TOTOSK KITCHEN Vol. 3 ミント ミントでつくる
冷たいスープとソース 

(2012.06.11)
撮影/黒澤 義教
みなさん、こんにちは。
綺麗に咲いている紫陽花を目にするようになってきました。
しかし、じめじめと蒸し暑い時期にも突入です。
お洋服も半袖にしようか、長袖にしようかモヤモヤしちゃいますよね。
こんなモヤモヤな時期を乗り切る、冷たいスープをご紹介しようと思います。

♠ミント料理に合わせたい「ロマン・アンドレンの音楽」by 吉本 宏

第3回は、ハーブ界最強? 一番強く育てやすいミント

ミント(英名)は、シソ科の多年草。和名はご存知ハッカ。ミントの種類はなんと600種を超えると言われています。代表的なものが、スペアミントとペパーミントの2種。スペアミントは爽やかで甘い香りで、歯磨き粉やガムのフレーバーとしてよく使われています。ペパーミントはスペアミントより刺激的。ペパーというだけあってこしょうの香りがして、リキュールやうがい薬などに使われています。

どちらのミントも主成分がメントールなので強い清涼感があることが特長。メントールは、体温を下げる効果があり、気分を爽快にして、交感神経の興奮を抑える働きをするので、常夏のアラブ諸国では熱いミントティーで暑さ負けを防いでいます。

中世には修道院の庭でミントが栽培されていたと言われています。メントールは皮膚に付けると冷却作用、麻酔作用が働くため、今でも貼り薬や軟膏に使われています。すーっとして気持ちいいですよね。

これからの季節、食べるだけでないミントのパワーも魅力です。疲れたときにはスッキリ爽快ミント風呂に。皮膚を柔らかくし、ニキビを抑え、すっきりヘアケアにつながります。

実はハーブの中で一番強く、育てやすいのがミント。1株購入すればあれよあれよという間に増殖します。ミントとほかのハーブを同じ鉢に植えると、気づくとミントだけになっていた…なんてことも。中でもミント界最強(?)と思われるのは、名前も見た目もかわいいアップルミント。わたしのベランダにもいるスペアミントくんは、アップルミントちゃんにいまにも駆逐されてしまいそうです。

こんなに簡単に採れるミントですもの、ミントティーだけではもったいないと思います。料理にどんどん使って、積極的に食べちゃいましょう。ということで、今回はミントを丸ごと食べる冷たいスープと、ソースをご紹介します。

ミントとアボカドと豆乳のスープ



時々、ミキサーの周りに着いているものをゴムベラで落とす。

材料 4人分

ミント 1枝
アボカド 1個(食べ頃なもの)皮と種を除き角切り 
ピーマン 1個 芯を取り1㎝角切り
レモン 1個 (飾りに皮も使います)

豆乳 200ml
ブイヨン 200ml(市販のブイヨンをお湯で溶かしたもの)

サワークリーム 大さじ2(常温にしておく)

作り方

1. 小鍋にピーマンとオリーブオイル少量(分量外)を入れ、中火で1分軽く炒める。
2. ブイヨンを入れ、ピーマンがくたっとなるまで3分ほど煮て、そのままあら熱をとる。
3. フードプロセッサー又はミキサー(無い場合はすり鉢)に角切りにしたアボカドを入れ攪拌する。   
4. レモン半分を絞り、さらに攪拌。
5. ブイヨンの中のピーマンだけを加えて攪拌する。
6. ミントの葉のみ入れてさらに攪拌。
7. 豆乳を2回に分けて入れ攪拌。
8. ブイヨンを2回に分けて入れ攪拌して完成。冷蔵庫で2時間くらい冷やしましょう。         
*時々、ミキサーの周りに着いているものをゴムベラで落とす。(3〜8の工程中この作業をする)  
9. サワークリームと残り半分のレモン汁を混ぜる。
10. 器にスープをそそぎ、9のソースをかけ、レモンの皮をおろします。

ミントのソース


材料 4人分

ミント 25g(片手でわしづかみ程度)
カシューナッツ 75g(フライパンで軽く炒る)
玉ねぎ半個 (薄くスライスし水にさらし、よく絞っておく)
ケーパー 25g(瓶詰め)
カイエンペッパー 1つまみ(一味唐辛子でもOK)
レモン汁 1個分
にんにく 1個(擦りおろす)
オリーブオイル 100ml
ビネガー (今回はモルトビネがー使用。赤・白ワインビネがーでもOK) 大さじ3
塩 小さじ1
こしょう 少々

作り方
1. フライパンにカシューナッツを入れ弱火〜中火であまり焦がさないように
 カラ炒りし、あら熱をとる。          
2. フードプロセッサーかミキサーにカシューナッツを入れ10秒攪拌。
 (食感を残すため、あまり細かくし過ぎないように。
3. ミント以外の材料を全て入れ攪拌。
4. 最後にミントの葉のみを入れ攪拌して完成。

フードプロセッサーのコツをつかんでなめらかスープ

スープ作りのポイントは、攪拌のお作法です。なめらかな仕上がりにするには、攪拌途中にフードプロサッサーの周りに飛び散ったものをゴムベラで何度も落としてあげること。まず固形物を入れ、徐々に水ものを入れ、ペースト状にしてからスープ状にしていくのもコツです。

それから、大きなアボカドのままでは上手く攪拌できないのでやや細かくカットしてください。角切りにするときは、皮付きのまま縦横切れ目を入れ、皮ごとひっくり返すときれいにとれます。

アボカドの直後にレモン汁を入れるのは、アボカドの変色を抑えるためです。最近では、塩麹でもいいと言われていますが、ブイヨンを手作りするなど塩分調整にご注意を。

余談ですが、まだ熟していないアボカドは常温で置いておき、熟れたら(皮が黒くなったら)冷蔵庫で保管しておきましょう。もしも切ってみて固いなと思ったら荒療治ですが、電子レンジで軽く加熱してみてください。

玉ねぎは十分水にさらし、流水でぬめりをとりキッチンペパーなどに包んで水気を切ってください。そうすることで、辛みもとれ、水っぽいソースにならずに済みます。

このミント&カシューナッツのソースは、肉、白身魚、野菜などに合う万能ソース。わたしは特にラム肉やローストパプリカ、ゆで卵にかけるのが好きです。みなさんもいろいろなものにかけてお気に入りの組み合わせを、ぜひ見つけてみてくださいね。残ったらもちろん冷凍庫へ。

おまけレシピ 『ミント・ジュレップ』


材料 2人分(小さめグラス)

ミントの葉 6枚
お好みのウィスキー 60ml
砂糖 小さじ2
ソーダ水or水 小さじ2
クラッシュアイス 適量

作り方
1. 深めの容器に砂糖とミントを入れめん棒等で潰し混ぜる。
2. ウィスキーとソーダを入れ混ぜ、クラッシュアイスにかけて完成。
♦ ミントは消化作用とお口の消臭があるので、食後酒にぴったりです。

ミントのなつかしい爽やかさを感じさせるロマン・アンドレンの音楽

照りつける夏の太陽のもとで、バルコニーですくすくと育ったミントの葉をひとちぎり口にすると、心地よい爽快感が口いっぱいに広がります。ミントは、子供の頃から身近なハーブであるせいか、ミントの香りをかぐと懐かしい友人に再会したような気分にさせてくれます。

常に良質な大人の音楽をつくり出し、都会的なアレンジ・センスが光るスウェーデンのミュージシャン、ロマン・アンドレンの音楽は、まさにそんな気のおけない旧い友人に会うようなサウンドを届けてくれます。

彼の新作は、60年代に流行したキューバン・ミュージックの軽やかなラテン・リズムにのった洒脱なピアノが、軽快なラテン・ジャズを奏でます。そのちょっとノスタルジックなサウンドは、久しぶりにアナログ・レコードを引っぱりだしてターンテーブルに載せるようなワクワク感を覚えます。

彼の音楽を流しながら、サックス・ブルーの旧いスウェーデンのボルボのステイション・ワゴンに仲間を乗せて海に出かけましょう。大きなバスケットには、昨晩つくったミントのスープやサラダ、サンドウイッチを。おや? ルームミラーには、さっそくクーラー・ボックスからミント・ジュレップを取り出してはしゃぐ仲間たちの笑顔が。

この夏は、なんだかいいことが起こりそうな予感がします。

文/吉本 宏

CABRA NEGRA/Roman Andren