TOTOSK KITCHEN Vol. 2 バジル バジルでつくる
ピストゥスープとソース

(2012.05.10)
撮影/黒澤 義教
みなさん、こんにちは。GWはいかがお過ごしでしたか? 
ハーブの種蒔きにちょうどよい季節になってきました。
これから夏に向けて旬を迎えるハーブがどんどん増えてきます。
ちょっと季節を先取って、爽やかなスープをご紹介しようと思います。

♠バジル料理に合わせたい「ベリーの音楽」by 吉本 宏

第2回は、初夏が旬のバジル

バジル(英名)はシソ科のハーブで、バジリコ(イタリア名)とも呼ばれます。甘い香りとミントのようなかすかな辛みを持ち、トマトとよく合うため、ピッツァのソースやパスタのソースなどによく使われます。日本でもいちばん親しまれているハーブなのではないでしょうか?

ちなみに和名は「メボウキ」と言うそうですが、誰も呼んでくれません(涙) β—カロテンを大量に含み、細胞の老化を遅らせる高い抗酸化作用があるので、なんと「不老不死の秘薬」なんて呼ばれちゃうことも。錆びない女になるには、バジルを食すべし!

今の時期に種を蒔き、7月から9月頃にかけて紫蘇の花に似た白い花や赤紫色の花をつけます。花穂紫蘇の天ぷらがあるなら花穂バジルの天ぷらもいいかもしれないので、今度つくってみようかなと思っています。

バジルの種はバジルシードと呼ばれ、黒く小粒で、ポピーシード(けしの実)に似ています。こんにゃくの成分と同じグルコマンナンを多く含む為、水分を含むと30倍ほども膨れ、ゼリー状の物質に覆われた形に。ダイエット食品として利用されています。

バジルを使ったパスタと言えば、ご存知ジェノベーゼですが、ジェノベーゼとは、イタリア・リグリア州ジェノヴァ(Genova)生まれの、バジル・松の実・チーズ・オリーブオイルで作ったソースのこと。ペスト(Pesto)とも呼ばれています。

今回つくるピストゥスープのピストゥ(Pistou)は、南フランスの方言でバジル(Pesto)のこと。バジルとにんにくの作用で体から熱がとれて暑気払いになるので、夏でも温かい状態で飲むスープです。南フランスの家庭では夏の定番でそれぞれの家庭の味があるようです。

ピストゥのスープ la soupe au pistou

材料 4人分
ミニトマト(黄色使用) 12個
ズッキーニ(黄色と緑使用) 2本/種をスプーンでかき出し1㎝角にカット
万願寺とうがらし(ピーマン) 2本/種を取り1㎝の角切り
お好きな豆(以下は今回使ったもの)
・白いんげん豆(1晩たっぷりの水に浸す)50g(缶詰め可)
・グリンピース(サヤエンドウ) 100g
・さやいんげん 100g/頭としっぽ切り1㎝角カット
・空豆 100g/皮剥く
・スナップエンドウ 4本(飾り用なので無くても可)
ブーケガルニ(市販品) 1個
ピストゥソース 適量/作り方は下記
水 800ml
*腹ぺこさんは、マカロニや大麦 50g

作り方

1. 大きな鍋に、水800mlと水を切った白いんげん豆を入れ20分中火で茹でる。(缶詰めの豆ならマカロニと同じタイミングでいれる)   
2. 全ての野菜とブーケガルニを入れて、弱火で20分煮る。
3. ブーケガルニを取り出し、マカロニ(種類によりゆで時間が異なる)を入れさらに10分煮る。
4. お味噌を入れるように味を見ながら、ピストゥソースを入れ、整えたら完成。

ピストゥソース

材料 スープ3回分くらい
バジル 40枚
にんにく 2個(擦りおろす)
パルメザンチーズ 粉100g
オリーブオイル 大さじ6
塩 小さじ1
こしょう 少々

作り方
フードプロセッサーに全ての材料を入れペースト状になるまで撹拌する。時々、かき混ぜると撹拌しやすい。(ミキサーやすり鉢でもOK。その昔、ジェノヴァでは、乳鉢で作っていました。)

水と寒さに弱いバジルは、一気に冷凍を。

スープ作りのポイントは、ブーケガルニを必ず取り出すこと。入れたまま調理をすると苦みが出てしまうので要注意。

また今回はズッキーニの種をとり除きましたが、トロッとした食感がお好きな方はそのままでも大丈夫です。

ピストゥソースの基本は、オリーブオイル、にんにく、バジル。トトスク流はたっぷりチーズが決め手。チーズからうまみが出るので、ベーコンやコンソメは不要なんです。

ただし、温かいスープなのでチーズが鍋やレードルにくっついちゃいます。でも気にしない気にしない。残った鍋底のチーズはパンで救出してあげて。

今回のソースはペーストタイプなのでラップで包んで冷凍保存が容易です。薄くのばして凍らせておくと、使うときパキッと折って小分けに解凍して使うことができます。バジルを沢山買ったら作りだめをしておくと便利。パンに塗ったり、水でのばしてパスタのソースにしたり、お魚やお肉にも相性バッチリです。おうちに2カ月以上冷凍しているピストゥソースがありますが、色も綺麗な緑のままです。

バジルの大敵は、低温、水にぬれること、包丁などの金気、手で強く触れること。少し濡らしたキッチンペーパーで丁寧に拭くのが一番ですが、どうしても洗いたい場合、さっと洗って素早く水切りをしましょう。水気がついたままにしておいたり、葉を切ってから時間が経つと黒ずんでしまいます。

そんな世話の焼けるバジルはさっさとペーストにして冷凍庫へGO!

今回ははらぺこさん用にファルファッレ入り

バジルの青々しさと魅惑的な香りをもったベリーの音楽

色鮮やかなバジルは葉の形もきれいで、しかも魅惑的ないい香りを漂わせ、どこか小悪魔的な魅力を感じてしまいます。

フランスのシンガー・ソングライターのベリーは、そんなバジルのようなちょっと気になる素敵な女性アーティストです。2008年にまだあどけない少女のような表情でデビューしたファースト・アルバムは、ポップで初々しい印象でしたが、つい先ごろリリースされたセカンド・アルバムでは、すっかり大人の表情になり、ジェーン・バーキンの甘さとフランソワーズ・アルディの軽やかさを合わせもった素敵な歌を聴かせてくれます。

お天気のよい爽やかな昼下がりのテーブルに、彼女の歌声は風のようにやさしく、太陽のように生き生きと、いろいろな表情を見せてくれます。ときに、ささやくように歌うと、その歌声はまさに“ウイスパリング・ヴォイス”。もしもセルジュ・ゲンスブールが生きていて彼女のアルバムをプロデュースしたなら…、なんて考えるだけでワクワクしてきます。

文/吉本 宏

Les Passagers/BERRY