旨くないものを口にするほど人生は長くない - 2 - 「だけじゃない! リースリング!!」を味わうワインイベント

(2009.06.12)

地球温暖化。これに青山通りの景観整備による歩道工事が手伝って、夏が苦手な私を震撼させる環境が出来つつあります。黒いアスファルトから、おしゃれな明るい色の石張り舗装に変身した路面は太陽の照り返し効果抜群で、眩しい、眩しい。とうてい日傘だけでは対抗できません。スキー場での雪焼け状態を恐れ、サングラスと日焼け止めクリームで武装して臨む2009年夏です。

上から降り注ぐ陽光と、下から受ける反射光。私も、これに無上の幸せを感じていた時代がありました。ドイツのワイナリー、シュロス・ヨハニスベルクで働いていた時のこと。北緯50度線が通る畑に立って、四季折々ちがった表情を見せるブドウの樹と共に、一年を過ごしました。冬にはマイナス10度以下にもなる中、かじかむ手で枝を剪定し、春には柔らかな日差しの下、吹いたばかりのいたいけな新芽を芽かきして。南向きの斜面の畑の上に立って見下ろすと、ライン川の水面がキラキラ。太陽の光が反射して、あったか~い。

緯度の高いドイツでは、こうした水鏡効果による日照量確保は大切。8世紀にカール大帝がライン川の対岸からこの地を眺め、一部だけ雪解けが早いことに気付き、ヨハニスベルクにブドウ植付令を出したというから、彼の功績は軍事征服だけじゃなかったんですね。そしてこの地には18世紀前半に初のリースリングというブドウ品種だけの畑が生まれます。それまで、ブドウ畑は様々な品種が混植されていたのが普通だったのです。知ってました?

このリースリング、あるのはドイツだけじゃないんです。国境を接するフランスのアルザス地方や隣国オーストリアでも古くから主要な品種。今日では、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドでも栽培されています。特にアメリカでは、健康意識の高いトレンディな人々の間で、ヘルシーでライトな料理に合うワインという認知が広がり、ここ数年、人気が高まっているんですよ。日本とは随分イメージが違うかな。それに、ちょっとワインをかじった人なら、アメリカの白と言えばシャルドネ、と思っているでしょ? カリフォルニアに次いで知られるワイン生産州のワシントンでは、実はリースリングは重要な品種。最近は日本でも手に入るので探してみて。

そして、甘口だけじゃない!
辛口ワインから控えめな甘口、極甘口ワインまで、あらゆる味わいのタイプで、完成度の高いワインを生み出す数少ない品種です。白ワインの女王とか、ドイツの品種の王とか、リースリングの異名は数々あるけれど、その七変化ぶりは、言ってみればカメレオン。キレのある酸味と、豊かな芳香と繊細な味わいという骨格は共通していても、その見え方は、時には涼しげなペールグリーンだったり、またある時には爽やかなレモンイエローだったり、黄金色に輝くこともあれば、深遠な琥珀色のことも。造り方によって、驚くほど違った表情を見せてくれます。

そんなリースリング・マジックを体感できる一夜があります!!

“Riesling Ring Evening”
日時:6月30日(火) 19:00~21:00 
会場:エスカール・アビタ
(東京都千代田区丸の内1-2-1
 東京海上ビル新館B1
 TEL. 03-5221-8875)
定員:50名
参加費:8,400円
申し込み方法:6月20日(金)までにrieslingring@gmail.com宛てに参加者名・TEL番号・e-mailアドレスを記して送信

6カ国からゼクト(ドイツのスパークリングワイン)を始め、辛口・半辛口・甘口まで7アイテムのリースリングを、料理と合わせて着席で楽しめます。
定員を超える申し込みがあった場合は先着順のようなので、急ぎましょう。

蒸し暑くて食欲も減退気味の梅雨どき。きりっと冷えたリースリングで、爽やかな一夜を過ごしましょ。