TOTOSK KITCHEN Vol. 19 クローブクローブで作る
ほっこりスープとソース

(2013.10.21)
写真/黒澤義教 撮影協力/CAFE Ryusenkei

♠クローブ料理に合わせたい「プディトリウムの音楽」by 吉本 宏

家紋にもなっているクローブ=丁字。

クローブはインドネシアのモルッカ諸島原産で、フトモモ科の植物で白い花が咲きます。少しでも開花してしまうと香りが極端に弱くなるので、開花直前のつぼみとガクを共に乾燥させるそうです。

クローブはパッと見、錆びた釘みたいです。語源はフランス語で釘を表すclouだそうです。日本ではつぼみの形が釘に似ていることから、同義の「丁」を使って丁字と呼ばれています。また、百里離れていても香ることから百里香と呼ぶ事も。

バニラのような一種の甘い香りもあるので、焼き菓子によく合います。また、なんとなく正露丸を連想させる刺激的な香りはスパイスの中でもっとも強く、肉の臭みを抑えます。甘辛両方使えちゃう万能選手です。

この刺激的な香りから中世の西欧では魔除けとして使われたそうで、当時病気は汚れた悪臭から、と考えた人々はこれを身につけ、その香りで身を守ったということです。

現在では、クリスマスの飾りつけや新年のプレゼントとして交換したりするそうです。オレンジやレモンにクローブをハリネズミのように刺して風通しのよいところに吊るしておくと腐らずに素敵な香り玉(ポマンダー)ができます。ヨーロッパ各地ではお部屋の芳香剤として使われています。

クローブは西洋、東洋問わず珍重され、日本にも5~6世紀に伝わり、あの正倉院にも保存されていて、源氏物語にも丁子が登場するそうです。古くから薬用や香染、防虫効果で用いられていました。口臭予防効果もあるので、もしかするとあの時代恋人に会う前に口に含んでいた、かも? また、弱い麻酔・鎮痛作用もあり、歯痛の鎮痛剤としても使われていました。このようにクローブは高貴薬、香料として貴重に扱われていたため、なんと家紋にもなっているそうです。なんだか、すごいスパイスです。


クローブ
クローブと栗のスープ

スープ材料

栗は茹でて冷ましたものを渋皮まで剥く。面倒な場合半分にカットしてスプーンでくり抜く
栗は茹でて冷ましたものを渋皮まで剥く。面倒な場合半分にカットしてスプーンでくり抜く
 

材料4人分
クローブ 4個
栗 500g
ベーコン30g
玉ねぎ 中1/2
セロリ 1/2本
オリーブオイル 大さじ2
水 1.2ℓ
塩 少々
こしょう 少々

作り方
1.栗をたっぷりの水に塩少々入れ、小さなものは20分、大きなものは40分ほど煮てそのまま冷まし、渋皮まで剥いておく。
2.セロリ、玉ねぎ、ベーコンをスライスし、大きな鍋にオリーブオイルとクローブを入れ、玉ねぎが少し茶色くなるまで炒める。
3. 水を入れ沸騰させ灰汁をとる。
4.栗と塩を入れて蓋をして30分煮る。栗が柔らかくなったら、塩で味を整えて完成。

1.栗をたっぷりの水に塩少々入れ、小さなものは20分、大きなものは40分ほど煮てそのまま冷まし、渋皮まで剥いておく。2.セロリ、玉ねぎ、ベーコンをスライスし、大きな鍋にオリーブオイルとクローブを入れ、玉ねぎが少し茶色くなるまで炒める。
3. 水を入れ沸騰させ灰汁をとる。4.栗と塩を入れて蓋をして30分煮る。栗が柔らかくなったら、塩で味を整えて完成。
クローブのソース
材料小鍋に全ての材料を入れ中火で15分ほど煮て、へらですくったときぽたぽたと落ちる状態になるまで煮詰め、火からおろしそのまま冷やす。ミキサーにかけて攪拌してできあがり
材料4人分
クローブ 4個
赤ワイン 200ml
ナツメ30g
レーズン 30g
トマト缶 100g
ワインビネガー 大さじ1
ブラウンシュガー 大さじ1

作り方
1. 小鍋に全ての材料を入れ中火で15分ほど煮て、へらですくったときぽたぽたと落ちる状態になるまで煮詰め、火からおろしそのまま冷やす。
2.1をミキサーにかけて攪拌する。

今回のソースは、フルーツチャツネとウスターソースを混ぜたような酸味の利いたちょっぴり上品な味なので、いつものトンカツやコロッケにかけるとおもてなしメニューに大変身しちゃいます! またチーズ(チェダーチーズがおすすめ)との相性抜群なので、パンにチーズとソースをのせて焼いてみて下さい。残ったらカレーの隠し味に使うのも一案。

クローブの使い方としては、お肉に直接刺して煮たり、グリルしたりするのもおすすめです。使い過ぎると薬臭くなるので要注意。これから寒くなってくる季節は、チャイやホットワインに入れて深みのある味を楽しんでみて下さい。

また、第1章で紹介した手作りポマンダーは幸せを呼ぶといわれています。今から作ればクリスマスからお正月まで、香りや効果を楽しめると思います。

クローブと栗のスープ
クローブのソース

深まりゆく秋に、温もりのあるプディトリウムの音楽

 
秋も深まってきました。そろそろ温かい毛布や飲み物が恋しくなってくる季節です。クローヴはシナモンとも相性がよく、ヴァンショー(ホット・ワイン)にはかかせないスパイスです。

そんな温かな飲みものや料理によく似合うのがプディトリウムの温もりのある音楽です。初めて聴いた人は韓国のユニットだとは想像がつかないでしょう。ピアニストであり作曲家のキム・ジョンボムは幅広い音楽性をもったアーティストで、ソフト・サウンディングなオープニング・チューンから、ボサノヴァ、サンバ、メロウなソウルと多彩なサウンドを聴かせてくれます。このデビューアルバムを含めて3枚のアルバムがリリースされています。

ゲスト・ミュージシャンには、ブラジルの美声を聴かせるファビオ・カドーレやアメリカのシンガーのマローン・サウンダース、韓国のルシッド・フォールを迎え、まさに国籍を感じさせないサウンドに仕上がっています。とりわけ、キムが作曲しファビオ・カドーレも自身のソロアルバムで歌っている「Viajante」は、心をじわりと温かくしてくれる名曲です。さらにキムは、アレンジのセンスも素晴らしく、ピアノやギターにストリングスやパーカッション、ホーンなどをさりげなくちりばめます。

韓国からは、ワン・パンチやルシッド・フォールなどのたくさんの優れたアーティストが生まれています。そんな音楽を聴きながら、ほんのちょっとスパイスを効かせた料理やお酒とともに、秋の夜長はゆっくりと過ぎてゆくのです。

文/吉本 宏

Pudditorium / episode

TOTOSK KITCHEN
手作りの味を大切にし、食べるとちょっと幸せになるお料理をつくっていきたいと思います。
デリ/カフェ&レストラン/ケータリング/製菓/キッチンスタジオ
場所:文京区水道2-8-3 1F(江戸川橋3番出口/大きな道路を渡って華水橋信号門)
連絡先:totoskkitchen [at] gmail.com ( [at] を@に替えてメールしてください)
Deli
OPEN : 水〜金曜9:00〜17:00 土曜11:00〜17:00
スープセット¥680、ランチ¥850、コーヒー¥400
On the table
■Afternoon Tea set (3日前予約)
アフタヌーンティーセット(2〜10名様)1名¥2,000(ドリンクおかわりOK)
■Dinner & Party 貸切り(1週間前予約)
着席(6〜10名様)1名 ¥4,000〜
立食(15〜20名様)1名¥2,500〜(フィンガーフード)
*ドリンク持ち込み可(グラス使用料1名300円) *自家製サングリア(要予約) *自然ワインを中心にご用意いたします。

Take away
■ Anniversary cake 記念日のケーキ(3日前予約)
15㎝(4〜6人分)¥2,000〜 / ボストンケーキ 15cm¥1,800〜
☆ウェディングケーキほか、お気軽にご相談下さい。
■結婚式の引き菓子、発表会など特別な日のプレゼント菓子(2週間前予約)