ほろ酔い倶楽部 - 6 - 山梨ワインツアー 2/3 〜 熊野裕子 レポート 〜

(2010.01.14)

 

 

「Beau Paysage」と「酒折」訪問の旅

空はピーカン、絶好の旅日和となった12月6日の日曜日。
BUワイン研究会・山梨ワインツアーが開催されました。
参加者はインポーターさん、ソムリエさん、旅行会社さん、酒販店さん、お寿司屋さん、パンの専門家さん、PR会社さん、編集者さん…など約20名。
多彩な顔ぶれでのスタートです。

 
小松さんからの事前メールによれば、おおまかな予定は以下の通り。

08:00 集合場所  新宿駅西口 バス乗り場
10:00 BEAU PAYSAGE 見学
12:30 「おいしい学校」にて宴会?
      目指せ甲州一のイタリアンレストラン「ほのボーノ」にて食事
14:00 酒折に向け出発
15:00 シャトー酒折 見学
17:00 ほったらかし温泉
20:00 新宿着

「スケジュールどおりに進行したことはありません」の但し書きも。。。

 

 

1.岡本さん味のワインでした

八ヶ岳山麓に畑を開拓し
栽培から瓶詰めまで一貫してワイン造りを
行っている「Beau Paysage」さんは
以前、知人から「すごーく旨いワインです」
と教えてもらって以来ずっと気になっていつつも
飲む機会がありませんでした。

なぜなら注文のタイミングを逃すと
入手は困難で、慢性的な売り切れ状態。
注文できたとしても、注文内容より少ない本数が届いて
「今回はこれしかお届けできません」
とお詫びのメッセージが添えられてあったりするそうです。

多くの人を虜にする、醸造家の名は、岡本英史さん。
「メルロー」をつくりたいと土地を探し求めて約3年
ようやくたどり着いたのがこの津金の土地だったとか。
津金といわれても…?かもしれませんが
八ヶ岳と南アルプスが見渡せる、民家もまばらな
牧歌的な風景が広がる標高800mの大地です。

「ワインづくりは農業」という意識のもと、
ナチュラルなワインづくりにこだわり
補糖、補酸、澱引きなどはせず
作業工程で電力を使うのは瓶詰めのときだけ。
あとはすべて様子をみながらの丹念な手作業。

「こんな寒い場所でワインがつくれるわけないだろう」
と周囲から冷たく罵られようとも愚直に続けて10年。

今やワイン業界において注目の人となった岡本さんは一見おだやか。
でも静かな語りの中に、強い「芯」を感じます。
何かをやりとげようとする人の姿勢には「ぶれがない」ですね。

ぶどう畑に佇む岡本さん。その姿は風景に溶け込んで
ここはまさに岡本さんの舞台という雰囲気が漂ってきます。

岡本さんの語りでとくに印象的だったのは
◯ 酸化にも2つある。ぶどうがしっかりしていれば酸化しても美味しくのめる。
  ある時点で酸化を止めて、それがベストという考え方は馴染めない
◯ グリーンハーベストは基本的にバンドエイド・マネジメント。
  毎年続けているのは栽培技術がないということを意味する。
ワインの基本は「ぶどう」にあるーという考え方でした。

「醸造段階でできることは僅かだと僕は思います。
たぶん、ワイン好きの人は、うちにはあまり来ません。
特殊すぎて…そのかわり農業が好きという子たちが来ますね」

と語る岡本さん自身、毎年作業は試行錯誤
「最初はメルローだけでやろうと始めた畑も
今はメルローが5割、シャルドネ4割になりました。
肥料も酢で試してみては効果が表れず諦めたリ。
やってみないとわからないことはたくさんありますね」

そんな岡本さんのワインは、きっと既に売れてしまって
あまりないであろう…と予想されていたところ
幸い若干の購入が出来て、ランチどき、試飲できることに。

期待のお味は。

…おお!日本のワインとは思えない味わい。
かといってフランス味でもチリ味でもない。
あえていうなら「岡本さん味」とでもいいましょうか。
個人的には、美味しい!というより、熟成はしっかりなのに
赤ちゃんのような匂いを残す初々しさ、やわらかさ、やさしさを感じました。

 
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