センス、技術が濃縮された
アートなケーキを『LOUANGE』で。

(2011.07.27)

代官山のメキシカン・レストランにて、フローズン・マルガリータを堪能、涼をとっていた時のこと。ファッションやアート関係者が沢山集まるそのレストランで、たまたまケーキの話になった時、「ツノの生えた芸術作品のようなケーキがある」と耳に挟みました。どんなケーキなのか見てみたくなり、その噂のケーキショップ『LOUANGE TOKYO』(ルワンジュ トーキョー)に行って参りました。今年3月、六本木ミッドタウンの近くにオープンしたお店です。

黒とシルバーを基調にしたシックなショップの外観は、一見ブティックを思わせる佇まい。重厚感あるドアを押して中に入ると、大きなシャンデリアとモノトーンで統一された店内が目に入ります。そして奥にはアートのようなケーキがショーケースに。どれも圧倒的な存在感のある芸術作品に仕上がっており、眺めているだけでため息が出るほど。

それもそのはず、ここではケーキ自体をアート作品と考えており、その時々の流行やファッション性を取り入れ、毎シーズンごとにコレクションを発表しているのです。まるでデザイナー・ブティックのようにプレタポルテラインとオートクチュールライン(フル・オーダー・メイド)まであります。

『LOUANGE TOKYO』では様々な業界で活躍してきた経営陣とプロデューサーがシーズンごとに初期のアイデアを出し合い、それをデザイナーに発注します。アートとファッションセンスを盛り込んだデザインが出来上がると、次はパティシエがそのデザインを反映しスイーツとして美しく、そしておいしい作品として仕上げるのです。

このプロセスを経て、誕生した宝石のようなケーキの一部をご紹介いたします。

甘さ控えめ、大人スイーツ
『GATEAU-CUBE』(ガトーキューブ)

『2011 SWEETS COLLECTION IN SUMMER』からの新作『GATEAU-CUBE』(1個:840円)。ホワイト、レッド、ブラウンカラーのシンプルなキューブ型のケーキ。雪のように白いホワイトは外がレアチーズケーキで、中にベイクドチーズケーキが入っています。甘さ控えめで一番上の層のレモンクリームの酸味とチーズの濃厚さのバランスが絶妙です。シャンパンと一緒に食べてみたい、そんな大人なスイーツに仕上がっています。

情熱的な色、レッドキューブはまずフォークを入れた時点で感動するほどの柔らかさ!  それもそのはず、中はムースなのです。3層からなるムースは上からバナナ風味ガナッシュ、パッションフルーツブリュレ、そしてバナナソテー、ビスキュイ。バナナ味のチョコレートにメープルシロップがミックスして優しいハーモニーを織り出しています。フルーツをしっかり満喫できる逸品です。

ブラウンのキューブは、ビターチョコレート、ピスタチオムース、グリオットの実(ベリーの仲間)で出来ており、一見甘そうな風貌をしていますが、実は軽くてビターテイスト。包括しているピスタチオムースの味がしっかり出ているため味に奥域が出ており見た目のシンプルさとのコントラストに意表を突かれます。こちらは甘いものがニガテな男性にもお薦めできそうです。

GATEAU-CUBEはお店で唯一のプチ・ガトーで単品で購入できるため、今シーズンのみの作品ではなく定番ラインに加えられる予定だそうです。単品で好みの味を楽しむのもよし、幾つかまとめてテーブルに置けばキューブたちがインテリアオブジェの役割を果たしてくれ、洗練されたテーブルの演出ができます。

photo
ちょっぴりアヴァンギャルドな味
『CHARMANTS ROSE』(シャルマン ロゼ)

誰もがはっとするインパクト絶大のピンクの豹柄のケーキ『CHARMANTS ROSE』(8,400円)! まずはケーキを覆うツヤツヤした表面の模様に鮮やかさに目を奪われます。ケーキを切ってみるとその断層図の美しさに2度感動します。薄いピンクのローズ風味のフロマージュブランに包まれた層は、木いちごのジュレ、ライチのムース、ピスタチオのビスキュイを挟み、野バラのジャムからなります。ひと口食べてみると、ローズの香りがふわっと口に広がり、チーズとライチムースの味が見事に融合しています。最高級のキルギス馬のプラセンタも入っているという女性が喜びそうな『キレイになれる味』に仕上がっているのもポイント。ローズ感が強くちょっぴりアヴァンギャルドな味で、通にも人気があるというのにも納得です。

シャネルのバッグをイメージ
『MATELASSEE』(マトラッセ)

『MATELASSEE』(9,450円)=『マテラッセ』というのはフランス語でキルティングという意味だそうです。この可愛らしいバッグの形のケーキはシャネルのバッグをイメージしたもの。バッグの中は、マンゴーブリュレ、ドンペリ(!)を使用したシャンパンムース、ピスタチオムース、パイナップルをバニラでソテーしたものが入り、間にビスキュイを入れています。一番上には贅沢なほどふんだんにイチゴ、ラスベリー、ブルーベリーが乗せられています。旬の時期には契約農家から仕入れているイチゴ、静岡産の紅ほっぺを使用しているというこだわりも嬉しい限り。そしてカメリアの形のホワイトチョコがキュートなアクセントになっています。バッグのハンドルは飴細工でできており、透明感を引き立てています。

ひと口食べてみると、ドンペリの香りがする中に、マンゴームースとソテーしたパイナップルの2種類の異なる食感が楽しくて、フルーティーな味わいがとっても甘美。また、ムースの量が多いのでなめらかな舌触りも堪能できます。オプションとして、チョコ細工のルージュ・ショコラ(2,100円)を横に添えれば可愛さもアップ。このケーキは男性が女性のために買うケーキの一番人気商品だそうです。大切な女性の記念日に準備してサプライズの演出をしてみてはいかがですか?

まるで花瓶の中の大輪の花
『FLEUR DU CHOCOLAT』(フルール ド ショコラ)

チョコキューブの上に華やかなカーネーションが鮮やかなこの『FLEUR DU CHOCOLAT』(6,300円)は、チョコレートコンクールで2009年度金賞と銀賞を受賞したチョコ、プラリュをふんだんに使っています。明るいブラウンの色から甘さを想像しますが、実際口に入れてみると洗練された甘すぎないチョコの味で、しかも後味もしつこくありません。全体を覆っているのがビターチョコのムースで、中はアールグレイの香りがついているチョコムース、くるみのキャラメリゼとクランベリー、そしてメープル風味のマスカルポーネが層をなしています。間には薄い板チョコが入っており、パリパリとした食感が楽しめます。

トップにある花はモナコ国花のカーネーションをイメージしており、繊細なピンクに色づいたホワイトチョコを薄く削った花びらがとても可憐で、まるで花瓶の中に大輪の花が咲いているよう。最高級のチョコを使っているだけあって洗練された味に仕上がっています。女性から男性に贈られることが多いというこのケーキ、チョコの味にこだわりがあるちょいワルオヤジにも喜ばれそうな通好みな味です。

『丸久小山園』の抹茶使用
『黒禅』(こくぜん)

木箱を開けると、漆黒な正方形のケーキに思わず目が吸い寄せられます。『黒禅』(5,040円)の四隅には存在感のある金泊。従来のカラフルなケーキのイメージを根本的に覆すこのケーキ、実はきれいな黒の色を出すのは本当に難しいのだそうです。工夫をこらした結果、竹炭のナパージュを使用してこのような高級感のある黒を演出することが可能となったそうでまさにパティシエの技の極み。ケーキを切ってみると中には、黒穀粉という中国の秘伝の漢方のムース、豆乳ゼリー、米粉のビスキュイ、抹茶ムース、ゆず餅と健康、美に効く食材がずっしり詰まっています。

食べてみると、黒ゴマプリンに近い、それでいて、それよりも深い味わいが舌を駆け巡ります。ムース、ゼリー、ビスキュイとお餅の食感が交わると、それぞれの異なる食感が巧みに口の中でブレンドされていきます。すべて厳選された高級素材を使っているのですが、特筆すべきなのは抹茶ムースの層。今までマスコミなどには名前を出すことがなかった京都宇治『丸久小山園』のものを使っています。葉の香り高い味が後を引くおいしさです。様々な味がうまくブレンドされ、かつ甘すぎないのでご年配の方にも喜ばれそうです。こちらのケーキは全国配送ができるため、お中元・お歳暮として贈る方も多いそう。書道家、森大衛さんの力強い書道をほどこした木箱も高級感があります。遠方でお店に足を運べない方は、『LOUANGE TOKYO』の世界観を覗くきっかけとしてぜひ試して頂きたいケーキです。

究極のオートクチュールケーキ
ゴルフ場ケーキ(オートクチュール)

『LOUANGE TOKYO』は今商品として扱っているケーキ以外にも、顧客のニーズに合わせたフル・オーダー・ケーキも承っています。オートクチュールラインと銘打つこのオーダー・ケーキは、ウェディング・ケーキからイベント用ケーキまで様々なシーンで楽しむことができます。私が一番気になったのはこのゴルフ場ケーキ(オートクチュール)(38,000円〜)。

ここまで鮮やかなグリーンが出せることにもびっくりですが、造形が繊細でこんなゴルフ場をもらった日には、思わずニヤリとしてしまうのではないでしょうか。外観ばかりではなく、味にもとことんこだわります。お客様の味の好みの要望をつねに最優先に考え、たとえばフルーツであれば旬のものはその時期一番おいしい最高級のフルーツを取り寄せて使用します。サイズや形は顧客と相談しつつデザインに忠実に制作します。世界にひとつだけのオリジナル・ケーキをぜひお試しあれ!
→オリジナルケーキのオーダーは31,500円〜。ゴルフ場ケーキ(PLAN B) は39,900円~となります。

限りなく広がるケーキの可能性

アート性・ファッション性という観点からデザインし、かつ厳選した最高級の食材で構築しているケーキ店『LOUANGE TOKYO』。美しく、そして美味しいケーキが誕生するまでに様々な人たちのセンス、技術が濃縮されていることに深く感動するとともに、ケーキという商品の計り知れない世界観の広がりの可能性を感じさせられました。トレンドセッターとして今後どんな斬新なケーキを仕掛けてくるのか、これからも目が離せません。

『LOUANGE TOKYO』(ルワンジュ トーキョー)
Tel. 03-6447-0948
東京都港区六本木4-5-7 1F
営業時間:10:00 ~ 24:00
定休日:年中無休