ほろ酔い倶楽部 - 4 - 『第1回アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール』に行ってきました。

(2009.12.07)

先日、大阪市内のホテルで行われた『第1回アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール』に行ってきました。なんでもホテルニューオータニ東京にある三ツ星レストラン、『トゥールダルジャン東京』所属の2人のイケメン・ソムリエが出場するというからです。おまけにコンクール後はガラ・ディナー、ボジョレー・ヌーボー解禁パーティと『セレブ風 朝までコース』が用意されているというではありませんか!!

当日はまず記者会見からスタート。国際ソムリエ協会会長の小飼一至さん、国際ソムリエ協会技術委員長の田崎真也さんらがずらりと並びます。田崎さんがいるだけで「ワイン祭り」な感じがしてしまうのは私だけでしょうか。

記念すべき第1回が大阪で行われた理由は「大阪が食の文化を担ってきた」からだそうです。なんでも前々日は京都の酒蔵へ、前日は神戸のワイン城へ、また大阪で回転寿司発祥の店で、ソムリエたちは大盛り上がりだったのだとか。

集まったソムリエは韓国、中国、オーストラリア、ベトナム、香港、シンガポール……といった国の男女20人。近年、アジア・オセアニア地区のワイン事情は急速に変わりつつあるのだそうです。みな若くて、きりっとしつつもどこか愛嬌のある素敵な人ばかり。

そして最終審査の3人に残ったのは…。

左から日本の谷宣英、森覚、オーストラリアのフランク・モロー。3人はチリでの国際大会に出場が決定。

日本の森覚。オーストラリアのフランク・モロー。そして日本の谷宣英。そう、『トゥールダルジャン東京』の2人は最終審査に2人とも残ったのです。最終審査は数百人が見守る公開審査。壇上には3つのテーブルが用意されています。第1のテーブルでは、カップルにシャンパンをサービスします。そして料理のメニューを調理法も含めて説明し、そのメニューに合わせたワインをレコメンドするのです。

ここでは森さんがやや硬い表情ながらもメニューをそつなく説明し、国産ワインを含めたオリジナリティあふれるレコメンドで余裕を見せました。ただ個人的な印象では谷さんのシャンパンのサービスは優雅だと感じました。いいなあ。美しいなあ。
第2のテーブルには審査員5人に加え、会場から5人の女性が選ばれて座っています。なんで選ばれなかったんだろうなあ、私……。

10人の客に1本のワインをそれぞれにサービスします。そして間違ったワインリストを正しく直して客に伝えるのです。これは全員がかなり苦戦していました。モローさんはコルクを途中で割ってしまうなんていう失態も。しかしうろたえず処理してその場をきれいにまとめたところは、さすがにワインと長い歴史を過ごすフランス人の血でしょうか。谷さんは、リストを見たとたん、ふーっとため息でした。でも日本人2人はなかなかの訂正ぶり。知識は他の国のソムリエを圧倒しているようです。

最後のテーブルは、ブラインド・テイスティング。まずは3種類のワインを。そして6つのスピリッツをテイスティングして種類と産地を言い当てます。

谷さんのテイスティング。

3人ともワインはかなり苦戦していました。最初の白のグラスは「ソーヴィニヨンブラン」という品種は全員同じ、国名が分かれました。日本人の2人は「ニュージーランド」との回答。これが実はチリ産の「MONTES」だったのです。いかに新地域でのワインの品質が向上しているかということでしょう。

結果、優勝は森さんに。谷さんは3位となりました。

ディナーの前に芸妓さんや舞妓さんが踊り、協会の方々がご挨拶され、結局ご飯が始まったのは9時半。客席はかなりくたくたでありましたが、それでも優勝した森さんたちはテーブルを回って来られました。
 

森さんのデキャンタージュ。
スピリッツのテイスティング。

さっそく優勝した森覚さんに独占ヒーローインタビュー!
 
「全部の課題に緊張していましたね。もっと語学力をつけて、ダイレクトにコンパクトに表現できるようになりたいです。サービスももっとスムーズに、日本人らしい身のこなしができるようになりたいです。ソムリエはお客様をいかに楽しませるかですから、食事をしてもらうという意識も忘れないようにしたいですね」

今回、ワインを表現するのもサービスもすべて英語と決められていたそうです。その昔、田崎真也さんが出場した頃はまだ母国語でもOKだったんだとか。若干32歳、威風堂々のチャレンジでした。集中力と細やかさ。ソムリエという職業はまさに日本人にうってつけなのかもしれません。

料理にひとつずつ違うワインが添えられたガラディナーを楽しく過ごした後はカウントダウンでボジョレー・ヌーボー抜栓。
 

この日ブラインド・テイスティングで出題されたワインの回答となるボトルたち。なかなか難しい出題だった。
審査員や協会の人たちがずらりと並ぶ前で、優勝者として最初の一言を話す、森覚さん。緊張が続く様子。

 
今年のボジョレーは非常に良い出来だと言われていますが、確かに果実味しっかり。年々濃い味がするようになっている気がします。その夜の濃い戦い、集まった人たちの濃い楽しみぶりにぴったりでありました。

筆者プロフィール

森 綾(もり・あや)

大阪市生まれ。現在『ミセス』『婦人公論』『朝日新聞』などにレギュラー執筆しつつ、ミシュランで1つ星をとった串カツとワインの元祖な店『六覚燈銀座店』のPRも手伝う。ある雑誌の取材でボルドー・サンテミリオンを取材した際、丘のてっぺんの教会で『神様、私は一生美味しいワインが飲めますように』とお祈りしてしまったばっかりに、すべての運がそこに集約されているという人生(笑)。著名人インタビューは1,000人を超え、近著は9冊目となる『キティの涙』(集英社)。恋愛や結婚に関するエッセイも多く『マルイチ』(マガジンハウス)は離婚をポジティブにとらえる時代の先駆けとなった。Yahoo! ブログ『森綾のおとなあやや日記EX』はうまいもの満載とのうわさ。