TOTOSK KITCHEN Vol. 14 しそしそでつくる
ガスパチョとソース

(2013.05.20)
写真/黒澤義教

みなさん、こんにちは。
夏のような陽気になったり、寒くなったりしますが、いかがお過ごしですか。
こんな時の体調管理には気を使いますよね。
気温差に負けない体力作りと、バランスのよい食事で、元気に過ごしたいものです。
急に暑くなった時には、さっぱりとしたものが食べたい!とカラダが欲してきます。
そこで今回は、食欲増進、栄養価の高いしそをたくさん食べられる
清涼感たっぷりの「ガスパチョ」と個性的なソースをご紹介します。
しそをもりもり食べてミネラルチャージ!! シャキーン!

♠しそ料理に合わせたい「ファビアナ・パッソーニの音楽」by 吉本 宏
人に必要なビタミンやミネラルのほとんどを含むスーパーハーブ!

しそは、シソ科の一年草です。別名「大葉」と言います。ミャンマー、ヒマヤラ、中国原産で日本には平安時代に中国から伝わったそうです。大きく分けて一年中見かける緑色の青じそと、6~7月に期間限定で出回る梅干しや紅しょうがの着色に使われる暗紫色の赤じそがあるのは、きっとみなさんもご存知の通り。実は品種は多く、葉に細かいしわの入ったちりめんじそや葉の表面が紫緑色で、裏面が赤紫色の片面じそ、なんていう変わり種もあります。

また、花が3割ほど開きかけた状態で収穫したしその穂を「花穂紫蘇(はなほじそ)」と呼び、花が落ちた後、実が未熟なうちに穂先5㎝くらいに切り取ったものを「穂紫蘇」と呼びます。ちなみに、赤じそは淡紫色、青じそは白色の小さい唇の形をした花を多数つけ、花の後はしその実になります。

本来しそは「紫蘇」と書き、赤じそを意味します。青じそは変種で、赤じそより大きな葉なので大葉と言われるそうです。しその葉は、日本人が好む心地よい香りとほろ苦さと爽やかな辛味があります。この香り成分ペリルアルデヒドは胃液の分泌を促して食欲を増進させるだけではなく、食中毒の予防に役立つといわれる強い防腐作用を持っています。刻めば刻むほどこの成分が引き出されるので、細かいみじん切りで使うのが効果的です。

またβカロチンが大量に含まれるほか、ビタミンB群のうちB1、B2、B6、ビタミンCEKも多く、ナイアシンも含みます。むくみを予防するカリウムや、貧血を防ぐ鉄、カルシウム、ナイアシン、マグネシウム、亜鉛なども豊富です。つまり人体に必要なビタミンやミネラルがほとんど含まれているのですーーー!! すごい! こんなパーフェクトなハーブを刺身のつまや薬味だけで使うのはもったいない!!


しそ

しそのガスパチョ


味がなじみやすいようにトマト、パン、きゅうりを手でちぎる

材料4人分
しそ 10枚(葉のみ細かいみじん切り)
トマト 250g(湯むきして芯をとる)
きゅうり 2本(へたを取り皮をむく)
赤玉ねぎor新玉ねぎ 80g(皮をむき繊維に添ってスライス)
パプリカ1/2個(皮をむいて1㎝角カット)
にんにく1個(包丁などで潰す)
カンパーニュorフランスパン100g(一口大にちぎる)
オリーブオイル 大さじ3
レモン汁1個
バルサミコ 大さじ2(お好みで)
タバスコ(今回は5滴 / お好みで)
氷と水 600mℓ(氷12キューブと水)
塩 適宜

作り方
1.中ボウルに氷水を用意し、中鍋にトマトが浸るくらいの水を沸騰させておく。トマトのへたをくり抜き、沸騰したお湯の中に10秒程度入れ、皮がはじけたらすぐ氷水の中へ漬けて取り出してから皮をむく。
2.きゅうりのへたをとり、皮をむいて、綿棒でたたく。大きなものは一口大に手でちぎってボウルに入れ、塩を振ってなじませておく。
3.しそは細かくみじん切りにし、トマトは食べやすい大きさに手で裂き、赤玉ねぎは繊維に添ってスライス。パプリカは皮をむき1㎝角にカットする。パンは一口大にちぎる。これらを2のボウルに入れ、レモン汁、バルサミコ、潰したにんにくを入れ、手で混ぜなじませる。
4.オリーブオイルと氷水、お好みでタバスコを入れて軽く混ぜ合わせ、塩加減をやや強めに調節して完成。透明なガラスボウルに入れて作ればそのままテーブルへ。(氷が小さくなったら食べごろ!)

ソース

しその葉を
ぐるぐる巻きにして切るとみじん切りが楽にできる

材料4人分

しそ 20枚(細かいみじん切り)
ドライクランベリー20g(みじん切り)※ドライブルーベリー、レーズンでもいい
しょうゆ 小さじ3
バルサミコ 小さじ2
ハチミツ 小さじ2
オリーブオイル 大さじ3
にんにく(すりおろし) 適宜(お好みで)

作り方
1.しその茎を落とし、10枚ほど束ね端からぐるぐる巻いてカットしてから細かくみじん切りにして、小ボウルに入れる。
2.クランベリーをみじん切りにし1に入れる。
3.2に全ての調味料を入れ混ぜ合わせ完成。

しその活用法も覚えて夏の準備を。

今回、しそとクランベリーのソースは鰹のハーブ蒸しにかけてみましたが、肉料理にもとっても合いますのでいろいろなお料理との相性をお試しください。あ、パンにつけてもおいしかったですよ。クランベリーの甘さがアクセントになっていて、新しい味覚体験ができるはず。

たくさんのしそを手に入れたら、塩もみしてパリパリに乾燥させ、手でもんでふりかけにしてもおいしいです。(葉脈は硬いので取り除きます。)あと、青じそはよく洗い一枚一枚水気をふきながら塩をまぶしていき密封容器に重ねるようにつめていくと「塩青じそ」の出来上がり。おにぎりに巻いたり、料理に刻んでいれたりと1カ月は楽しめます。

お酢にきざんだしそ入れて1週間ほど漬け込んだ「しそ酢」を作って夏の暑い日にソーダで割って飲むのもいいですね。いろんなしそのレシピを覚えて、暑い夏を乗り越える準備をしましょう。


しそのガスパチョ

しそとクランベリーのソース

ボーダー(国境)のないファビアナ・パッソーニの音楽

 
中国原産のしそがスペインの郷土料理のガスパチョになると想像しただけで、どんな味になるのかワクワクしてきます。トトスク・キッチンの料理は、いつも軽く国境を越えていくところが魅力ですね。

ブラジルのミナス・ジェライス出身ながら、いまはロサンゼルスで活動するシンガーのファビアナ・パッソーニも変幻自在な歌を聴かせてくれます。2007年にデビューした頃は、ミルトン・ナシメントの「ナーダ・セラー・コモ・アンチス」や、ビーチ・ボーイズの「ダーリン」を軽やかにカバーしていましたが、3枚目の最新作では、それまでの伸びやかな歌唱から、グッとおさえたとてもクールな歌声に変わり、まるで別のアーティストかとまちがえてしまうほどです。

カバー曲もミニー・リパートンの「ラビン・ユー」やビル・ウイザースの「ラブリー・デイ」、バート・バカラックの「クロース・トゥ・ユー」など、多くの歌手に歌われる人気曲を採りあげていますが、どれも大人のウイスパリング・ボイスというほどにまろやかでとても心地よく響きます。

ファッションは、夏に駆け出していくようなLAスタイルの雰囲気ですが、西海岸のハイウエイを真っ赤なコンバーチブルでとばし、夕暮れどきに彼女の歌がFMから流れてくると、思わず聴き入ってしまうことでしょう。

文/吉本 宏

Fabiana Passoni / Dim The Lights