ブルゴーニュ注目ワイナリー – 5 –ポマールのこだわりワイン職人
ジャン・リュック・ジョワイヨー

(2014.05.13)
ポマールについて熱く語ったジャン・リュック・ジョワイヨーさん
ポマールについて熱く語ったジャン・リュック・ジョワイヨーさん
ポマールの銘酒復活を目指して
ポマールというワインをご存知だろうか。私はレストランでよく頼む。というのも、コート・ドールの聞いた風なワインは値段も高いし、安いと薄かったり酸っぱかったり、納得のいくものがあまりないからだ。その点、ポマールは、値段の割にしっかりしていて、万人受けする。ポマールは、ブルゴーニュの中でも、色濃く、力強さがあり、長熟型のワインの代表だ。その上、覚えやすい名前と長旅にも耐えるという特性も相まって、古くから名声を得てきた。そのため、名前だけで内容の伴わないワインを流通させるネゴシアンもあり、現在、ポマール=銘酒の評価はない。

ジャン・リュック・ジョワイヨーは、14ヘクタールを所有し、ポマールに6.5ヘクタールの畑を持つ生産者である。1902年からこの地でワイン造りを行い、母親の代までは造ったワインの多くをネゴシアンにバルク売りしていた。1981年に彼が引き継いでからは、自社ブランドで瓶詰めし、独自のワイン造りを進めてきた。それは、ポマールの特性を生かしながら、早く飲めるワインを造るというものだ。以前のポマールなら10年は寝かす必要があったが、長熟で力強いという特徴を持ちながらも、もっと早くから飲めるワインを目指したのである。そのために、ポマール地区で最初に除梗を取り入れたという。醸造面では、手摘みして除梗、破砕なしで低温マセレーション、ボジョレー風のカルポニック・マセレーションを導入しており、発酵は10日程度。イチゴのようなフルーツのブーケを身につけている。最初は1日2回のピサージュ、途中からルモンタージュに切り替える。発酵はセメントタンク、樽は、新樽、1年使用、2年使用の樽を3分の1ずつ。樽については、いま450リットルの中型の樽も試している。アロマの変化を確認したので、今後使い方を考えて、組み合わせていく。

ジャン・リュック・ジョワイヨーには、7種類のポマールがあり、年々品質を上げてきている。村名格のポマールの他、6つの畑名ポマール、うち3つがプルミエ・クリュである。元々ポマールには、グラン・クリュが認定されていないが、現在、グラン・ゼプノとレ・リュジアン・バという畑のグラン・クリュへの格上げ申請を準備している。真の実力を身につけたワインが増えてくれば、ポマールもいずれまた、ブルゴーニュの銘酒に名を連ねるだろう。

使い込んだセメントタンクで醸造
使い込んだセメントタンクで醸造

樽はヌベールあるいはアリエ産、ミディアム・ローストのロング・トーストタイプ
樽はヌベールあるいはアリエ産、ミディアム・ローストのロング・トーストタイプ

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ドメーヌのおすすめワイン、右から
ポマール
ポマール・レ・リュジアン
ポマール・プルミエ・クリュ・レ・シャルモ
ポマール・プルミエ・クリュ・レ・ブティ・ゼプノ

Jean Luc Joillot



この記事は、ワインカルチャーを語るWEBマガジン「Wine & Story」から記事提供を受けて掲載しています