日本ワインの歴史と今を尋ねて、リニューアルオープンした『シャトー・メルシャン』へ。

(2010.09.16)
オープン記念イベントにはメルシャン ワインアンバサダーの押切もえさんも登場。華やかな幕開けとなった。

日本ワインがいよいよ本格的なブームになろうとする気配をひしひしと感じる今日この頃。去る9月1日、山梨県甲州市勝沼にワイナリー『シャトー・メルシャン』がリニューアルオープンしたのでさっそく出かけてきた。

勝沼は見事なまでに晴れ。そんな中にも少し秋の気配があった。ふだん都心では味わうことのできない山や緑の織りなす光景に癒やされる。
ビジターセンター。地下にセラー、2、3階にセミナールーム、日本ワインの普及に貢献した麻井宇介氏所有の文献約2000冊を保管した「浅井文庫」を供える。受付や問い合わせなど、まず情報を得るにはここへ。

『メルシャン』は、国際ワインコンクールで数々の賞を受賞するなど、日本ワインの草分けでもありパイオニアでもある代表的なワインメーカー。新宿から車で2時間弱。JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」または「塩山駅」からタクシーで約10分。かつて「メルシャン勝沼ワイナリー」として多くのワインファンを集め、勝沼のワイナリーめぐりには欠かせない場所にある。

今回、大規模な設備投資を行うのと同時に、一般の人も立ち入ることのできるエリアもリニューアル。施設名も「シャトー・メルシャン」と変更し、さらなるワインの質の向上とワインファンへの楽しさの提供を行うこととなった。

オープン記念イベントには、昨年、メルシャン ワインアンバサダーに就任したモデルの押切もえさんが登場。赤ワインをイメージしたミニドレスを身にまとったもえさんが表れると、会場のあちこちから「ほうっ」とため息が聞こえてくる。美しい! 続くトークショーで、ゼネラル・マネージャーの斎藤浩氏とともにメルシャンのワインの魅力と新しいワイナリーの楽しみ方についてたっぷり語ってくれた。

左からメルシャン 代表取締役社長・CEO 植木宏氏、甲州市長 田辺篤氏、メルシャン ワインアンバサダー 押切もえ氏、シャトー・メルシャン ゼネラルマネージャー 斎藤浩氏。斎藤さんと押切さんがワインを飲みながら語り合うトークイベントも。

次に、会場をビジターセンターの地下にあるセラーに移し、ウェルカムパーティーの始まり。日本ワインを愛する会 会長の山本博さんが「長く甲州の地でワイン造りを牽引し、1983年、国内で初めてシュール・リー製法を成功させるなど、メルシャンが日本のワインに果たした功績は大きい」と挨拶。自宅のセラーに眠っていたという1966年のメルシャンのワインを斎藤氏に手渡すなど、思いがけないシーンも。

続いて、中央葡萄酒社主であり山梨県ワイン酒造協同組合理事長でもある三澤茂計さんの音頭による乾杯。シャトー・メルシャンの代表的なワインを試飲させていただいた。その後、ぶどう農家の皆様のご紹介と、日本ソムリエ教会会長 小飼一至さんのご挨拶も。

日本ワインを愛する会 会長の山本博氏。
山本氏から斎藤氏に手渡された「シャトー・メルシャン 1966」。山本氏のセラーに眠っていたとか。貴重品!
中央葡萄酒社主、山梨県ワイン酒造協同組合理事長 三澤茂計氏。
ぶどう農家のみなさん。
日本ソムリエ教会会長 小飼一至氏。
メルシャン ワイン営業本部 エデュケーショングループの藤野勝久氏と。

パーティーの後は、一般には開放しない新しい製造設備を見学。温度管理がさらに徹底できるようになったこと、窒素発生器を導入しワインの酸化ダメージをより少なくできるようになったこと、容量の少ないタンクを揃えることで栽培区画や酵母の違いなどによるきめ細かな仕込みが可能になったこと、重力を利用した移動を実現することでぶどうやワインへのダメージを最小限に抑えられるようになったことなどについて説明を受ける。

新設された製造設備の内部。真新しいステンレスタンクが並ぶ。これから、ここでどんなワインが作られていくのか楽しみ。

次は内装をリニューアルしたシャトー・メルシャン ワイン資料館へ。ここ、実に面白い! 1904年に建てられた、現存する日本最古の木造ワイン醸造書を資料館として開放。昔の樽や醸造器具、古いワインなど貴重な資料が揃い、まさに日本ワインの歴史を物語っている。古いワインの展示棚に自分のヴィンテージを見つけて、そのエチケットの痛み具合にしみじみしたりも…(笑)。

ワイン資料館。山梨県指定有名文化財、経済産業省 近代化産業遺産にも指定されており、建物そのもにも趣と歴史の重みがある。

資料館の向かいには、ワインショップやテイスティングカフェを供えたワインギャラリーが新設された。常時20種類以上のグラスワインが100円からテイスティングできるほか、ランチプレートなどの軽食もあり、お腹を満たすこともできる。ショップには、シャトー・メルシャンで作ったワインだけでなく、このショップでしか手に入れることのできない貴重なワインも。

ワインギャラリー。勝沼の自然を望みながらランチや試飲、買い物を楽しめる。

このように、ふらりと訪れても楽しめるワイナリーだけど、より楽しむには、スタッフに施設を案内してもらいながらテイスティングも行うツアーがおすすめ。しっかり楽しんで満足するためにもぜひ事前に予約を。

これからぶどうの収穫および仕込みが行われる、ワインにとっては大事な時期。世界に誇れる日本ワインの生まれる場所を見に行ってみませんか?

ワインギャラリーの前でメルシャン ワインアンバサダーの押切もえさんと。白い円柱は勝沼のぶどう畑のどこにでもある「束杭」だそう。

 

シャトー・メルシャン

Tel.0553-44-1011
山梨県甲州市勝沼町下岩崎1425-1
9:30〜16:30 
火休(祝日の場合は営業)
ウェブサイト http://www.chateaumercian.com/
ワイナリーツアー 「“シャトー・メルシャン”を楽しむ」約60分1,000円定員15名、「“シャトー・メルシャン”を識る」約90分1,500円定員15名の2コース。WEB予約も可。開催日、時間など詳しくはウェブサイトまで。