クオリティワインを生む首都、ウィーンで、ワインカルチャーを体験。その2女性ワイン生産者のライジングスターは、ここウィーンから。

(2014.12.15)
  「ワインのスタイルは葡萄自身が決める。私はただその手助けをするだけ」と語るユッタ。©Udo Bernhart
  「ワインのスタイルは葡萄自身が決める。私はただその手助けをするだけ」と語るユッタ。©Udo Bernhart  
「11人の女と彼女たちのワイン」

いま注目の女性生産者といえば、なんといってもウィーン19区を拠点に活躍するユッタ・アンブロジッチです。

オーストリアの女性・実力派生産者たち11人で構成されるグループ「エルフェン・フラウエン・ウント・イーレ・ヴァイネ Elfen Frauen und Ihre Weine(11人の女と彼女たちのワイン)の最も新しいメンバーでもあります。

このグループは、2000年に、白ワインの銘醸地ニーダーエスタライヒ州の、イルゼ・マイヤー(ガイヤーホーフ)、ビルギット・アイヒンガー、赤ワインの銘醸地ブルゲンラント州の、ハイディ・シュレック、ビルギット・ブラウンシュタイン、シルヴィア・プリーラーなど、蒼々たるメンバーにより結成されたもので、様々な楽しいイベントを共有しながら互いを高め合っています。実は2006年、創立メンバーであるロージー・シュスター(ブルゲンラント)が病気のために退会し、ずっと10人で活動していたのですが、2010年、10周年記念のイベントを記念して初の新メンバーとして選ばれたのが、1974年生まれと最年少のユッタでした。

映画『第三の男』のラストシーンでも知られるウィーンの公園“プラター”の観覧車のなかでアペリティフをいただくというユニークなアニバーサリー・パーティには、私も出席したのですが、そのときみんなが口々に話していたことは、ユッタのワインのクオリティもさることながら、ウィーンという注目の産地が決め手となったそうです。そしてこのとき、ユッタがワイン造りを始めて4年しか経っていないということを知り、またまた驚きました。

19区にあるマイヤー・アム・プファールプラッツの畑のすぐそばをトラムが走っている。  
19区にあるマイヤー・アム・プファールプラッツの畑のすぐそばをトラムが走っている。  
グラフィックデザインから、オールド・スクールなワイン造りへ。

彼女は元グラフィックデザイナーとして広告業界で活躍していました。

「ブルゲンラント出身で、親戚がワイン造りをしていたこともあり、ずっとワインが好きだった」という彼女は、繊細なブランフレンキッシュ種のワインで知られるブルゲンラントのウヴェ・シーファー、ハンス・ニットナウス、そしてウィーンのフリッツ・ヴィーニンガーのもとで研修をするうちに、自分のワインを造りたいという思いが高まり、2004年、わずか数百本のリースリングをリリースしたところ、そのクオリティが評価され、多くのメディアに取り上げられました。

「オールド・スクールなワイン造りがしたい」というユッタ。19区と21区に合計4haある畑は、認証は得ていませんが、葡萄はすべて有機栽培。いずれも樹齢は30年以上で、中には1940年ごろ植えられたものもあるそうです。

看板ワインの〈リースリング・ローゼンガートゥル〉、ゲミシュタ・ザッツの〈アイン・リーター・ヴィーン〉、ツヴァイゲルト種で造るロゼの〈ローザ・アンブロジッチ〉など、どれもエレガントで芯の通った味わいは、彼女自身の印象と重なります。「たくさんのワインを試飲し、一流の人たちのもとで研修したけれど、ワイン造りの一番の師匠は、自分のなかにある好奇心でした」と話してくれました。月に数回、ブッシェンシャンク(食堂)もオープンするので、ぜひチェックしてくださいね。

Jutta Ambrositsch 
Himmel Straße 7,1190Wien

 
ウィーンでワインを飲むなら

ウィーン4区、オペラ座から徒歩10分ぐらいのところに
今年オープンした〈ヴィーン・ハンドルング〉は、ドイツ語で〈ウィーン商店〉を意味するワインバー。オーナーのビアンカ・オズワルドは、生粋のウィーンっ子。大都会ウィーンは,地方出身者が多いため、ウィーン生まれウィーン育ちは意外に少ないのです。滞在中にいろいろな人にヒアリングした結果では、人口の4分の1ぐらいらしいです。

店主がウィーン生まれならワインもすべてウィーン産で、フリッツ・ヴェニンガー、ユッタ・アンブロジッチ、マイヤー・アム・プファールプラッツ、コベンツルなど、常時白5~6種、赤3種、毎日1種はサプライズがあるそう(€2.2~)。

ビアンカは、長くテレビ局に勤めていましたが、古くて新しいウィーンのワインであるゲミシュタ・ザッツが注目されていくのを肌で感じ、古い伝統と新しい潮流の架け橋になれればと、ワインバーをオープンしたそう。

ワイン以外にも、いろいろなウィーンのおいしいものを紹介したいと、蜂蜜、ペースト類など友人たちが造った品々も販売しています。

黒を基調にした落ち着くインテリアは、コニー・ヘルツォク、モダンなスタイルのグヤーシュなどのレシピ製作は、エリザベート・シュトルンツのふたりの親友に依頼。お客さんたちが、ワインを飲みながら彼らの「作品」に触れられることでサポートしていければと語っています。

Wienhundlung
Margareten Straße 9,1040 17:00~22:00 日・月曜定休 
交Karlsplatzから徒歩10分。

  • 「ウィーンのおいしいもの、楽しいものを紹介していきたい」と話すビアンカ。 
      「ウィーンのおいしいもの、楽しいものを紹介していきたい」と話すビアンカ。 
  • 友人たちが造る蜂蜜やペースト類を、「ウィーン・ハンドルング」ブランドで。
      友人たちが造る蜂蜜やペースト類を、「ウィーン・ハンドルング」ブランドで。
  • チキンのグリルのライス添え。ヘルシーでおいしい料理も自慢。
      チキンのグリルのライス添え。ヘルシーでおいしい料理も自慢。

協力:WienTourismus