TOTOSK KITCHEN Vol. 9 ローズマリーローズマリーでつくる
白いスープとマスタードソース

(2012.12.20)
写真/黒澤義教
みなさん、こんにちは。
もうすぐ2012年も終わりますね。みなさんにとってどんな一年だったでしょうか?
私にとっては大きな変化の年でした。めまぐるしく矢のように過ぎた一年でしたが、
充実していたと思っています。この連載の機会を得たことも大きな出来事でした。
見て下さった方々に心から感謝しています。
今回は2012年最後のコラムにふさわしい、
季節柄最も良く使われるハーブ「ローズマリー」をご紹介したいと思います。
さむーい年末年始、この温かいスープで皆さんの心もからだも温かくなりますように。

♠ローズマリー料理に合わせたい「マリーズ・レタルトの音楽」by 吉本 宏

ハーブ界の人気者、ローズマリー。

今回取り上げるハーブはローズマリー。ローズマリー(英名)は和名ではマンネンロウと呼ばれるシソ科の小低木で常緑樹。種類は上に向かって伸びるタイプと横に這うタイプの2種類があります。

生命力が強いハーブなので、お庭に植えて放っておいたらどんどん伸びてきちゃったという方も多いのではないでしょうか? ハーブ界(?)ではバジルの次くらいに人気が高いと思われます。

葉は松葉の様に細く硬く、両縁が裏側に巻いていて、葉の裏面は綿状に毛が生えており灰色に見えます。ちなみにローズマリーの語源はラテン語のrosmarinus(海のしずく)とされ、葉の形や色が波しぶきのように見えることから、そう呼ばれたという話。確かに似ている!と思いませんか?

触ると松ヤニのようにべとべとします。これは、揮発性の油が多く含まれているからだそうです。確かに香りの強さと持続性はハーブ界の中でもトップクラスで、チキンや肉料理との相性は抜群です。セージ同様、樟脳を思わせる強い香りは好き嫌いがあるようですが、イタリアでは、肉を購入するとローズマリーの束をサービスしてくれるそうです。日本でもそんなサービスしてくれたら嬉しいのに。

ローズマリーは集中力、記憶力を高めるハーブとしてもよく知られています。抗菌作用や酸化防止作用があるので、食べ物のもちを良くする効果もあります。フレッシュでもドライでも香りが強く、使い易いところも魅力。オイルや酢につけ込んで、ハーブオイルやハーブビネガーにするのもおすすめです。

ちなみに花は、真夏以外いつでも咲いちゃいます。バラに似た甘い香りでエディブルフラワー(食用花)として楽しまれています。

白いスープ

プチトマトはだし袋に入れて、種や皮がスープに入らないようにするのがこつ

材料4人分
ローズマリー 1枝
豚バラ肉ブロック 300g
かぶ 12個(葉の部分はお好みの量)
下仁田ネギ(長ネギ) 1本 白い部分のみ2㎝幅にカット/青い部分も使用
プチトマト 3個 へたを取ってだし袋に入れる
にんにく 1カケ 半分にカットし芯をとる
丸餅 3個
水 1.5l
牛乳 200ml
塩 大さじ2
こしょう 適宜
オリーブオイル 適宜

作り方
1.豚バラ肉に塩大さじ2まぶし、15分ほど置いておく。
2.かぶの皮をむいて、お尻に十字を入れる。
3.大きな鍋に、ローズマリー、豚バラ肉、かぶ(実のみ)、下仁田ネギ、だし袋に入れたプチトマト、にんにく、水を入れてふたをして、10分強火にかける。時々灰汁をとる。
4.弱火でかぶに、くしがスーっと通るまで煮たら、プチトマト入りのだし袋をお玉などで絞る。
5.ネギの青い部分とローズマリーの茎を取り出し、牛乳を入れる。
6.お好みでかぶの葉と餅を入れ、とろみをつけ、塩、こしょうで味を整える。
7.豚バラ肉を取り出し、食べやすい大きさにカットしてスープと共に盛る。
8.オリーブオイル、こしょうをかけ完成。

チキンのローズマリー&マスタードソース

材料 4人分

ローズマリー 1枝(葉のみ使用)
鶏肉 300g
マスタード 大さじ2 
生クリーム 150ml

作り方
1.鶏肉全体にローズマリー(葉のみ)、マスタード、オリーブオイルを全体に塗る。
2.クッキングシートをのせたアルミホイルで包み、グリルで10分焼く。
3.クッキングシートをはずし、アルミホイルのみでオープンにした状態でこんがりするまで焼く。
4.一口大にカットした鶏肉と生クリームをミキサーに入れ攪拌して完成。

クリスマス&お正月に!

今回作ったソースは、ソースというよりむしろパテやリエットに近いものです。パンなどにのせるとそれだけで立派な前菜にとしておいしくいただけます。作り方はとっても簡単な即席パテなので、慌ただしいパーティ・シーズンにもってこいのレシピです。

ローズマリーを枝ごとポテトと一緒に揚げると、おしゃれおいしいフライドポテトに変身! 肉の臭みを消す最強ハーブなので、鶏だけでなく、豚やヒツジなどいろいろなお肉にローズマリーをまぶして焼いてみて下さい。

ローズマリーには、食べること意外にもう一つの楽しみが。今年はぜひ香り付きのクリスマスツリーやリースを作ってみてはいかがでしょうか? ローズマリーには消臭効果もあるので一石二鳥のリースになります。

今回作ったスープは七草粥の日に特におすすめです。かぶの葉と共に七草を入れお正月の残りのお餅を入れちゃいます。正月料理を食べ過ぎ、もたれた胃を優しく包んでくれることでしょう。それでは、みなさんよいお年を。

チキンのローズマリー&マスタードソース
白いスープ

芳しい華やかな香りをもったマリーズ・レタルトの音楽

ローズマリーというハーブの名前を聞くと、温かな暖炉の炎に照らされた、ごちそうが並んだ冬のだんらんのテーブルを思いうかべます。その芳しい華やかな香りは、ジューシーなチキンや新鮮な魚を一瞬にして魅惑的な香りで包んでしまいます。

カナダの美しいシンガー・ソングライターのマリーズ・レタルトの歌声も、一聴しただけでリスナーを虜にしてしまう不思議な魅力をもっています。クールなファッション・モデルのような容姿から聴こえてくるのは、意外にもキュートでコケティッシュな歌声で、そのソング・ライティングのセンスにも才能を感じます。軽やかでポップなメロディーに映える彼女の歌声は、まるで雪原に輝く星のようです。『雪の中の足跡 / Des Pas Dans La Neige』と題された彼女のサード・アルバムでは、まさに彼女自身がクリスマスのツリーになって、キラキラとした星をまとっています。

チキンのローズマリー&マスタードソースに、よく冷やしたロワールの白ワインを用意して、とっておきのウインター・アルバムとともに、素敵な年末年始をお過ごしくださいね。

文/吉本 宏

Des Pas Dans La Neige / Maryse Letarte