TOTOSK KITCHEN Vol. 4 レモングラス レモングラスでつくる
温かいスープとソース

(2012.07.19)
撮影/黒澤 義教
みなさん、こんにちは。
暑い日が続きますが、冷たい物ばかり食べていませんか?
今回は、食欲が落ちるこの時期に夏バテ予防に効果のあるレモングラスを使った
辛みの効いたホットなスープをご紹介します。
このスープを食べて暑い夏を乗り切ろう!

♠レモングラス料理に合わせたい「リタ・カリプソの音楽」by 吉本 宏

第4回は、テーマはアジアンムードたっぷりのレモングラス。

レモングラスはインド原産のイネ科の多年草植物で、主にアジアの熱帯に自生しています。インドでは古来より感染症や熱病、虫除けに使われてきたそうです。その名の示す通り、爽やかなレモンに似た香りがしますが、レモンよりもやや刺激が強く、生姜のような辛味と苦味もあります。その独特の香りがアジアンムードを醸し出してくれます。

この香りは食欲を刺激し、消化を促進する効果もあります。世界三大スープの一つトムヤムクンには欠かせないハーブで、独特の酸味を演出してくれます。また魚のお腹に少し詰めて焼くと臭み消しにもなります。

その使われ方はとても幅広く、料理やお菓子だけでなく、香水や化粧品、石けん、クリーム、ソフトドリンクの香料、そして工業製品のイヤな臭いを隠すための香りとしても使われているとのこと。か細い姿に似合わず(?)随分と顔が広いんですね。

根元から葉先までよい香りがして、どの部分でも使えますが、繊維が固いので葉の部分は香りづけ用に。タイなどで栽培されているレモングラスは、根が太く育つ品種だそうです。日本での栽培種は根元が柔らかくならないので、葉のみが店頭に並んでいるのですが、アジア食材店には根本もあります(販売店は下記を参照)。見た目は、細く尖った葉を持ち、細い笹のような感じです。気をつけないと手を切ってしまいそうです。あまりこまめに水やりをしなくても大丈夫なハーブで、家のベランダに植えていたレモングラスは気づくと80センチくらいに成長していました。

レモングラスとココナッツミルクのスープ



材料 4人分

レモングラス(根元近い方から5㎝くらいを薄く輪切りスライス) 1本  
葉の場合は3本くらい繊維を手でほぐす
バイマックル(コブみかんの葉)※なくてもよい 1枚
鶏肉(手羽元) 8本
水 1ℓ

サラダ油 200ml
乾燥唐辛子 半分に割って中の種をとる 5g   
カレー粉 大さじ1
コリアンダーパウダー 大さじ1
クミンパウダー 大さじ1
クローブ すり鉢で細かめにすりつぶす 大さじ1  

ココナッツミルク 400ml
オイスターソース 大さじ2
ナンプラー 大さじ2
シーユーダム(タイの濃口甘醤油なければ醤油大さじ1に砂糖大さじ1)大さじ2

作り方

1. 小さめの鍋にサラダ油と唐辛子を入れ、色が茶色っぽくなるまで中火で煮てざるで漉す。
2. 熱いうちにコリアンダー、クミン、クローブを投入する。
3. 大きな鍋に水、チキン、レモングラス、バイマックルを入れ沸騰させ灰汁をとり、蓋をして弱火で15分煮る。       
4. 3に2を投入し残りの材料(ココナッツミルク、オイスターソース、ナンプラー、シーユーダム)を入れ一煮立ちさせれば完成。           
*お好みでパクチーを入れるとさらにアジアンムード

レモングラスのチリソース

材料 4人分

レモングラス 根元近い方から5㎝くらいをみじん切り 1本
にんにく/すりおろす 1かけ
ナンプラー 大さじ2
ショウガ/みじん切り1かけ
ライム/絞り汁 半個分
乾燥唐辛子 種をとり細かめにみじん切り 2本

酢(米酢、白ワインビネガー、モルトビネガーなどお好きなもの)大さじ2
砂糖 大さじ2
水 125ml

作り方
1. レモングラス、ニンニク、ショウガ、唐辛子をみじん切りとすりおろしニンニクに、ナンプラーとライムの絞り汁を入れて混ぜる。
2. 小さな鍋に水、酢、砂糖を入れ沸騰させ冷ましたものを、1に入れて完成。

夏に欠かせないレモングラス。

このスープはいろいろとアレンジができます。今回は中華麺を入れ、高菜や赤玉ねぎ、にんにくチップ、もやし、レモンを入れてみました。つけ麺にしてもおいしいです。もちろんご飯をいれたり、フォーを入れたりしても美味しいと思います。冷製スープにしてもおいしくいただけました。

レモングラスは、タイの食材屋さんなどで手に入ります。私は「アジアスーパーストア」で購入しています。一度に大量に買ってしまっても冷凍保存が可能なので大丈夫。見かけたときに思い切って買ってしまいましょう。乾燥させたものをコットンで包みタンスに忍ばせれば、防虫にもなります。

夏に困るのが、蚊。網戸を閉めているのにどこからか忍び込んでくる小さな吸血鬼に悩まされる季節です。レモングラスで蚊を寄せ付けないスプレーも作ることができます。いっそのことお風呂に入れて体全体をレモングラスの香りにしてしまえば、蚊にさされずにぐっすり眠ることができるかも。リフレッシュ効果と疲労回復にも効果もあるし一石二鳥(?)。今度実験してみようかな。

エキゾティックな爽やかさを感じさせるリタ・カリプソの音楽

レモングラスはインド原産だそうですが、その名前を聞くと、どことなくエキゾティックで国籍不明のハーブというイメージがあります。青空にまっすぐに伸びた葉っぱや爽やかなレモンの香りはこの季節にぴったりですね。

国籍不明といえば、リタ・カリプソという不思議な名前のアーティストがいます。彼女はスペインのマドリッド出身のシンガーで、良質なポップスを数多く生み出している“シエスタ”というレーベルから、過去に2枚のアルバムをリリースしています。

彼女がカバーする曲はどれも素敵で、バート・バカラックやヘンリー・マンシーニ、ブルーノ・ニコライという映画音楽のマエストロから、ジミー・ウエッブ、ロジャー・ニコルズ、ニルソンなど、ポップス・ファンが思わず顔をほころばせるようなアーティストの音楽を採りあげています。そんな彼女が2004年にリリースしたセカンド・アルバムは、ボサノバのシンガーとして知られるアストラッド・ジルベルトが歌ったニルソン作の「Wailing of The Willow」で幕を開け、美しいウィスパリング・ビューティーのクロディーヌ・ロンジェが歌ったロジャー・ニコルズとポール・ウイリアムズのコンビ作「It’s Hard To Say Goodbye」で幕を閉じます。優しいガット・ギターにちょっぴりけだるい歌声が、昼下がりのレイジーな風のように心地よい眠気を誘います。

レモングラスとココナッツ・ミルクのスープで、ちょっと遅めのランチを済ませたら、そろそろシエスタの時間ですね。

文/吉本 宏

Sicalyptico / Rita Calypso