池田美樹, 池田美樹のLOVE♥ CITY WALKもはや“リーズナブルなテーブルワイン”ではない!?
積極的に選びたい、個性あふれるニューワールドワイン。

(2008.04.21)

ワインにまったく詳しくないのに飲むのは大好きな私。ヨーロッパ以外の地域で生産されているワインのことを「ニューワールドワイン」と呼んで区別することになっているらしいと知ったのも最近だ。

例えばアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、南米のチリやアルゼンチン、南アフリカのワインなどがそれに当たる。日本のワインもそうだ。

最近、そういうニューワールドのワインに触れる機会が続いている。そして、「ニューワールドのワインは、ヨーロッパのワインに手が出ないときに選ぶリーズナブルなテーブルワインである」という勝手な思いこみを見事に打ち砕かれた。

日本固有のぶどう品種「甲州」を使ったワイン作りを続けている「メルシャン」で行われたメディア向けの会では、夏に向けての白ワインとスパークリングワインの講座が開かれ、シャトー・メルシャンの甲州種で作ったワインを初め、チリやオーストラリアも含めた30種類近くのニューワールドワインをテイスティングした。

「これで1000円台? おいしいし、コストパフォーマンス、すごくいいね!」という声があちこちで聞こえ、資料を見ながら真剣にテイスティングする記者や編集者の姿が多数。もちろん、私もそのうちの1人だ。みんな、「安くておいしいワインを読者に知らせるだけじゃなく、覚えておいて自分でも買おうと思って」と、ちゃっかりしている。

翌日は、南アフリカワインの背景を聞きながら約13種類のワインを味わう会に出席。南アフリカのワイン作りの歴史は約350年と古く、生産量も世界第9位。生産量、輸出量を伸ばしているというが、私はほとんど飲んだ経験がなかった。

まったく知識のないまま10のワイナリーのワインを飲み比べた中で、私が気に入ったのは「ステルハイス」の赤ワイン、メルローとカベルネ。ただし、参考小売価格は6,000円と8,000円と、決してリーズナブルというわけではない。

この日紹介されたワイナリーには、熱意を持った女性の生産者が多かったのが特に印象的だった。新しい南アフリカ発のワインをイメージづけるべく、さまざまなプレゼンテーションを行ったりと、工夫を重ねているという。

数日後は、カリフォルニア・ナパ・バレーのワイナリー「ダックホーン」の副社長、ピート・ピリジビリンスキー氏の来日にともなっての夕食会。カリフォルニア料理研究家の小枝絵麻さんのアイディアにより、イタリア料理研究家の小崎陽一さんが腕を振るうという一風変わったスタイルによる、ワインと料理のマッチングを楽しんだ。

なかでも私が特に気に入ったのはナパ・バレー・メルロー2005。それもそのはず、このワイナリーはナパ・バレーでメルローという品種を主体にしたワイン作りを最初に始め、大成功を収めたところなのだ。後にワインに詳しい友人達に聞いたら、みんな知っていた。

お値段はというと、希望小売価格8,800円。これはもう、私の中では高級と言っていいワインの価格だ。でも、この味ならいつか買ってみてもいい、と思う。

ニューワールドワインにも様々な個性と背景があり、確かな品質を持つもの、自分の好みにぴったり合うものが見つかる。今まで私が思いこんでいたような「それなりの品質でまあまあ満足できるワイン」などではなかったのだ!

これからはニューワールドワインを積極的な選択肢のひとつに入れたいと思う。

「ダックホーン」のナパ・バレー・メルロー2005。
「ダックホーン」のナパ・バレー・メルロー2005。

「ダックホーン」の副社長、ピート・ピリジビリンスキー氏。
「ダックホーン」の副社長、ピート・ピリジビリンスキー氏。