ブルゴーニュの“働く女性”達が造るワインとディナーの華やかな競演。

(2010.06.02)

去る5月22日土曜日、銀座シャネルビル高層階にあるレストラン「ベージュ アラン・デュカス 東京」にて華やかなワインイベントが行われると聞き、出かけてきた。

1階のレセプションで「まずはテラスへどうぞ」と案内される。エレベーターで上ると、そこは銀座の別世界。ダニエル・オスト氏がデザインしたという、和洋のイメージを融合した庭園が広がる。
 

シャネルビル屋上に広がる庭園。地上とは別世界。普段はここで軽くシャンパンやアフタヌーンティーをいただくこともできる。

 

まずはテイスティング。5人の女性たちの姿も見える。そう、今回のテーマは彼女たちのワインなのだ。「Les Femme et Vin de Bourgogne」は、ブルゴーニュの約30名の女性生産者で作っているコミュニティ。技術と知識、経験を分かち合い、そしてお互い高め合うのが目的だという。

世界中で、精神的にも経済的にも自立し、高い意志を持った女性たちの活躍が著しい。そして、彼女たちは独自のネットワークを築き、活発なコミュニティ活動を行っている。その流れはワインの世界でも同様だ。

ワインの生産者と聞くと、別世界の人、という気持ちになってしまうけれど、同じ働く女性なのだと思うとぐっと親近感が湧いてくる。彼女たちのワインを味わうことは、互いの仕事の成果を分かち合うことなのだ。
 

テラスでテイスティングしたワイン。Domaine Michel & Chantal Martin(Chorey-les-Beaune), Jean-Pierre Bony(Nuits St Georges), Château d’Etroyes(Mercurey), Marc Roy(Gevrey Chambertin), Berthelemot Brigitte(Meursault),Feuillat-Juillot(Montagny),Château de Chamilly(Mercurey), Dubreuil Fontaine(Pernand), Château de Chassagne Montrachet(Chassagne Montrachet), Audoin(Marsannay),JacquesPrieur(Meursault)
「Les Femme et Vin de Bourgogne」の生産者達。左から、Chateau de BeruのAthenais de Beru氏、Damaine Anne-Sophie DebavelaereのAnne Sophie Debavelaere氏、Domaine Taupenot-MermeのVirginie Taupenot氏、Domaine ParentのAnne Parent氏、Domaine R.Dubois & FilsのBeatrice Dubois氏。

テラスでのテイスティングタイムが終わると、いよいよレストランでディナーの始まり。今回のワインをプロデュースした、アラン・デュカスのシェフソムリエ、ジェラール・マルジョン氏から挨拶が。「世界で一番多くのワインを自身で買っている」との自己紹介に会場が沸く。
 

Gerard Margeon氏。隣はベージュ アラン・デュカス 東京支配人の石田博氏。流暢なフランス語で通訳もこなす。
この日のメニューとワイン。それぞれの生産者達のワインを1種類ずつ、料理に合わせて味わう。

ベージュ アラン・デュカス 東京のシェフがこの4月からブノワ出身の小島景氏になったというので、その料理をいただくことも楽しみだった。鎌倉野菜を使うなど、今回のディナーにも小島シェフの持ち味が存分に活かされている。



素晴らしい料理の数々。軽やかな味わいでソースに個性がある。懲りすぎず、かつクラシックすぎない、ワインと引き立て合う新しいフレンチの形が体験できた。

食事を終えてレストランを出る時、5人の生産者の女性たちがホワイエで待ち受けていてくれた。いつか、今度は東京ではなく、彼女たちの畑で会えるといいね。そんな約束を交わしあえたのも、同じ働く女性だという気持ちが通じたからこそ。

海の向こうのワインも、私達と同じように、楽しんだり悩んだりしながら働く女性達が作っているのだ、と思うと、とたんに身近に感じてきませんか?