ほろ酔い倶楽部 - 11 - 勝手に強力応援団が結成されました。

(2010.06.21)
みんなで、「強力」をこんなに飲みました〜。

6月吉日に、新橋の『オステリア・モンテマーレ・トットリーネ』で、「勝手に強力応援団 東京結団式」という集まりをいたしました。「それって、なに??」って感じですよね(笑)。

では軽く説明させていただきます。まず「強力」というのは、「ごうりき」と読む酒造好適米の名前です(詳細はこのページの下に貼付けさせていただきますので、是非読んでみてください)。いわゆる「幻」の「復刻米」でして、現在鳥取県内の限られた場所でだけ栽培されているお米です。

この貴重な「強力」の復活に尽力された蔵元さんが、新橋の鳥取県のアンテナショップ「食のみやこ鳥取プラザ」に試飲販売のためにいらっしゃると聞きつけて、「強力」ファンの身としては「何かしなければ!」という気持ちに駆られてしまった、というわけです。

そこで蔵元さんに相談した結果「勝手に強力応援団 東京結団式」と命名してくださり、開催決定!「勝手に」ってのがよいですね〜。

ということで、トットリーネのスタッフ一同と当日お出しする予定の「強力」を試飲しながら、サービスの順番はどうしよう?お料理は何が合うだろうか?というような相談から始めて、何とか当日を迎えたのでした。

参加していただいた人数は、老若男女、美男美女、合計30名でありました。飲んだ「強力」は7種類。お料理もすべてひとつひとつに合わせて出してくれました。飲んで食べた内容は、こんな感じです。

トットリーネでは、こんな風にリーデルグラスで日本酒を。
店長・山﨑 力作の「強力」の看板で皆様をお迎え!
「中川酒造」の蔵元・中川盛雄氏より「強力」米の説明が。
かんぱ〜い!

<前菜>

*「純米大吟醸 いなば鶴 強力 生原酒」
〜焼き大原トマトとアオリイカのレモンマリネ 
   ういきょうと南イタリアのグリーンオリーブのサラダ 魚醤のソース〜
*「純米大吟醸 いなば鶴 強力」
〜もち大豆のパニッサとオーソブッコ・ミラネーゼ関金の畑ウドのソテー添〜
中川酒造の「強力」のフラッグシップ、純米大吟醸の「生原酒」と火入れした通常品を飲み比べ。「生」がフレッシュでアロマティックな香りが魅力的なのに対し、火入れした純米大吟醸は落ち着きがあり味わい美人という印象。
+みなさん第一皿目から「結構よく合うね〜」と、喜んでいただきました。
 

純米大吟醸と前菜1。
純米大吟醸と前菜2。

<パスタ>

*「純米酒 いなば鶴ろくまる強力 無濾過生原酒 」
〜砂丘らっきょうと本まぐろのカラスミのスパゲッティ アーリオ・オーリオ〜
「純米酒 いなば鶴ろくまる強力」
〜焼き鰆とドライトマトのラヴィオリ ぎぼし(山菜)のソテーとケッパーのロゼソース〜
純米酒は、ある意味で最も「強力」らしさが表現されているともいえます。瓶詰め時期が同じふたつの純米酒を飲み比べていただくと、その潜在能力がみえてくると思われます。
+「強力、ほんとに力強いね」の声。日本酒にしては酸味もしっかりあるほうなので、4種類飲んでも飲み飽きしません。
 

純米 生とパスタ1。
純米とパスタ2。

<メイン>

*「純米吟醸 いなば鶴 五割搗き強力 生にごり原酒 あぶないお酒」
〜グラナパダーノチーズとサフランの焼きリゾット〜
「純米吟醸 いなば鶴 五割搗き強力」
〜鳥取和牛のローストビーフと野添のワサビ 新タマネギのベニエ添え〜
純米吟醸の通常品「五割搗き強力」は上品で力強く、微発泡の「生にごり原酒」は口当たりがよくて、まさに「あぶないお酒」。ふたつの顔をメイン料理でご堪能いただきます。
+お肉が出ても、皆さん普通に「おいしい、おいしい」と。鳥取和牛の旨みたっぷりな味わいと、本当にぴったり合っておりました。
 

あぶないお酒(発泡にごり)&焼きリゾット、純米吟醸とローストビーフ。
xxxxxx

<デザート>

「純米大吟醸 琥珀 強力」   
〜むかし卵とクリームのロールケーキ〜
平成8年に瓶詰めされ「蔵人の忘れ物」と記された「強力」。12年の時を経た、純米大吟醸は琥珀色に変わり上品な熟成を遂げています。
+日本酒の古酒そのものが初めての方もいらっしゃいました。文字通り「琥珀」色の液体は、上品でまろやかで、甘味もあるので食後酒に最適です。
 

古酒とデザート。
12年ものの古酒。

【会を終えて】

1−今回の会を行うにあたって、実は一人の女性が私の背中を押してくれました。Sさんという方で、Twitterで知り合った日本酒びいきの方。彼女がある日の夜トットリーネで食事をして強力を飲んだ後「これ、すごい!こういう日本酒は世界に発信しなくちゃ」とtwitしてくださいました。

それを聞き、密かに目論んでいた会を「実施しなければ」と、一気に勇気づけられたのです。この集まり、「応援団」というからには言い出しっぺの私が「応援団長」ってことになってしまうのだと思いますが、Sさんはさしずめ「副団長さん」でしょうか? 今後もよろしくお願いします!

2−宴もたけなわな折り、ある人物が登場されました。横浜君嶋屋のご当主で日本酒の権威としても知られている君嶋哲至氏です。

君嶋さん曰く「戦前から残ってる米は、4種類しかないんだよね。山田錦、亀の尾、雄町、強力。しかも強力は鳥取だけでしょ。絶対残していかなくちゃね。それにこれ、旨いよ!」メモをとったわけではないですが、こんな感じの言葉をちょうだいしました。情熱の男、君嶋氏にこのように言っていただいたからには、更に「強力」の会を盛り立てていかなければ!と思った次第でありました。

ちなみに、君嶋さんは7月に「ぽんしゅが最高!」というCDを発売される予定です。はりきって、買わせていただきます!

3−今回の写真は「ほろ酔い倶楽部」主宰の小松勇二氏にお願いしてしまいました。快く「いいよ〜」と言って、しかもたくさん撮影してくださった小松主宰、ありがとうございました!

最後にジャンケン大会を。
強力の前掛けをゲット!
大杯をゲット&飲みほす!

【強力 簡単解説】

強力とは?
『幻の鳥取地元米品種の復活!!』

「強力」と書いて「ごうりき」と読む、鳥取県特有の酒造好適米です。

明治時代までは盛んに栽培されていた米ですが、背丈が高く、粒が大きく、1穂に実る粒が多いため、いざ刈り取り!と思った直前に倒伏するケースが多かったことから、次第に廃れていきました。

ところが昭和時代の終わり頃、県内の蔵元からこんな疑問が湧きました。県外で栽培された米を買って造る酒が、本当に鳥取の酒といえるのだろうか?と。それにひとつの答えを出したのが、当時でも日本酒造会の生き字引ともいわれた、故・上原浩氏=「夏子の酒」の上田久先生のモデルとなった人物。

「かつて鳥取には、強力という米があった!」

「中川酒造」の蔵元・中川盛雄氏はその言葉をもとに探し求め、鳥取大学でわずかに育種・保存栽培していた種籾を少量だけ譲り受け、篤農家と交渉して説得。2年を費やして栽培面積を増やし、ようやく平成元年(1989年)に酒米として復活しました。

現在、鳥取県内で「強力」の酒造りをする蔵元は八つ。それぞれの蔵元によって香りや味わいは異なりますが、総じていえるのは、名前のごとく力強い味わいと、酸味のあり方といえるでしょう。ワインでいえば、白ワインとも赤ワインともいえない、野菜、魚、肉、どのカテゴリーでもしっくりくる、名脇役を演じてくれます。「強力」は、まさに食中酒として懐の深い、応用範囲の広いお酒です。どうぞ、様々な「強力」の表情をお楽しみください!

 

【参考】「強力復活秘話」

http://www.gohriki.com/gohriki_p1.html

 

【お店】『オステリア・モンテマーレ・トットリーネ』

http://www.tottori-plaza.jp/tottori_plaza/MONTE-MARE.html

http://r.gnavi.co.jp/ga3z100/

筆者プロフィール

名越康子(なごし・やすこ)

ワインライター&鳥取のPR。マガジンハウスをはじめ、ワイナート(美術出版社)、世界の名酒事典(講談社)、エル・ア・ターブル(アシェット婦人画報社)などで活躍中のワインライターを務める傍ら、2年ほど前から出身地である鳥取県の美味しいもののPRに携わっている。新橋の「食のみやこ鳥取プラザ」の2階にあるイタリアン『オステリア・モンテマーレ・トットリーネ』 http://www.tottori-plaza.jp/tottori_plaza/MONTE-MARE.htmlもプロデュース。「こんな美味しいものが鳥取にもあったんだ~」という発見の多い毎日を送っている。これから続々出荷されるブランドトマトはじめ夏野菜、今が旬の「天然」「生」の本マグロ、もうすぐ届くスイカなど、愉しみがいっぱい! ちなみに、相方は日本を代表するワインライターの柳忠之。