歳の今でも毎日のように、さとうきび畑で働き、以前は地域の大母でした。

おばあの住む西辺は七つの「霊場(うたき)」に囲まれ守られています。村の女性たちは、その御嶽に10年間の願い母(ニガインマ)のお勤めにつきます。年間50回余のニガイ(一晩や二晩の夜籠の二ガイ)や村の祭祀を行います。神歌を歌い願いをします。47から57才の村の女性たちに、そのお勤めは課せられ、マツおばあも10年間の勤めを全うし、伝統祭事のリーダーである司の共として大母を勤めたのです。

 

 

 

世界の無形文化財を大切にしよう。

宮古島の「神歌」はじめ世界的に無形文化財の消滅が危ぶまれています。

ピラミッドやピサの斜塔から琉球王国のグスク及び関連遺跡群まで有形世界遺産は補修したり観光したりできるけど、歌声や踊りは歌い手や踊り手が亡くなってしまえば、次世代がそれを受け継ぐ為に日々鍛錬していなければ自然消滅してしまいます。

島の出身でありながら、私が継承してこなかった無形文化財を発掘し録音してくれた音楽プロデューサーの久保田さんや、CDの形にして発売してくれたキングレコード、地元でコーディネートをなさっている花城さんや天久さん、その他尽力された関係者の方々には感謝の気持ちで一杯です。

ああ、せめて 私に元ちとせ 並みの歌唱力でもあれば……。私も神歌を歌ってみたかった!! 方言より英語の方がしゃべれるようになってしまった私。だったらせめて宣伝を! と思いました。

昔は一緒にカラオケに言ったことのある友達からは 「めちゃくちゃ上手いじゃん! 歌手になれば? 」と言われたもんだが、そんな機会もなく。 
でもおばあのデビューでなんだか希望の光が! 93までは諦めないぞ!!

歌うこと、そしていい歌を聴くことは音楽セラピーの一環になると思う。おばあ達は「神歌」を歌って年をとっても元気いっぱい。彼女達の歌声を聞くの事を「神歌セラピー」となずけてもいいんじゃないかしら?

皆さんも宮古島のおばあ達の歌う「神歌セラピー」に癒されてみませんか?
きっと、あなたを神々しくも優しい気持ちにしてくれるハズです。

宮古島は沖縄で唯一のハブが生息しない島。癒しの島としてノンビリした島の風土を守っています。宮古島トライアスロンや最高の透明度と海底地形の複雑さでダイバー達の洞窟潜水のメッカとなっています。
夕暮れの栗間島の浜。宮古島の北側には八重干瀬(やえびし)という日本最大のサンゴ礁群が広がっており年に数回だけ海面上に表れ上陸できる為幻の大陸と言われています。写真家・三好和義氏の楽園の原点としても有名ですね。