TOTOSK KITCHEN Vol. 27 アニスシードとフェンネルシードアニスシードのソルダムピクルスとフェンネルシードの紫キャベツパイ

(2014.07.24)
  • 写真/黒澤義教
    写真/黒澤義教
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    写真/黒澤義教

みなさん、こんにちは。2年以上前に始まったこの連載も27回目となりました。いくつものハーブとスパイスを使ったレシピをご紹介してきましたが、友人から、見た目や香りの似ているスパイスについて質問されることがありました。

確かに見た目や香りが似ていて、違いがよく分からないと思われがちなスパイスがいくつかあります。そこで今回はよく似ているカタチをした4種のスパイス、クミンシード、アニスシード、キャラウェイシード、フェンネルシードの4つのシードを比べてみようと思います。改めて比較してみると、似ていると思っていたものもそれぞれの個性があって、違うということが分かってとても面白いですよ。

このシード系スパイスを生かした、夏にぴったりなレシピを2回に分けてご紹介したいと思います。前編はアニスシードとフェンネルシードです。

♠アニスシードとフェンネルシードに合うイングリッド・マイケルソン音楽

夏の味覚を引き立てる、シード系スパイス。

クミンシード、アニスシード、キャラウェイシード、フェンネルシードの区別がつきにくいという声を聞いたので、改めて比較してみようと思います。

4つすべてに共通することは、セリ科の植物の細長い種でありレースのようなかわいらしい小さな花を咲かせ、そのあと実らせる褐色の種が乾燥したものです。フェンネルシードだけ黄色い花で、あとは白い花を咲かせます。種子は卵型か長楕円形です。

アニスシードは4つの中で一番軽小さくてややずんぐりとしています。短いヒゲのようなものがついていることが多いので見分けやすいかも。名前から八角(スターアニス)の種?と思われがちですが、八角とは全く別のものなのです。スターアニスに似た香りがするのでそう呼ばれちゃっているだけなのです。お間違いなく。この独特な香りはお菓子やパンなどに混ぜて焼いてもおいしいです。甘くてスパイシーな香りはリコリス(甘草)にも似ていますが、より強い香味をもっています。アニスシードは消臭効果があるので魚介の臭みをとってくれます。

フェンネルシードは、インド料理店のレジにザラメと一緒によく置かれているスパイスです。アニスシードによく似た香りを持っていますが、形はだいぶ違うので見分けやすいかも。アニスシードの2倍ほどの大きさがあり、小さく細長いひまわりの種のようです。アニスシードより甘く、若干の苦味があるのが特徴です。甘い香りなので、やはりアップルパイやクッキーといったお菓子にもよく合います。口に含むと、一瞬口の中がスッキリしますが、エキゾティックな余韻が残ります。

4つのスパイスはいずれも消化促進作用があり、食べすぎた後などに飲むと、胃腸の働きを促進させ、胃もたれを防ぐのに役立ちます。ガムの代わりにこのスパイスたちをバックにしのばせておこうかな、なんて。食後のお口直しや、胃腸が弱っているときに便利かもしれません。これらのスパイスがふんだんに入っているカレーが夏バテ防止に一役買うというのも納得ですね。

キャラウェイシードとクミンシードのレシピは次回で紹介します。お楽しみに!

左から、クミン、キャラウェイシード、アニスシード、フェンネルシード
左から、クミン、キャラウェイシード、アニスシード、フェンネルシード

アニスシードのソルダムピクルス 材料4人分

アニスシード 小2
りんご酢 300cc
砂糖 100g
レモン 1個
しょうが 25g
バニラビーンズ 1本
水 150ml
白ワイン 大さじ3
ソルダム(皮が青いもの) 5個

作り方
1.あまり熟していないソルダムを半分にし、種をとる。(アボカドの種を取るように)
2.煮沸消毒した瓶にソルダムと縦に半分にしたバニラビーンズを詰める。
3.小鍋にりんご酢、砂糖、5mmに輪切りしたレモン、スライスしたしょうが 、白ワイン、水を入れ、沸騰させかき混ぜながら砂糖を溶かす。
4.瓶に工程3を入れ、蓋をして完成。
*作ってすぐは酸味が強いので、冷蔵庫で2日ほど寝かせると酸味の角がとれておいしくなります。

(材料写真は、右矢印をクリック/スマホの方はスワイプして見てください)

  • 1.あまり熟していないソルダムを半分にし、種をとる。(アボカドの種を取るように)
    1.あまり熟していないソルダムを半分にし、種をとる。(アボカドの種を取るように)                                    
  • 2.煮沸消毒した瓶にソルダムと縦に半分にしたバニラビーンズを詰める。
    2.煮沸消毒した瓶にソルダムと縦に半分にしたバニラビーンズを詰める。                                    
  • 3.小鍋にりんご酢、砂糖、5mmに輪切りしたレモン、スライスしたしょうが 、白ワイン、水を入れ、沸騰させかき混ぜながら砂糖を溶かす。
    3.小鍋にりんご酢、砂糖、5mmに輪切りしたレモン、スライスしたしょうが 、白ワイン、水を入れ、沸騰させかき混ぜながら砂糖を溶かす。
  • 4.瓶に工程3を入れ、蓋をして完成。
    4.瓶に工程3を入れ、蓋をして完成。                                                                        

フェンネルの紫キャベツパイ

材料4人分(18㎝のタルト型)
フェンネルシード 小さじ1
紫キャベツ 100g
木綿豆腐(水切り) 15g
ヨーグルト(水切り) 30g
生クリーム 30g
茹でたじゃがいも 中1個
とろけるチーズ 20g
塩 適宜
市販のパイシート 1枚

作り方
1. 市販のパイシートをタルト型に敷き、型からはみ出た部分は指で押さえて取り除き、フォークで穴をあける。
2. クッキングシートやアルミホイルを敷き重しをのせ200℃のオーブンで20分ほど焼き、重しをとって10分焼く。(パイが膨れてしまったらスプーン等で押さえておく。)
3. 紫キャベツを粗くカットし、ミキサーにかけみじん切り程度に攪拌します。
4. さらに、豆腐、ヨーグルト、生クリーム、塩を入れてまわす。
5. 茹でたじゃがいもの皮をむき、5mmの輪切りにしてパイ生地の上に並べる。
6. じゃがいもの上から工程4を入れる。
7. チーズとフェンネルシードを散らし、200℃のオーブンで30分ほど焼いて完成。

(作り方写真は、右矢印をクリック/スマホの方はスワイプして見てください)

  • 1.市販のパイシートをタルト型に敷き、型からはみ出た部分は指で押さえて取り除き、フォークで穴をあける。
    1.市販のパイシートをタルト型に敷き、型からはみ出た部分は指で押さえて取り除き、フォークで穴をあける。                                                   
  • 2.クッキングシートやアルミホイルを敷き重しをのせ200℃のオーブンで20分ほど焼き、重しをとって10分焼く。(パイが膨れてしまったらスプーン等で押さえておく。)
    2.クッキングシートやアルミホイルを敷き重しをのせ200℃のオーブンで20分ほど焼き、重しをとって10分焼く。(パイが膨れてしまったらスプーン等で押さえておく。)
  • 3.紫キャベツを粗くカットし、ミキサーにかけみじん切り程度に攪拌します。
    3.紫キャベツを粗くカットし、ミキサーにかけみじん切り程度に攪拌します。                                    
  • 4.さらに、豆腐、ヨーグルト、生クリーム、塩を入れてまわす。
    4.さらに、豆腐、ヨーグルト、生クリーム、塩を入れてまわす。                                    
  • 5.茹でたじゃがいもの皮をむき、5mmの輪切りにしてパイ生地の上に並べる。
    5.茹でたじゃがいもの皮をむき、5mmの輪切りにしてパイ生地の上に並べる。                                    
  • 6.じゃがいもの上から工程4を入れる。
    6.じゃがいもの上から工程4を入れる。                                                                         
  • 7.チーズとフェンネルシードを散らし、200℃のオーブンで30分ほど焼いて完成。
    7.チーズとフェンネルシードを散らし、200℃のオーブンで30分ほど焼いて完成。                                     
きりりとした酸味ピクルス液は夏の味方。

アニスシードのピクルスは冷やして召し上がってください。残ったピクルス液は、オリーブオイルと塩、こしょうを混ぜてドレッシングとして活用できます。果実味がしてとてもおいしいですよ。また、夏の暑い日は、炭酸で割って飲むと酸味の利いたドリンクに。夏バテの気味のからだもシャキッとします。かなり酸っぱめの味ですが、夏にはこれくらいがいいです。

紫キャベツのパイを、つくった翌日に召し上がる場合は、ぜひオーブントースターで温めてください。きれいな紫色とパイのパリパリ感が復活します!

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ポップに弾むイングリッド・マイケルソンの音楽

Be OK - Ingrid Michaelson

“BE OK”と、ほっぺたに書いたキュートな彼女のポートレート。彼女のアルバムからどんな音が聴こえてくるのかをイメージすることは、似たような形をしたスパイスのシードから、どんな香りがするのかを想像することにも似ています。

ニューヨーク出身のポップ・シンガー、イングリッド・マイケルソンは、今年に入り新しいアルバムをリリースしましたが、彼女が一躍注目を浴びた2008年のアルバムのタイトル・ソング「BE OK」は、一度聴いたら忘れられないほど印象的な歌です。

軽やかにウクレレを奏でながら、「I JUST WANT TO BE OK, BE OK, BE OK」と歌う彼女は、まるで思春期のティーンエイジャーの女の子が、どうにもならない失恋の想いをノートに書きつけるように聴こえてきます。

「大丈夫!ってなりたいの」。ときおりクールに微笑む彼女の表情からは、なぜかその想いをうかがい知ることがきません。どこかミステリアスなところも彼女のチャーム・ポイントなのです。

文/吉本 宏

Ingrid Michaelson / BE OK
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